専門家の”想定外”の事件簿 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

片頭痛は脳の血管の局所的な疾患???


 片頭痛の痛みの特徴は、ズッキンズッキンとする拍動性です。

 この特徴から血管が痛みを発しているのであろうと専門家達は推測されました。
 片頭痛には,前兆のある片頭痛と前兆のない片頭痛の2種類があります.

 前兆のある片頭痛は目がチカチカしたり,手がしびれたり,言葉が出なくなったりという前触れがあってから大きな拍動性の頭痛が来るのが典型的なパターンです.
  最初は血管が何かの原因で収縮を始め,その収縮によって脳に虚血が起こって目がチカチカしたり,視野が欠けたりするのではないかと言われていました.
  そして次にはその収縮が保てなくなり,拡張に転じて激しい痛みが来るのだろうと説明しました.このように脳の血管が拡張することによって片頭痛が起きるとされていました。
 ですから、片頭痛の痛みを緩和させるために、拡張した血管を収縮させることです。
 この考え方から使われたのがエルゴタミン製剤でした。


エルゴタミン製剤


 トリプタン製剤が出る前は、片頭痛にはエルゴタミン製剤という平滑筋を収縮させる薬(血管収縮薬)が主に使われていました。
 先述のように、片頭痛は脳血管が拡張して起きることから、血管の平滑筋を収縮させて血管の拡張を抑えようとしたものです。
 実際、この種類の薬剤には、カフェルゴット、クリアミン、ジヒデルゴット等があり、片頭痛に効果を持ち、長いこと使われてきました。トリプタンが発売されるまでは、エルゴタミンは片頭痛治療の中心的な薬剤でした。


 エルゴタミン製剤は前兆のある片頭痛の場合、制吐剤をうまく併用することによって抜群の効果を発揮していましたが、問題は前兆のない片頭痛の場合、服用のタイミングが極めて難しく、患者さんは、痛くなってから飲んだのでは効かないので、痛くなる前に飲まなければなりません。患者さんは痛くなると大変だからと、頻繁に飲むようになります。また、ある程度痛くなってから飲むと、頭痛が治まらないばかりか悪心嘔吐を起こします。 このために、つい”先手””先手”で服用せざるを得なくなって、知らぬ間に過剰服用となって薬剤乱用頭痛を引き起こしていました。


 発作のごく初期、特に目がチカチカするタイプの前兆を伴う片頭痛の患者さんは、なるべくこの目がチカチカしているときに飲まないとほとんど効果がないのです。
 それから、これは脳の中のドーパミン系という所にも作用するお薬ですから、吐き気が出てしまうのです。飲んでも吐いてしまう患者さん、それでも我慢しながら飲んでいる患者さんはいらっしゃいます。
 それから、飲み過ぎで、依存性が出やすいのです。1週間に10錠以上、人によっては12錠という先生もいらっしゃいますけれども、1週間に10錠から12錠以上毎日連用していると、だんだん依存性を来して、手放せなくなってくるのです。
 しかも、このエルゴタミン製剤は、脳の血管だけではなく全身の動脈に作用します。
 したがって、気をつけて使わないと、だんだん手足の先端から冷たくなってくる。いわゆるレイノー症候群と言いますけれども、だんだん冷たくなってきて、それを無視して飲み続けると、だんだん指が腐ってくるというようなことを起こす患者さんも実際にいらっしゃるのです。
 それから、これらのエルゴタミンというお薬の代謝系の問題で、ある種の抗生物質、最近よく使うマクロライド系の抗生物質、あるいは胃薬の中でタガメット、このようなお薬と慢性的に併用することによって、だんだんエルゴタミンの血中濃度が上昇して、動脈の収縮が強くなって、手足が冷たくなる症状が進行する場合があります。
 したがって、このエルゴタミンをお使いになるときには、日常普通に使うような抗生物質でも、よくお医者さんに選んでもらって使わないといけないという注意が必要になってきます。


 このエルゴタミン製剤の最大の欠点は、脳の血管だけではなく全身の動脈に作用することです。このため、悲惨な副作用を引き起こすと恐れられいました。
 詳しいことは以下をご覧下さい。


     ”聖アントニウスの業火”って何???
     
