「ルック・オブ・サイレンス」被害者側から見た殺人の記録と加害者の姿を克明に映しています。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ルック・オブ・サイレンス」の試写会に行ってきました。


この映画は、「アクト・オブ・キリング 」という、虐殺をした加害者に、自分たちがやった事を映像化させた映画の対の映画であり、今度は、被害者の側から見ているものです。


ドキュメンタリー映画なので、内容は、

1960年代のインドネシアで秘密裏に行われ、およそ100万人もの命が奪われた大量虐殺。眼鏡技師の青年アディさんは、自分が生まれる前に兄が惨殺されたことを知り、さらに加害者たちがインタビュー映像でその模様を喜々として語る姿にショックを受ける。加害者たちがどのような思いで殺りくに手を染めたのか、そして罪を犯したことを自覚させたいと考えたアディさんは、ジョシュア・オッペンハイマー監督と一緒に彼らと会うことを決意。視力検査を行いながら、加害者たちからさまざまな言葉や真実を引き出そうとするが……。

という内容です。

サイレンス

これは、衝撃的でした。ドキュメンタリー映画なので、詳しい内容の解説は省いて、感想を書いていきますが、すごかったです。「アクト・オブ・キリング」で、楽しそうに殺人のやり方を解説し、自慢げに話していた人たちに、今度は、被害者の家族が会いに行くんです。彼らは、最初、自分たちにインタビューしに来たアディさんに、またも、楽しそうに正義の為の殺人だったと自慢げに話すのですが、アディさんが、自分は被害者の家族だと告げると、突然、あれは、私の責任では無くやらされていたんだとか、自分がやらせた殺人では無いとか、否定し始めるんです。

サイレンス

殺人を犯した人々は、今は、高い地位に納まっている人が多く、今も力を持っています。ですから、被害者の家族だというアディさんを、ウザい存在と思い、もしかして殺そうとするかも知れないんです。ですから、アディさんも、偽名を使い、住んでいる場所も告げず、隠れて暮らしています。身を守る為なんです。


この加害者と被害者は、以前も今も、同じ場所に住んでいて、とても近い、同じ集落の中に住んでいたりするんです。ひっそり暮らしているので、ほとんど分かりませんが、もし、こういうドキュメンタリー映画を作るために協力したと判ったら、加害者であり、権力を持っている人々に何をされるか分かりません。だから、本当に誰もが匿名で協力しているんです。

サイレンス

被害者家族のアディさんは、加害者を責める為に会いに行く訳では無く、真実を知る事と、彼らが昔の事件を悔いている事を願って、会いに行っているんです。しかし、加害者の口から出るのは、責任逃れの言葉ばかり。アディさんは、復讐をしたい訳では無くて、せめて罪を感じて欲しいと思っているだけなのですが、彼らに罪の意識は薄いように見受けられました。

でも、加害者の気持ちも解るんです。そういう時代だった訳だし、もし、被害者となった人を庇ったりすれば、自分が殺されていたかも知れない。そういう時代だったんです。それを責めても、彼らが可哀想じゃないかと思うのですが、被害者の側から見れば、やっぱり許せないという気持ちがあるだろうし、難しい問題ですよね。

サイレンス

このアディさんは、ある程度、相手の立場を解って、相手が責任逃れをしても怒らないし、忘れたと言えば、そうですかと言って、それ以上責めようとはしないんです。きっと、加害者だって、自分が殺したという事を理解していれば、平気な顔をしていようとも、心の中には、罪悪感が浮かんでいると思うんです。だからこそ、知らないとか覚えていないとか、そういう言葉が出てくるのだと思います。やっぱり、それは、加害者にとっても、心の傷になっているのだと思いますよ。

今、現在では、加害者という立場で呼ばれていますが、大量虐殺が行われた時代は、彼らは悪い思想を持った恐ろしい人間たちを退治した勇敢なヒーローだったんです。それが正義だったんです。悪人を倒したんだから、良い人ですよね。でも、本当は違った。只の人殺しだったという事です。


サイレンス

これね、考えてみると、凄く怖いんですけど、今、韓国や中国で、反日教育がされているでしょ。日本人は悪人なんですよ。それを子供の頃から教えられているのだから、悪人の日本人を殺したらヒーローになれると思っている韓国人とか中国人って、結構、居るんじゃないかなぁ。世界をちゃんと見れる人なら、自分の国の教育がおかしいと気が付くけど、そうでなかったら・・・、恐ろしい事です・・・。

人の見方ひとつで、正義と悪が全く反転してしまう世界は、他人事では無く、私たちの周りにも、沢山あるという事です。もちろん、平和で戦争が無いのが一番だけど、日本を悪と思っている近隣諸国が周りにいくつもある事を忘れてはいけないと思いました。

サイレンス

話を戻して、この大虐殺、アメリカ軍の後ろ盾があり、インドネシア軍が殺人部隊を作りやらせたようなのですが、その被害者家族のアディさんを加害者に会わせて、映画を撮っているのがアメリカ人監督というところも、凄いですよね。映画の後のトークショーで、松崎ブラザーズさん(松崎まことさん、松崎健夫さん)がいらして、お話してくださったのですが、アメリカがやらせたんだから、アメリカ人の監督が来て、話を聞きたいと言えば、喜んで話をしてくれるけど、しばらく話をしていると、なんか話が違うじゃないかって事になったんだろうねっておっしゃっていて、あー、確かにそうだろうなぁと思いました。

サイレンス

松崎ブラザーズさんのお話、とっても面白くて、考えさせられる内容で、もっと紹介したいんだけど、cocoさんのサイトで、きっとこの時のレポートが出ると思うので、そちらを読んでくださいね。お二人とも、とてもお話が上手くて、もっとお話を聞いていたかったです。8月1日~7日にテアトル新宿で開催される「傑作絶望シネマ88」という出版記念上映会でも、トークショーをやってくださるようなので、もし、お時間があったら、行ってみたらいかがでしょうか。私、大画面で、また「オールド・ボーイ」を観たかったので、出来たら行きたいなぁと思っています。

サイレンス

なんか、こんなに書いても書き足りないくらいなんですが、この辺りで止めないとと思います。

この映画、私は、超!お勧めしたいと思います。これは、凄い!何度も何度も、思い返して、どーしたら、このもやもやが解決出来るのだろうと悩んでしまうほどでした。今も、思い出すと、ウーンと唸ってしまいます。でも、残酷な映画がダメな方は、止めておいた方が良いかもね。この映画は、ぜひ、「アウト・オブ・キリング」と合わせて観て欲しいと思います。もちろん、既に「アウト・オブ~」を観た方は、この「ルック・オブ~」で、またも、すごい衝撃を受ける事でしょう。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。楽しんでと書くと不謹慎かも知れませんが、シメの言葉なので。カメ




「アク「ト・オブ・キリング」の感想記事    http://ameblo.jp/yukigame/entry-11855282964.html


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