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高校時代にわたしが通ったのは、入学前年の春に開校したばかりの新設校だった。制服は、当時目新しかった男女共通のブレザーにネクタイ。母校の先輩といえば、一学年上の一期生しかいない。
その一期生の中に、ずっと年賀状のやり取りが続いたM先輩がいる。ひと気のなくなった帰り道、自転車がパンクして途方に暮れるわたしを、笑顔で助けてくれた人。
夕暮れの道端。同じ制服を着た後輩だからと、それまで面識もなかったわたしにくれた先輩の親切を、ずっと憶えていようと思った。
「青春18きっぷ」はすごく使いでがあって、こうした乗り方をすればこんな遠くまで行ける。あの頃、M先輩にそんな話をした。
知らなかった!と感心していた先輩は、ほどなくその通りに鈍行列車を乗り継ぎ、遥か遠い街まで文通相手の子に会いに行く旅を決行した。すごく感謝されたっけ。
M先輩から届いた今年の年賀状には〝来年以降は年始のご挨拶状を遠慮したい〟と印字されていた。〝世の中の流れもあり〟とはいえ、寂しく思う。
その下には、高校時代から変わらない先輩の筆跡でこう書いてあった。
〝いつかまた、青春18切符で旅をしたいです〟
M先輩はユッコこと岡田有希子さんと同学年。
ユッコさんがもしいまも空の下にいたなら、名古屋での短かった〝普通の〟高校生活を懐かしく想うのでしょうか。
この文章を書いて気付きました、当時は「コスパ」ということばがなかったことに。
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