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12052078604.html


 このため、脳の血管だけに作用する”血管収縮薬”の開発に全精力が注ぎ込まれることになり、1980年代に至って初めて、イギリスでセロトニン様作用をもつトリプタン製剤が開発されることになりました。


トリプタン製剤


 片頭痛発作の時はセロトニンと呼ばれる脳内物質が減少あるいは機能が低下することが知られています。片頭痛発作の時に、セロトニン様作用をもつトリプタンがよく効くのは、機能低下状態に陥っているセロトニンをバックアップするからなのです。
 そして専門家によって、以下のようにトリプタン製剤が効力を発揮するとされています。


トリプタン製剤の作用機序


 トリプタン製剤が片頭痛に効果があるのは、頭痛が起きる仕組みの根幹部分に作用しているためです。片頭痛にはセロトニンという物質が大きくかかわっています。
 セロトニンは神経伝達物質のひとつで、感情のバランスを安定させる役割を持ち、血管を収縮させます。”ストレスなど何らかの理由”(不明とされます)でセロトニンが分泌され、収縮した血管は、役割を果たして減少するにつれて今度は拡張します。
 血管が拡張することによって血管に絡みついた三叉神経が刺激され、頭痛が起きる、というのが一つ。
 さらに、三叉神経が刺激されると、サブスタンスPやCGRPなど炎症を起こす物質が分泌され、血管を刺激して痛みが出てくる、というのが一つ。
 この二つが片頭痛が起きるメカニズムです。
 このように血管の収縮と拡張に大きく影響しているセロトニンですが、トリプタンという薬は、セロトニンと同じような作用を持っています。そのためセロトニンの代わりに血管を収縮させ、拡張によって三叉神経が刺激されるのを防ぎます。
 さらにセロトニンは三叉神経に取りついて、痛み物質のサブスタンスPなどが分泌されるのを抑制する役割がありますが、ここでもセロトニンの代わりにトリプタンが三叉神経に取りつき、サブスタンスPなどの分泌を抑制して痛みが出るのを防ぎます。
 このようにトリプタンは脳の中でセロトニンとして働き、血管を収縮させ、サブスタンスPなどの分泌を抑制する、という2つの役割を果たすことにより、片頭痛の起きる原因そのものを排除します。つまりトリプタンは、片頭痛という病気のより本質に近いところに作用して痛みを取るため、効果が高いというわけです。


 もう少し、穿って説明しますと、片頭痛発作時には、「脳内セロトニン」が不足した状態にあります。トリプタンという薬は、脳内セロトニンと同じように、血管には1Bという鍵穴があり、トリプタンはこの鍵穴に作用して、血管を収縮させ、拡張によって三叉神経が刺激されるのを防ぎます。
 さらに血管の周囲から「痛み物質」が、シャワーのように血管に降り注いで、血管の拡張と炎症が起こっており、シャワーには1Dという鍵穴があって、トリプタンはこの鍵穴に作用して、「痛み物質」の放出をとめます。ここでもセロトニンの代わりにトリプタンが三叉神経に取りつき、サブスタンスPなどの分泌を抑制して痛みが出るのを防ぎます。


 このように頭痛の専門家達は、トリプタン製剤の作用機序を説明され、頭痛が起きる仕組みの根幹部分に作用していると言って、トリプタン製剤が片頭痛の”特効薬”とされてきました。
 そして、頭痛研究の大半は、専ら片頭痛が中心となり、片頭痛の病態も各種のトリプタン製剤の作用機序の面から研究し、説明されてきました。


