工業化にともなう「食の欧米化」
高タンパク、高脂肪、砂糖過剰、ビタミン・ミネラル不足、低食物繊維
マクガバン・レポートは、私たち現代人の間違った食生活が、ガン・心臓病・脳卒中・糖尿病などの生活習慣病を引き起こしていることを明らかにしました。間違った食事とは、一言で言えば「欧米型の食事」のことです。工業化に成功し、経済的に豊かになった国々においては、必ずこうした欧米型の食事が普及するようになります。
●マクガバン・レポートとは
1970年代のアメリカでは、心臓病の死亡率が一位で、がんは二位でした。
心臓病だけでアメリカの経済はパンクしかねないと言われる程に、医療費が増大していため、全世界から選りすぐりの医学者・栄養学者が集め、「食事(栄養)と健康・慢性疾患の関係」について、世界的規模での調査・研究が7年間の歳月と数千万ドルの国費を投入して行なわれました。
そのときに、5000ページに及ぶ膨大な報告がなされているのですが、それを委員長の名前をとって【マクガバン・レポート】と呼ばれています。
「マクガバン・レポート」は「諸々の慢性病は、肉食中心の誤った食生活がもたらした《食原病》であり、薬では治らない」としています。
更に「われわれはこの事実を率直に認めて、すぐさま食事の内容を改善する必要がある」と、7項目の食事改善の指針を打ち出しています。
指針を要約すると、高カロリー・高脂肪の食品(肉・乳製品・卵)である動物性食品を減らし、できるだけ精製しない穀物や野菜・果物を多く摂るようにとされています。
また、この「マクガバン・レポート」を補足する形で発表されたのが「食物・栄養とがん」に関する特別委員会の中間報告ですが、そのレポートで特に注目されるのは、「タンパク質(肉)の摂取量が増えると乳がん・子宮内膜がん・前立腺がん・結腸・直腸がん・膵がん・胃がんなどの発生率が高まる恐れがある」として「これまでの西洋的な食事では、病気と脂肪・タンパク摂取量との相関関係は非常に高い」と述べています。
そして最も理想的な食事は元禄時代以前の日本人の食事であることが明記されているのでありますが、元禄時代以前の食事と言いますと結局は精白しない殻類を主食とした季節の野菜や海草や小さな魚介類といった内容です。
このレポートが発表された時、アメリカ国内は勿論、全世界にショックをもって受けとめられました。そして、このような背景があるので、昨今の欧米では《日本食=健康食》といったイメージが広がり、人気となっているのです。
日本も昭和30年(1955年)頃から工業国としての道を歩み出し、それにともない国民の食生活は大きく変化するようになりました。それまでの、ご飯・味噌汁・豆・漬物・魚・野菜料理といった伝統的な食事が徐々に隅に追いやられ、欧米型の食事(洋食)がとって代わるようになりました。トンカツやハンバーグに代表される肉料理・揚げ物料理、カレー、スパゲッティー、ピザなどが毎日の食卓にのぼるようになりました。トーストしたパンにバターやマーガリンを塗り、ハムエッグにコーヒーといった朝食が好まれるようになったのです。
多くの人々は、洋食にすることは進歩的であり、これまでの伝統食を続けることは時代遅れであるかのように思いました。従来の日本食にはなかった欧米型の食事は、人々の目には、まさに新鮮で進歩的で、ハイクラスの食事スタイルであるかのように映ったのです。 また国民の体力アップを目指して政府が行った牛乳や洋食普及のキャンペーンが、食の欧米化を後押しすることにもなりました。
こうして欧米的な食事は、昭和30年以降、あっと言う間に国民の中に浸透することになりました。そして多くの若者の食事は洋食がメインとなり、それになじめない年寄りだけが、これまでの日本食にしがみつくといった状況が展開することになりました。
世界中に広がる「欧米型食事」
