歳入について(令和6年度予算総括質問②) | 上田ゆきこのブログ

歳入について(令和6年度予算総括質問②)

区民税の課税所得水準と中小企業の賃上げを支える支援等について

 

Q8:歳入の約3割を占める特別区税について、今後の物価高に伴う歳出増を支えるためには、納税者の課税所得水準が伸び続けることが必要。

 

そのために、区としても中小企業の賃上げを支える支援や、この秋の特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(いわゆるフリーランス保護新法)の施行を踏まえた労働者保護の知識啓発が必要では。考えを伺う。

 

A8:省エネや生産性向上のための設備投資への補助や各種認証取得費の補助等により、区内中小企業の企業力向上にむけた取り組みを支援することを通じ、賃上げに不可欠な経営基盤の強化を図っている。

 

また、労働関係法令については、労働者保護の観点からも重要であることから、東京労働局との共催によるセミナーを実施するなど、今後も関係機関と連携し、事業者への周知啓発に努めていく。

 

 

ふるさと納税について

 

Q9:(令和6年度の想定で区外流出額が約42億8000万円にも上るといわれる)ふるさと納税対策については、寄付メニューを増やし、一般寄付金として確保目標額を4000万円としていますが、よりいっそう野心的な目標が必要ではないか、今後の方針を伺う。

 

A9:来年の歳入見込みは、子ども宅食プロジェクトなどのクラウドファンディング分を含めて、1億円の寄付を目標とし、一般寄付金としては、4千万円を見込んだところです。

 

来年度、取り組みのさらなる強化を図るため、区内の魅力ある個店等から返礼品を公募する仕組みや、区内大学と連携し、ふるさと納税を活用した財源確保の仕組み等の検討を進めており、これらの取り組みを進めることで、当初の目標を超える寄附を目指していく。

 

減収への対応として、昨年10月の区報において本区の減収状況について周知するとともに、寄付金の使途の拡充を図り、区民へ呼びかけた。

 

今後も、寄付者が本区を応援したいという気持ちのより一層の醸成につながるよう、区の地域や産業の魅力を発信するとともに、魅力ある返礼品の拡充等により、寄付金による更なる財源の確保を図っていく。

 

 

森林環境譲与税について

 

Q10:森林環境譲与税について、区は区民周知、公共施設整備の木質化、わかりやすい使途公表について取り組むとしているが、

 

区長会においては「特別区における森林環境譲与税の活用~複数区での共同連携の可能性~などの研究」が進められてきた。

 

文京区も近隣区と連携した取り組みを検討すれば、さらなる事業効果が期待できるのでは。見解を伺う。

 

A10:特別区長会報告書では、近隣区と連携した取り組みについて、規模拡大によるスケールメリット発揮や事業メニューの多様化などのほか、連携先の拡大や事務負担の軽減などのメリットが示されている。

 

事業効果の高い事業に効率的に活用するためにも報告書に示されている点は重要と認識している。

 

今後、引き続き、森林環境譲与税の効果的な活用方法について、検討していく。

 

 

定額減税等について

 

Q11:定額減税による減収分、約11億円は地方特例交付金で全額補填されるが、急に決まった複雑な制度であり、区民にわかりにくい面がある。そして臨時的な給付や減税は自治体負担が増大することも事実。

 

国・広域自治体・基礎自治体には役割分担があり、それぞれがイコールパートナーであることを改めて再確認するよう国に声を上げてほしいと考えるが、どうか。

 

A11:令和6年度の個人住民税にかかる定額減税及び定額減税を補足する給付にかかる事業については、所得税減税に加え、個人住民税の減税や減税不足額に対する調整給付等が追加となるなど複雑な制度になっている。

 

そのため、税額通知の際にチラシを同封することやホームページ等での周知などにより、区民の皆様にわかりやすいものとなるよう丁寧な説明を行うこととしている。

事務にかかる一定の負担はある。

必要な人員配置等による体制面の措置や国や他区との情報交換などによる事務効率化など、負担軽減に努めながら、本区として、確実に定額減税や給付等を実施できるよう準備を進めている。

 

また、定額減税等における国と地方公共団体との役割分担に関しては、昨年12月に閣議決定された「令和6年度税制改正の大綱」において、国と地方自治体が連携し、早期の準備や周知広報等を行うこととされており、その趣旨を踏まえ、基礎自治体としての役割を果せるよう取り組むこととなっている。

