【石田想太朗と川辺歩】素人が新人2組の音楽を論評する | とかげ日記

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この記事では石田想太朗さんと川辺歩さんという2組の新人アーティストについて、批評家見習いである僕がなるべく対等な立場から論評します。また、『とかげ日記』でパワープッシュしている"ダニーバグ"と"夜に駆ける"についても記事の後半で紹介します。読者の皆さん、気になった音楽があれば、ぜひ聴いてみてくださいね!

●石田想太朗



石田想太朗「熱帯夜」feat.しらぽん

期待の新人が現れた! このブログで作品を取り上げてほしいとアーティストご本人からメッセージをいただいて聴いてみたのだけど、洗練され完成されたサウンドの世界観を持っており、そこに新時代のスタンダード感を覚えて感心した。

Shibuya Sessionと名付けられたこのプロジェクトに関わるメンバー全員が2001年度生まれという若さ。ジャジーな曲も真正面からのポップスも、この若さでここまでの音楽を作れるのが信じられない。そして、"アマチュアだから、少しくらい粗くても構わない"というようなアマチュアリズムの罠に陥っていないのだ。

しかし、作り込まれたサウンドは濃密であるが、ドラムはおそらく打ち込みだし(クレジットにはドラムの名前があるが、これで生だったら相当の手練れだけどリズムがスクエアすぎる)、同じテンションで曲が続くのでメリハリが乏しく、金太郎飴にも感じる。良くも悪くも人肌の温もりを感じさせないクールな作りだ。ただ、とてもウェルメイドで、細部まで考え抜いて構築されたサウンドだとも思う。このウェルメイドな感覚は、都市の感性の発露だ。

毎作品に迎えたゲストの女性ボーカルが上手すぎ。アマチュアだろうけど、巷のプロよりも上手い。流麗なメロディをエモーショナルに歌い、表現する世界に一直線で連れて行ってくれる。ただ、完成され過ぎていて、フックがなく匂いもしないとも感じる。

彼の曲では「熱帯夜」という曲が好きだ。「熱帯夜」は歌唱にもメロディにも匂いがあるし、リズムへのアプローチは2010年代の音楽の良いところを凝縮したような曲だと思う。

サブスク上にある石田さんの作品へのリンクは以下からどうぞ❣️
先日リリースされたばかりの作品もありますよ💫
https://www.tunecore.co.jp/artists/Sotaro-IshiDAX

●川辺歩


川辺歩「清くない 正しくない 美しくない」

一方、こちらは個性と匂いと味だけでできたような曲で、曲に意思を感じる。音楽全体を通して一つの意思を伝えたい思いをそこに見る。

初めて聴いた時、とても音楽的で驚いた。ピアノの深い響きがリスナーの自分の心の傷を癒してくれるようだった。これからも聴いてみたいと思わせる曲だった。

歌詞には稚拙さがあるが、ストレートに気持ちを表したものだとして評価できる。言葉選びにこだわっているが何の感情も表現できていない歌詞よりもずっと良い。

初期中村一義のような音楽への親密さを感じる。一から宅録で作った手作りの親密さがこの曲にはあふれている。

●とかげ日記でオススメしている新人バンド

このブログでは、"ダニーバグ"と"夜に駆ける"を特段に推しています。

ある方が「まとまらない思いを歌うのは良いけど、まとまりのない歌を歌うのはダメだよね」という話をしていたが、"ダニーバグ"と"夜に駆ける"は、まとまらない思いを歌いつつ、まとまりがある歌だと思う。曲の構成もスッキリしているし、情景を描き切る力が段違いなのだ。





本日11月30日にダニーバグは1stフルアルバムをリリース! 各種サブスクへのリンクは以下のURLから。
https://linkco.re/QnptmaYm
みなさんもぜひチェックしてみてくださいね。

2020年代の新しい才能に乾杯…!

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