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先日久々に遊びにきた、いまも北関東の街に住む妹一家と新宿中央公園を散策したときのこと。

すぐ横にそびえる都庁を見上げながら、義弟がこんなことを口にしたのです。

「よく見たら窓の形が所々で違ってんだね、細長いのとか大きいのとか。なんでこうしたのかな?」

 

言われてみれば確かに。一瞬考えてわたしはこう答えました。

「きっと都民の多様性を表現したかったんじゃない?ダイバーシティの先取りだったというか」

ダイバーシティをフジテレビのあるお台場と勘違いしてたくせに、我ながらテキトーなことを言ったものです。なんとなく、前に書いた東京トイレのことが頭にあったのもありますが。

 

東京都庁、わたしには普段縁がない場所ですね。最近だと昨年秋に4回目のコロナワクチン接種のために、大規模接種会場になっていた北展望室に登ったくらい。

 

ちょっと気になってググってみたのです。そういえば昔、都庁がデザイン優先で建てたことで維持費が大変なことになっているって聞いたことあるなあ。窓の形も、普通に考えたら全部同じ規格のほうがおカネが掛からなそうな気がするし。

 

都庁舎の設計案がいまの形で決まったのは、ユッコこと岡田有希子さんが空の下からいなくなった1986年4月でした。

1990年12月に完成、翌年4月より丸の内にあった旧庁舎から業務を引き継いでいます。特徴的な南北ふたつに分かれた高層階をもつ第一本庁舎の高さは243メートル、完成当時は日本一の高さを誇ったとか。バブルの真っ最中に建設された超高層ビルということで「バブルの塔」との異名もありました。

その後わずか10年程で雨漏りがひどいとの話が出たりとか、東日本大震災の際には外壁にヒビが入ったとか、だけど超高層建築物かつデザインの特殊性から、補修費用が巨額に及ぶとか。まあなにしろ竣工から32年を経たこの建物を維持するために、ものすごいカネが掛かり続けるのだそうです。そのカネは当然都民が払う税金なわけで、なんだかなあ。

 

都庁の〝窓の形がいろいろ問題〟の本当の理由は、デザイン上の話だけだったのかもしれません。まあ、理屈は後からいくらでもつけられますもんね。この建物の意匠に、後世に残すべき歴史的価値が認められるなら、おカネをかけた甲斐もあると思いますが。

 

というわけで、ユッコさんが知らない「バブルの塔」にも、はや長い年月が経ってしまった…というはなしでした。

 

今回はじめて知ったのですが、新宿移転前の丸の内にあった旧都庁舎と現都庁舎の設計者は同一人物(故・丹下健三氏)なのだそうです。

旧都庁舎は1957年に竣工、わずか34年後の1991年に解体されています。跡地には東京国際フォーラムが建設されました。

そういえば、ダイバーシティお台場のフジテレビ本社ビルも丹下健三氏の設計ですね。

photo by yukikostarlight