 その結果、肝心要の”中枢神経系でセロトニンが減少する”理由についてはまだ謎とされます。
 片頭痛の患者さんは,そうでない方と違って特別に興奮しやすい状態があるのではないかとされ、このような「脳過敏」を起こす原因もこれまた、不明とされます。
 そして、前兆に関連して、「大脳皮質拡延性抑制」が提唱されていますが、この「大脳皮質拡延性抑制」を起こす原因が分かっていないとされます。
 その前兆のかなり前に予兆と呼ばれる症状があります。あくびが出るとか,異常にお腹がすくとか,イライラするとか,眠くなるなどの症状があってから前兆が起こり,さらに激しい発作が起こること,発作が鎮まった後も気分の変調があったり,尿量が増加したりするなど全身の症状を伴うことが分かりました。そうなると,片頭痛は脳の血管,あるいは脳だけの局所的な疾患ではないのではないかという疑問が持たれています。
 このような観点から病態を説明する最大の問題点は、片頭痛が慢性化する理由が、一切、見当がつかないとされていることです。


 こうしたことから、片頭痛は脳の血管,あるいは脳だけの局所的な疾患ではないのではないかという疑問が出てきました.


 片頭痛は、これまで長い間、脳を取りまく血管の病気、つまり「血管性頭痛」であると考えられてきました。しかし、片頭痛前兆の研究や片頭痛特効薬トリプタンの作用メカニズムなどから、現在では血管の疾患ではなく、大脳の深い部分にある間脳あるいは脳幹と呼ばれる器官の付近に「片頭痛発生器」があると考えられるようになってきています。
 つまり片頭痛は「中枢神経疾患」であると考えられています。
 片頭痛には、「前兆のある」タイプと「前兆のない」タイプがあります。いずれのタイプにおいても、大脳の後頭葉皮質におこる神経の興奮現象(大脳皮質性拡延)がその原因とされており、片頭痛発作のスタート現象として注目されています。現在、片頭痛の予防薬の開発目標は、この皮質拡延性抑制をいかに抑える薬を見つけるかが鍵になっています。


 このように、片頭痛は本来、脳のなかに異常のない頭痛とされていたものが、いつの間にか、脳のなかに異常のある「中枢性疾患」とまでされるに至っています。
 このように、根本的な”定義”さえ、覆すといった「迷路」に嵌り込むことに至りました。しかし、専門家は、このことを「頭痛学の進歩」と自画自賛されます。


市販の鎮痛薬の弊害(専門家による説明) 


 一部の専門家は、片頭痛に対して、市販の鎮痛薬を服用する弊害を次のように説明されてきました。


 片頭痛の起こったときに、一般的には市販の頭痛薬を使う人が多いと思います。
 市販の頭痛薬や痛み止めの大部分は”みかけの痛み”のみを取り払い、水面下で起こっている脳の神経細胞の興奮症状を置き去りにしています。
 当然、毎回の片頭痛発作のたびに起きている脳の血管周囲の炎症に関しても放置されたままになっています。
 この興奮状態の放置により、片頭痛の回数や程度がだんだんとひどくなってきて、市販の頭痛薬の用法や用量の規定範囲を超えるようになってきたり、飲む回数が増えてきたりします。
 すぐに、頭痛専門の医師に相談するのが一番いいと申されます。このような患者さんに対して、頭痛専門の外来ではトリプタン製剤と呼ばれる片頭痛治療薬が処方されます。
 まず、トリプタン製剤の説明をしておきましょう。この薬剤は市販の鎮痛薬とは異なり、片頭痛発作の際に脳の血管周囲に張り巡らされた三叉神経から、炎症蛋白が放出されるのをブロックすると同時に、膨れあがった脳の血管を元の大きさに戻す作用を持ち合わせる、いわば根本から片頭痛を断ち切る薬であるといえます。
 水道の蛇口にたとえるとわかりやすいでしょう。
 片頭痛とは、脳の血管の周りに、水道の蛇口からジャージャーと炎症物質を含んだ水がばらまかれている状態です。たいていの市販の頭痛薬(アスピリン=アセチルサリチル酸:製品名バッファリンAをのぞく)は、このように水が出っぱなしになっているにもかかわらず、その下で水を拭き取る雑巾のようなものです。いくら、早くきれいに拭き取ろうとしても、大元の水道の蛇口からは水が出っぱなしの状態であり、頭痛薬である雑巾は何枚も必要になります。そして、やがて雑巾もボロボロになって拭けなくなってしまうのです。
 これは、市販の鎮痛薬を規定範囲を超えて何度も飲んでいる間にだんだん効かなくなり、そのうち飲む日数が徐々に増えていき、しまいには毎日頭痛薬を飲むような状況に陥ってしまうのと同じです。
 これに対してトリプタン製剤は、炎症の水が出っぱなしになっている水道の蛇口を閉めてしまうことにより、片頭痛の痛みを根本から断ち切るー・・そう考えていただければ、理解しやすいでしょう。
 ここで大切なことは、この蛇口を閉めるのに時間がかかってはいけない、ということです。水浸しになってから蛇口を閉めても、炎症の水が時間とともに乾くのを待たなければ、痛みは取れないからです。
 したがってこのトリプタン製剤を飲むタイミングは、何となく痛くなってきてから30分以内だと非常に効きがよく、患者さん自身がベストタイミングを習得する必要があります。 しかし、心配はいりません。片頭痛持ちの女性は聡明で頭がいいため、何となく片頭痛が起こりそうな肩こりがしたり、生あくびが出たり、また何となく異様な空腹感が出てくる片頭痛の前段階の予兆期を、十分に学習することも可能です。
 トリプタン製剤をタイミングよく飲むことが出来れば、大元から炎症を起こす蛋白がばらまかれるのを防いでくれ、片頭痛との付き合いを快適にしてくれます。
 また、トリプタン製剤は、不必要に脳の血管が炎症で損傷することも防いでくれるため、結果として、将来、脳梗塞に陥ることをある程度防いでくれることも明らかになっています。

