●日本出身のインディーロックの雄
DYGL(デイグロー)は2012年結成の男性四人組ロックバンド。四人のうち、フロントマンである秋山信樹さんを含めた三人の前身バンドは、かつてインディー音楽好きに知られたYkiki Beatだ。そして、本作『A Daze In A Haze』はDYGLの三作目となるスタジオアルバムになる。
ザ・ストロークスのギタリストであるアルバート・ハモンドJr.をプロデューサーに迎えた前々作、Palma Violetsやヤック、Childhoodを手掛けてきたRory Attwellをプロデューサーに迎えた前作。今作はそういった著名プロデューサーは関わっていないのだが、素晴らしい仕上がりの作品になっている。
DYGLの音楽を形容する言葉で僕が思いつくのはシンプリシティ(≒簡素、実直さ)だ。洋楽だとストロークス、邦楽だと8ottoにもそれを感じる。繊細な美学が感じられるシンプルな演奏とメロディが魅力的だ。
そして、秋山さんのボーカルには安心感がある。声を張り上げたり、むやみに高音を使ったり、必要以上のエモーションとテンションを加えたりしない、落ち着いて聴いていけるボーカルだ。
日本人バンドなのに英詞であることも特徴だ。母国語ではない英語にあえて挑むのは、世界中のリスナーに聴いてほしいからだろう。また、フロントマンの秋山さんはイルカ、中島みゆき、ザ・フォーク・クルセダーズを好きな日本語詞の音楽に挙げている。そういった日本語として美しく、歌詞が詩になっている音楽が好きなため、日本語でロックミュージックを演奏することはハードルが高く敬遠しているのだろう。
(日本語ロックで歌詞に詩性を感じるバンドとしては、"ダニーバグ"と"うみのて"をオススメしたい。DYGLのようにメロディの良さが光り、豊かな音楽でありつつ、歌詞が詩なのだ。)
音楽性的にも幅がある。#3「Half of Me」はグリーンデイ的なポップパンクだと僕は受け取ったし、#7「Bushes」ではマイブラやライド的なシューゲイザーの音空間に心が満たされた。
#4「Did We Forget How to Dream in the Daytime?」は都会的で開放的なサビがWeezer(ウィーザー)のような雰囲気だと感じた。#7「Wanderlust」もギターのフレーズがWeezerの「ビバリーヒルズ」を連想させた。Weezerは僕の好きな洋楽バンドの筆頭なので、共通点のあるDYGLの音楽も聴きやすかったといえそうだ。
また、時折聴かせる陽性なメロディはハイスタを思わせた。ハイスタは日本人バンドでありつつ、英詞であることもDYGLと共通している。DYGLもハイスタのように国内外で売れてほしい。ハイスタよりも英語の発音が流暢だし、英語圏のリスナーには刺さりやすいのではないだろうか。
Score 8.0/10.0
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【平成ベスト】
平成のベストアルバム 30位~21位(邦楽)
平成のベストアルバム 20位~11位(邦楽)
平成のベストアルバム 10位~1位(邦楽)
【2010年代ベスト】
2010年代ベストアルバム(邦楽)30位→21位
2010年代ベストアルバム(邦楽)20位→11位
2010年代ベストアルバム(邦楽)10位→1位
【年間ベスト】
2020年間ベストアルバム(邦楽・洋楽混合)
2020年間ベストソング(邦楽洋楽混合)
2019年間ベストアルバム(邦楽・洋楽混合)
2019年間ベストソング(邦楽・洋楽混合)
2018年間ベストアルバム(邦楽・洋楽混合)
2018年間ベストソング(邦楽・洋楽混合)