 

地方分権については、特別区長会において、「基礎自治体が実質的に地域の総合的な行政主体として役割を果せるよう、事務移譲や義務付け等の関与の見直しを行うこと」などについて要望している。

 

昨今の臨時的な給付や減税等、個別の事務等についても機会を捉えて適切に対応していく。

 

 

都区財政調整協議における新規算定等について

 

Q12:特別区交付金は、普通交付金の需要額算定について、新規13項目、算定改善等28項目、その他1項目が盛り込まれることになった。文京区の新規算定・算定改善等の対象となる事業はどのようなものがあるか、教えてください。

 

A12:普通交付金に係る需要額算定については、大半の区が実施し、標準区経費としての妥当性があると考えられる事業を区側提案としているため、原則、新規算定や算定改善等となった事業については、おおむね既に本区で実施している事業がその対象になったものと認識している。

 

具体的には、新規算定の対象として、「ひきこもり等自立支援事業」や「帯状疱疹ワクチン予防接種費用助成」、また、算定改善等では、「細街路拡幅整備事業」や「はたちのつどい」などがその対象となっている。

 

 

特別区財政調整交付金における都区間の配分割合に係る協議について

 

Q13:懸案の児童相談所関係経費等の配分割合の変更についてはプロジェクトチームによる検討が始まるとのことで、その成果に期待している。今後の目標スケジュールを伺う。
 

A13:昨年12月、第1回目のプロジェクトチーム及びワーキンググループが開催され、さらに、本年1月にも第2回目が開催されている。

 

「都と区で、児童相談所の事務の位置づけについてどのように整理すべきか、認識を共有することを目的としており、児童相談所に係る児童福祉法上の確認や、地方自治法上の事務整理、さらには、「役割分担の大幅な変更」に係る検証と議論が、今年度末までに取りまとめられるよう、都区双方で努めることとしている。

 

 

特別区財政調整交付金に係る特別交付金の算定について

 

Q14:特別交付金算定の“ブラックボックス”についても他区と手を携えながら解明を図っていただきたい。

 

令和6年度の戦略を伺う。

 

A14:令和6年度都区財政調整協議において、区側は特別区交付金の算定の透明性・公平性の向上に向けて、算定事業の一部例示化を提案したが、都側は「現行の算定ルールは透明性・公平性の確保の観点から大きな問題はない」と主張し、双方の合意には至っていない状況。

 

今後も継続して議論を行うとともに、他区の状況に係る情報収集にも努めていく。

 

併せて、算定内容が客観的かつ明確に規定されている、普通交付金による対応を図るため、特別交付金の割合を5%から2%に引き下げるよう、引き続き主張していく。

 

 

都の新規事業を踏まえた区の事業実施について

 

Q15:都の新規事業は近年サプライズが続いており、都民やマスコミだけではなく、カウンターパートである区担当者ですら予算発表で事業開始を知る異常事態が増えている。

 

都の新規事業等の中で区の当初予算に間に合わなかったが年度途中で文京区で実施できそうな事業はどのようなものがあるか、また都の新規予算の情報を早く得るためのこれまでの取組みと成果を伺う。

 

A15:都の令和6年度予算案において示された補助事業のうち、保健衛生部で高齢者肺炎球菌ワクチン接種補助事業における任意接種対象者の拡充や教育推進部でのエジュケーション・アシスタント配置支援事業については、都の補助金を活用した事業実施を検討している。

 

また、都のHPVワクチン男性接種補助事業を活用した事業については、毎年11月に報道発表されるとの予算要求の状況確認等を行い、当初予算に計上している。

 

今後も継続的な情報収集に努めるとともに、積極的に都の補助事業を活用した事業実施を検討していく。

 

 

受益者負担の見直しについて

 

Q16:使用料・手数料・利用料については、税制改正や新規事業等の開始など設定当初とは状況が変化しており、受益者負担の見直しが必要ではとの声が聞かれる。考えを伺う。

 

A16:現状では、物価高騰等の影響を鑑み、受益者負担の見直しを図ることは難しいと判断しているが、一方で、今後の社会情勢を見極めつつ、利用者負担割合の区分見直しを含めた積算方法等の再検討を行い、より適正な受益者負担への取り組みが必要と考えている。

 

 

キャッシュレス決済について

 

