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時代がバブルに浮かれ始めた昭和の末頃、書店には「クマに会ったらどうするか」と題した新書が並んでいた。
この本には、クマに遭遇したら避けるべき行動として、〝死んだふり〟〝走って逃げる〟〝大声で叫ぶ〟〝四つ這いになる〟と書かれていた。頭の位置が、クマより下にならないほうが良いらしい。
そして正しい行動は、〝立ち止まったまま話しかけ〟〝静かに後ずさりして離れる〟ことだそうだ。
当時のクマは、エサが尽きる時期が来れば山奥で冬眠していたし、なによりヒトのことを恐れていた。
〝♪あるひ もりのなか くまさんに であった〟
クマに出会うのは童謡の中だけで十分なのに、いまはそうもいかないようだ。今年はクマ出没が全国各地で相次ぎ、ヒトが襲われる悲劇が続いている。ヒトの食べ物の味を覚え、冬眠もせず人里をさまようクマは、これからも増えていくだろう。
ヒトに威嚇してくるクマよりも、友達になりたそうに?ゆっくり歩み寄ってくるクマのほうが怖いらしい。
それは、まったくヒトを恐れていないから。
大きなクマよりも、小柄なクマのほうが危険らしい。
それは、群れに弾かれていつも飢えているから。
クマの気を逸らそうとヒトが投げたバーベキューの肉に、目もくれなかったらしい。
それは、クマには肉片よりも動いているヒトのほうが、さらに新鮮なエサに見えるから。
クマがヒトを捕食のために襲うのは、本当に稀だといわれる。
でももし不幸にも出会ってしまったクマが、その稀なヤツだったら…そしてまさに襲い掛かられんとき、すべきことはただひとつ。
〝ただちに腹ばいに伏せて、両手で首筋を守ること〟
顔や首、腹などの急所に致命傷を受ける確率を、少しでも下げるための防御姿勢だ。
クマとの遭遇はまるで交通事故のようなもの。事故を起こさない、すなわちクマに出会わないのが一番大事。だけど交通事故と違って、運命の分かれ道を自ら選ぶ余地はあるかもしれない。
「クマに会ったらどうするか(岩波新書、著者・玉手英夫元東北大農学部教授)」が出版されたのは、ユッコこと岡田有希子さんがなくなった翌年のことでした。
ユッコさんは幼少の頃から毎年のように訪れていたという東山動物園で、ツキノワグマにもヒグマにも〝檻越しに〟出会っていたのでしょう。
photo by yukikostarlight
