新世代ギターロックバンド3選【ダニーバグ、The Whotens、ウマシカて】 | とかげ日記

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僕がこの記事を書こうと思ったきっかけは、ツイッター上でお世話になっているNさんのツイートだった。

「好きなバンド挙げて妄想企画とかしてたらキリがなくて収集がつかないんけど、ふと

ダニーバグ
ザ フーテンズ
ウマシカて

のスリーマンが有ってほしいと思った。
汚い池袋Admで土曜の昼公演で。」


ダニーバグとThe Whotensは知っているが、"ウマシカて"というバンドは知らなかった。調べてみると、「ミスiD2022 セミファイナリスト」にも選ばれた3ピースのガールズバンドのようだ。 「ミスiD」とは公式サイトによると「新しい時代にふさわしいまだ見たことのない女の子を発掘し育てる講談社主催のオーディション」とのことだった。僕がファンである大森靖子さんが審査員をやっていた関係でミスiDという名前は知っていたが、サブカル寄りで多様性を重視したオーディションというイメージがある。

それで、ウマシカての曲を聴いてみた。ギターの鋭いカッティングがナンバーガールを思い起こさせ、yonigeのようなソリッドなサウンドが魅力的でつかみはOKだった。そして、Nさんのツイートしたようにライブハウスでこれら3組のバンドを聴いてみたいと思った。

この3バンドには、ギターロックでありつつ、いずれも歌心があるのが特徴だろう。歌心があるか無いかって、音楽オタクの中で評価の基準とされることが割りかし少ないと思うけど(音楽オタクは音楽性や革新性の話題を重視しがち)、普遍的で重要な要素だと思う。

また、キャッチーでありつつ、しっかりロックしているのも共通点だ。なぜか、世の中には売れ線だからといってキャッチーであることを下に見る人もいるが、革新的であることとキャッチーであることに上下はない。革新的な音楽は音楽性で冒険しているが、キャッチーな音楽もメロディ、アレンジ、サウンドテクスチャ(音楽の持つ質感や空気感)でどこまで人々の普遍的なツボを突けるか冒険しているのだ。

マイヘアイズバッド、スーパービーバー、yonigeに代わる新世代ギターロックバンドであるこの3バンドを1バンドづつ見ていこう。

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①ダニーバグ

漢気も繊細さも感じるボーカルがまず至高だ。ロックンロールな曲もカッコ良いが、「my list」のようなスローで豊かな曲もあることに音楽的な懐の深さを感じる。ミディアムテンポで旨味の出る音楽的な味わい深さはこの3バンドの中で一番でしょう。詩的で含蓄に富んでいてアートを感じる歌詞も素晴らしい。


「退屈ハイウェイ」


「my list」

また、ダニーバグとフウテンズを語る上で欠かせないのがピロウズからの影響だ。ポップで歌心のあるロックソングを歌うピロウズは彼らのあこがれなのだろう。

渋谷陽一さんの激賞("10年にひとりの天才")で中村一義のデビュー作が脚光を浴びたように、僕もダニーバグを激賞したい。10年にひとつのプリミティブ・ロックバンドであると。(しかし、僕には渋谷さんほどの影響力もネームバリューもないのだった…。)

②The Whotens(フウテンズ)



👆仲睦まじいバンドメンバーたちの様子に、観ているリスナーも自然と笑みがこぼれるナイスMV!

作り込まれた歌声にナルシシズムを感じる方もいるかもしれない。だが、そんな方でも2, 3度聴けば、ねちっこくない爽やかな優しさを歌に感じられるはずだ。誰一人も取りこぼさない"みんなのうた"を目指しているからこそ、歌詞、歌唱、サウンドに優しさは宿るのだ。



ギターが華々しく、ギターロックの愉悦がここに極まる。歌詞は詩的ではないが、シンプルなメッセージが好きな方にはハマるだろう。音楽性は違うが、FIELD OF VIEW(90年代にヒットを飛ばし続けたバンド)のような素直な歌唱やポップネスと率直なメッセージ性を感じる。「セーラ」は情緒面を掘り下げた美メロの名曲なのでぜひ聴いてほしい。

③ ウマシカて

歪んだギターと性急なビートがカッコいい。そして、胆力を感じる女性ボーカルに、シンプルな曲構成だからこそ伝わるエモーション。

「拝啓、クソ男」という曲の歌詞が傑作だ。

君の言葉ってさ 安っぽいよね
有料になったビニール袋の方が 価値あるよ
そんな言葉で示した愛も将来もさ
ないも同然だよね



こなれていて説得力も気づきもある歌詞が最強にカッコよいキラーライン。出だしのこのAメロを聴いて、ソングライターの方は天才だと思った。 ヘイトをぶちまける姿勢は神聖かまってちゃん(特に初期)に通じるものがある。

そして、「1998」という曲。イントロがモロにそうなので、羊文学の1999からインスパイアされた曲なのだろう。yonige、クリープハイプ、バックナンバーなど、曲中にバンド名が出てくるのが面白い。きっと、彼女たちが好きなバンドなのだろう。


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スタジアムロックではない、このスケールだからこそ伝わる切実さが3バンドにはある。 3バンドのソリッドなサウンドは、逃避的なサイケデリック・ロックとは真逆であり、真っ向から戦っている人のサウンドだ(サイケも戦い方の一つだけど)。

彼ら、彼女らの活躍を願っている。本当に良いバンドです!! ダニーバグの杉本さんは大阪中心で活動しているから難しいかもしれないけど、ホンマにこの3マンライブが観たいんやで。

💫おまけ💫


夜に駆ける「化石になろうよ」

音楽性は違うのですが、新進バンドとして「夜に駆ける(バンド名)」は外せない。きのこ帝国、羊文学、リーガルリリーが好きな方なら、上記の動画を観てあまりの完成度の高さにぶったまげるだろう。

僕は"夜に駆ける"というバンドを"うみのて"の笹口騒音さんの紹介で知りました。うみのての臨時サポートでドラムをした川前ころさんが"夜に駆ける"のメンバーであるという繋がりからです。笹口さんのバンドも夜に駆けるも素晴らしいバンドなので聴いてみてくださいね。革新的でありつつ"うた"を演奏する無二のバンドです。

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