経済発展にともなう「食生活の欧米化」という傾向は、日本にかぎらず世界中の至るところで等しく見られます。台湾・韓国・シンガポールといった日本に次ぐアジアの工業国でも、また近年経済発展の著しい中国においても、欧米型の食事はすさまじい勢いで普及し始めています。特に世界一の人口を抱える中国では、“肉食化”が急速に浸透しようとしています。こうした国々では、日本と同様に、若者や金持ち層が高価な欧米食に群がり、これについていけない年寄りや貧しい人々が、それまでの安価な民間食を食べ続けるという二極の構図ができ上がっています。
欧米型の食事を象徴するのが、外資系のファーストフードの世界的フランチャイズです。マクドナルド・ケンタッキー・ピザハット・ミスタードーナツといった世界的フランチャイズは、まさに欧米型食事の見本と言えます。発展途上国の人々にとって、こうした食事は一種の憧れともなっています。アメリカ資本によるファーストフードは、世界に冠たるアメリカの物質文化の繁栄を象徴し、多くの若者の中にアメリカン・スタンダードを植え付けるのに大きな役割を果たしています。
また欧米型の食事は、昔は一部の上流階級や金持だけに許されていた、ぜいたくな食事・宮廷料理と通じるものです。経済的に豊かになるにつれ、国民の誰もが“グルメ(美食家)”となり、かつては一握りの金持だけが食べていたのと同じ、ぜいたくな食事を求めるようになるということです。「よりおいしいものを食べたい!」という人間の食本能によって、欧米型の食事は、物質文化の発展と並行して世界中に広がろうとしています。
病気の元凶となる「悪い食事」――欧米型食事
こうした欧米型の食事が、人々に健康をもたらすのであれば何の問題もありません。
しかし食生活が欧米化すると、どこの国においても、決まって「ガン・心臓病・脳卒中」が死因の上位(1~3位)を占めるようになるのです。欧米化した食事と現代病・成人病との間には、はっきりとした相関関係が見られます。
マクガバン・レポートは、この点を明確にしたのです。欧米型の食事は、明らかに人々の健康にマイナスをもたらします。それは、まさに「悪い食事の典型」なのです。
欧米型食事の傾向
では、欧米型の食事の何が具体的に悪いのでしょうか。「伝統食」によって食生活が営まれていたときには、現在蔓延しているような病気は、ほとんどありませんでした。その伝統食と比べて、欧米型の食事には、どのような問題点があるのでしょうか。
悪い食事のモデルと言われる間違った傾向とは――「肉の多食」「脂肪の摂り過ぎ」「砂糖の摂り過ぎ」「野菜の不足」です。これをマクガバン・レポートが明らかにした、欧米型食事の問題点です。これを栄養学的に分析すると――「高タンパク」「高脂肪(高脂質)」「砂糖過剰」「ビタミン・ミネラル不足」「低食物繊維」ということになります。このような栄養状況が、細胞機能を損ない、健康レベルを低下させ、現代病を生み出しているのです。
こうした食生活の点から考えますと、片頭痛も一般の生活習慣病と全く変わらないということが理解されたと思います。
以上で、片頭痛改善のための基本的な食事の考え方を、一通り述べました。
片頭痛発症に、食生活がどのように関わっているのか、お分かり頂けたかと思います。
そして、片頭痛改善のためには、食生活の重要性が明らかとされました。
この食生活を無視しては、片頭痛は改善されることはありません。
しかし、日本頭痛学会の作成される「慢性頭痛診療ガイドライン」には殆ど記載されることはなく、ましてや日本頭痛医療の最先端とされる「埼玉国際頭痛センター」にも、このような「食事・栄養指導」を行う部門が存在しません。
こういったことから、日本の頭痛医療は、どうなっているのでしょうか???
片頭痛は、ミトコンドリアの機能低下による頭痛です。ミトコンドリアはエネルギー産生を行う場所です。このエネルギー産生を行うためには、食事の摂取の仕方がいかに大切かは、馬鹿でも理解されるはずです。このような基本的な考え方が欠如しているようです。
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