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先日公開された映画「片思い世界」を観ました。
この物語の重要な場面のひとつ、三人のヒロインが向かう夜明けの灯台シーンを撮った帰り。監督やカメラマンらが交通事故に巻き込まれ、重傷を負ったそうです。
半年に及んだ撮影中断、制作断念の危機を乗り越えて完成したのは、監督の言葉通り〝この映画はきっと特別な運や力を持っている〟からでしょう。
幼い頃、痛ましい事件に巻き込まれた三人。12年経ち、支え合って大人になった彼女たちがいるのは、強い絆で結ばれた三人だけの世界。
それは元いた世界からは見えず、人々に思いも伝えられない。すぐ側にあるその世界で、彼女たちは同じように日々暮らしているのに。
ある出来事をきっかけに、三人は元の世界へ戻るため、それぞれの「片思い」を届けたい人に会いにいくが…。
決して交わることのない、もうひとつの世界。だけどすぐ側で、そこにいる人は同じようにいまを〝生きて〟いる。
それは映画が見せてくれたファンタジーに過ぎない、のだけれど。もしかしたら、ひょっとしたら。
この広い空の下のどこかで…分厚い眼鏡をかけた片えくぼのファンタジアンが、穏やかに微笑んでいるかもしれない。
いまを生きる人々が〝短くてもその人の生きた時間をずっと共有し、肯定すること〟で…。
涙で滲むエンドロールを前に、わたしはそんなことをぼんやり思っていました。
映画に登場する〝ストリートバンドの人たち〟を演じたのは、ロックバンド・ムーンライダーズ。
ユッコこと岡田有希子さんのアルバム「ヴィーナス誕生」のアレンジを担ったかしぶち哲郎氏も、ひょっとしたらすぐ側で…笑顔で打楽器を叩いていたのでしょうか。
text by yukikostarlight