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11月も終わりに近づいたのに、上着が暑く感じる陽気だったその日。非番だったけど〝午前中に一時間ほど、出社のうえ他部署との会議に出席されたし〟とのお達しを前夜に受けた。ついてないなァ〜。
通勤に片道一時間。わたしは折り畳み傘や弁当などを入れた小ぶりなショルダーバッグと、かさばる仕事用ノートPCを納めたトートバッグのふたつをいつも持ち歩いている。
なのにその日に限って。今日の天気なら傘はなくていいか、すぐ帰るから弁当も要らないし…そう思って、ショルダーバッグを置いて家を出たのだ。
その過ちに気付いたのは、会社の通用口まで来てからだった。
嗚呼…またやってしまった。
大事なだいじな、社員証がない…!
会議が始まるまで15分、もはや家に取りに帰る選択肢はない。
肩を落として、警備室の窓口に声をかけた。
「社員証忘れました」
「初めてですか?」
「いいえ…」
一日入館証発行の手数料は数千円、給与からの天引き。
改めて思う。天ぷらは好きだけど、天引きは大嫌いだ。
20分弱もかかる発行手続きを焦りつつ待っていると、すぐあとに来た小柄な女性と警備室のおじさんの会話が耳に入った。
「初めてですか?」
「いいえ、何度もあります!」
「あ、どうもご無沙汰してます」
声を掛けられて気が付いた。数年前一緒に仕事をした、他部署の(かつての)新人女子だ。
「何度も(忘れたこと)あるんですね…?」つい口に出してしまう。
眉がハの字になった彼女は「上着を替えるたびに忘れちゃうんです」。
かつて全く同じ失敗を重ねたわたしは、〝社員証は必ず、いつも持ち歩いているショルダーバッグのポケットに入れる〟という、完璧な再発防止策を徹底していた。
そう、いつも持ち歩くはずなのに。今日が傘などいらないと思わせる天気でさえなければ。眩しい太陽を恨まずにいられない。
ようやく時間が過ぎ、一日入館証をぶら下げて会議室に急ぐ。
そして久々に話したもうひとりの忘れん坊も、息を切らして同じ会議の席についたのだった。
ユッコこと岡田有希子さんは名古屋の中学生時代、家から「走って5分」の学校に遅刻してばかりだったといいます。けれど上京してからは時間厳守の芸能界で、前夜どんなに遅くなっても早朝から頑張っていたのでしょうね。
わたしはその日、高い代償を強いられた会議に遅刻して凹みました。
photo by yukikostarlight