【スピッツとうみのて】「聞きたいのは芸術じゃない。"うた"なんだよ」という意見に対して | とかげ日記

とかげ日記

【日記+音楽レビューブログ】音楽と静寂、日常と非日常、ロックとロール。王道とオルタナティブを結ぶ線を模索する音楽紀行。



‪良い「うた」を作れないミュージシャンは、良い「音楽」を作ろうとする。‬歌ものとしての歌というよりも、演奏や音楽性にフォーカスするミュージシャンの多いこと、多いこと。これは、ポップなソングライティングができないミュージシャンは、音楽全体で勝負するしかないからだと思う。また、目指す音楽性に引きずられて、歌ものではなくなってしまうケースもある。

あるいは、歌ものを作らないことがカッコ良いと思っているのかもしれないし、曲を必要以上にポップにすることを嫌っているのかもしれない。しかし、歌ものポップ至上主義の僕はそんな音楽やミュージシャンを好きになれない。

そして、今挙げたミュージシャン自身の問題もあるが、そもそも構造的に、2010年代は90年代にあふれていた「うた」をベタだとして忌避し、「うた」が作られることは少なかったのだ。‬‬

‪だけど、2010年代以降でも、歌ものとしてのポップネスと深みのある音楽性を両立させているアーティストがいる。僕はそんな音楽が好きだ。


あと、‪これに関連して 「聞きたいのは芸術じゃない。うたなんだよ」というある方のツイートも見たが、僕は芸術も「うた」も聴きたいと思ってしまう。‬

‪僕が好きなスピッツは芸術と「うた」を両立したバンドだと思う。美大卒の草野さんのセンスが活かされている。‬あの繊細さは美大でキャリアを積んだからこそと思う。

スピッツは芸術と「うた」を両立しているからこそ、音楽オタクが他人に音楽の趣味を聞かれた時の最適解になるのだ。音楽に芸術性を求める人にも「うた」を求める人にも、スピッツは愛されているからね。



学歴で人を区別する訳ではないけど、このブログにもちょくちょく登場する"うみのて"の笹口騒音さんは日大芸術学部映画学科卒なんですよね。そして、映画の傑作のように情景を描き分けるソングライティングが上手い。笹口さんの曲は歌詞にもメロディにもフックがあって聴きやすい。そして、「芸術は爆発だ」の名言のように音楽で芸術性を爆発させるような瞬発力があり、曲想をダイレクトにリスナーに伝える創造性がある。

うみのての曲を「うた」だと言うと、「うた」の概念を広めているリスト係さん界隈からは「違う」と言われるだろう。しかし、それでいい。リスト係さんが思う「うた」の範囲と僕が思う「うた」の範囲は違うのだ。リスト係さんは音楽が好きでない人も振り向かせる歌ものを「うた」とし、僕は歌として一本の筋が通った歌を「うた」だとしている。この辺りの説明は感覚的になってしまうが仕方がない。なぜなら、音楽は感覚的なものだから。



スピッツもうみのても、曲は「うた」としての一本の筋が通っていて、無駄な箇所がない。歌詞とメロディ・リズム・ハーモニーは歌全体に奉仕し、一つの歌としてメッセージやフィーリングを伝える。そして、ポップ。(僕はうみのての曲もポップだと感じる。)これが僕の考える"うた"だ。

他にも「うた」と芸術性を高い次元で両立させたミュージシャンはいるけど、僕の目に留まったミュージシャンはこのブログ『とかげ日記』に載せています。あなたのオススメがあったら、コメントやリプで教えてくださいね。

2020年代は「うた」が増えますように…!


💫関連記事💫以下の記事もどうぞ❣️
とかげ日記の音楽評価基準
少数と多数の間に架橋する