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先だってこの話を書いたときは、すっかり過去のことと思ってた…それなのに。

 

大型連休直前の平日、昼過ぎ。

春の陽気に誘われて、休みだったわたしは線路沿いの並木道を歩いていた。

ターミナル駅近くにあるいつもの赤い店の帰り、時間を惜しまず電車代を惜しんで。

格好はジーンズに黒のロンT袖捲り、黒いバッシュ。

 

横断歩道の手前。ロードレーサーみたいなヘルメットを被った制服姿の警官が、白い自転車を止めて立っている。

この暑いのに、仕事とはいえ大変だなあ。同情しつつ、青信号を足早に通り過ぎて。

 

「すみません、こんにちは。○宿警察署の○野といいますが」

 

後ろから追いかけてきた、その警官に呼び止められた。

なんか用かよ、職質かよ…そう思ったのは何年ぶりだろう。

 

「お急ぎのところすみません、鞄のなかをみせてもらえませんでしょうか」

 

そう尋ねる相手は笑顔で、だけどわたしを疑ってるんだ。気分がいいわけがない。

やだね!その思いと裏腹に、小さな肩掛け鞄のファスナーを大きく開いてみせる。

中身は財布とスマホ、さっき本屋で買った単行本が一冊とポケットティッシュ、畳んだエコバッグ。ハンカチ、そしてハンドタオル一枚。

 

「失礼します、ちょっと改めさせていただきますね」

 

そう言いながらこちらの返事も聞かず、鞄の中身を弄る。気分がいいわけがない。


「なんでわたしに職質をかけたのですか?道行く人すべてに声かけてるわけじゃないですよね?」

「さっきすれ違ったとき目も合わなかったのに、わたしのどこが不審に思ったんですか?今後二度と職質されたくないので、教えてもらえますか」

 

「すみません、この辺りで最近危ないモノを振り回す人がいるんですよ」

「本官にはあなたの鞄が、かなり膨れて見えたものですから」

「いえ、どこということはないんですよ。きょうはプライベートですか?」

 

…誤魔化すな〜〜!!

 

釈然としないまま解放されたとき、わたしは精一杯の悪態を吐いた。

「職質なんか受けたくないんですよ。真面目に生きてるのに疑われるのって、すごく気分わるいし」

「正直、とても不愉快です!」

 

○野と名乗ったあの警官はどうして、わたしを怪しいだと思ったのだろう?

どうして、通りすがりのわたしが彼には真人間にみえなかったのだろう?

耳が尖ってたり、指が三本しかなかったりもしない、

クラスで一番目立たないわたしを。

 

おいら、怪しいもんじゃないよ。

妖怪人間のベロ、彼の気持ちがよく解った。はやく真人間になりたい!

 

 

 

なんか用かよ、職質かよ…ユッコこと岡田有希子さんの、本名は佐藤かよ(わー、ごめんなさい!)

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