Q17:いくつかキャッシュレス決済の導入が盛り込まれているが、その今後の方向性と決済手数料に対する考え方を伺う。

 

A17:重点施策である文京区DX推進プロジェクトにおいて、病児・病後児保育施設の保育料や窓口におけるキャッシュレス決済の導入を予定しており、今後も利用件数が多く、キャッシュレス決済のニーズが高い、手数料等の支払いにおいて、決済端末やオンライン決済フォーム等を活用し、その導入を推進していく。

 

なお、決済事業者に対する手数料負担の在り方については、先行自治体の事例も含め、今後研究していく。

 

 

特別区債と金利に対する考え方について

Q18:将来負担の公平性の観点から平準化が起債の目的であることは理解しているが、中長期的には金利の動向を注視していく必要があると考える。特別区債と金利に対する考え方を伺う。
 

A18:起債に係る金利の上昇は、公債費支出の増加につながり、中長期的には、義務的経費の増大や経常収支比率の上昇にもつながると認識している。

 

そのため、長期国債や特別区債の金利の動向に注視するとともに、起債依存度や公債費負担比率などの財政指標にも留意しながら適切な借入額を見極め、計画的な元金と利子の償還につなげていく。
 

 

住民参加型市場公募債について


Q19:借り入れは公的資金を優先する方針が示されているが、区民に利益を還元しながら資金を調達し、区民に愛される施設建設をめざすため、これまでも何度か行われてきた住民参加型市場公募地方債の発行を検討されてはどうか。 

 

A19:住民坂形市場公募債は、区政への参画意識の向上や資金調達手法の多様化といった利点があると考えている。

 

一方で、公的資金と比較した場合、一定の手数料が発生するため、住民参加型市場公募債の対象として、区民協働で整備していくにふさわしい施設かどうかなど、総合的に勘案しながら、その実施を検討していく。

 

 

基金の取り崩し額を抑えるための対策について

 

Q20:今後、財調基金は標準財政規模の30%を維持したいとしているが、基金取り崩し額を抑えるためにどのような対策が必要か、その計画をどのように実行していくつもりか、伺う。

 

A20:今後の財政運営においては、一定の基金残高を確保していくため、計画的かつ効率的な予算の執行と、積極的な歳入の確保に取り組み、それにより生じた財源を、財政調整基金や特定目的基金に積み立てていくことが重要。

 

今後、次期「文の京」総合戦略に掲げる「財政状況と今後の財政見通し」について、全庁的な周知と理解に取り組むとともに、引き続き、国及び都支出金の確保などによる財源確保に努めていく。

 

また、予防保全の考え方を取り入れた、公共施設整備の計画的な実施や、既存事業等の不断の見直しにより、歳入と歳出のバランスを考慮した予算編成に努めていく。

 

 

特定目的基金の計画的な活用について

 

Q21:公共施設等総合管理計画において10年間で約1500億円の建設資金を見込んでいることから、特定目的基金の活用にも計画が必要と考える。方針を伺う。
 

A21:特定目的金の対象となる工事費などは、設計に基づいて算出されるとともに、国や都の補助金、さらには、特別区債もその財源となるため、具体的な目安をお示しするのは難しい。

 

しかし、学校施設等の計画的な改築・改修、また公共施設の老朽化への対応など、多額の経費を要する事業を計画的に進めていくためには、公共施設等総合管理計画による試算も参考にしつつ、学校施設建設整備基金及び区民施設整備基金の残高を一定確保していく必要があると考えており、引き続き、特定財源の確保や、効率的で効果的な歳出予算の執行に取り組んでいく。


 

建設資金に係るインフレーションリスクについて

 

Q22:物価高の傾向は今後も続くと見込まれ、建設資金の見通しが上振れする恐れがあるが、インフレーションリスクをどう考え、対応していく方針か伺う。

 

A22:ご指摘の通り、令和3年以降、都における建築資材物価指数は大幅に上昇しており、インフレーションリスクを踏まえた、財政運営が必要であると認識している。

 

そのため、改定を進めている「公共施設等総合管理計画」において、予防保全の考え方を取り入れ、計画的な施設の大規模改修や更新を行うことを方針として示している。

 

今後、各施設の改修・更新に向けた計画を立て、その内容についても進行管理を行い、併せて、物価高騰による建設コストへの影響にも注視し、適宜、計画を見直すことで、コストの平準化を図り、整備を進めていく。