 このような神経の炎症物質がばらまかれ、脳が片頭痛のたびに異常な興奮を繰り返すことを放置していると、脳の血管損傷の他にも、将来、よからぬことが起こるのです。
 それは、歳を取って片頭痛の痛みを忘れた頃に、突如襲ってくる、しつこいめまいや耳鳴り、さらには性格の変化です。
 片頭痛の発作のたびに脳が異常な興奮を繰り返していると、歳を取ってからは脳がちょっとした刺激で簡単に興奮するようになり、さらには常時、興奮状態が続くような状態に陥ってしまいます。このために、めまいや耳鳴りなどの症状が出るようになるのです。
 めまいは片頭痛のように吐き気を伴い、しかし長くとも3日は続かず、また体を動かすと強くなるなど、頭痛がしない以外は片頭痛と同じような症状を呈します。
 さらに、脳が常時興奮するような状態になると、耳鳴りが止まらなくなります。この耳鳴りは、耳に異常があって起こるのではなく、大脳にある側頭葉という、聴覚の中枢のある部分が興奮することによって起こる症状で、正確な医学用語では「頭鳴」といいます。
 このような状態になってからでも、脳の興奮症状を抑えるような抗てんかん薬を服用することで、ある程度は治療可能です。しかし、長年の間にこびりついた”お焦げ”をはがすには、相当時間がかかりますし、完全に取り払うことは不可能なことも多いです。
 このような結果に至らなくするためには、頭痛は単に痛みを抑えればよい、もしくは頭痛は我慢すべき病だという間違った考えを捨てるべきです。


 片頭痛の発作の都度、トリプタン製剤を服用していないと、うつ状態やパニック障害を来したり、将来的にはめまい・耳鳴り・性格異常が予防でき、さらに脳梗塞までも予防できるとされています。
 しかし、片頭痛発作時に、”雀の涙”ほどの量のトリプタン製剤を服用したからといって、脳内セロトニンの低下は十分に補填できるものなのでしょうか?


トリプタンによる薬剤乱用頭痛、慢性化の問題


 トリプタン製剤は、大半は有効時間が短いため、片頭痛発作の持続時間が長いと、1回の服用で頭痛を抑制できずに、服用回数が増えざるを得ないという宿命にある薬剤で、市販の鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、エルゴタミン製剤より以上に ”薬剤乱用頭痛を引き起こしやすい薬剤”とされていますので注意が必要です。
 

 1980年代はじめに、片頭痛の治療領域にトリプタン製剤が開発され、1990年に実際に販売されて間もなくの1990年代の半ばには、既に、頻回の服用によりトリプタンによる薬剤乱用頭痛に陥りやすく、その状態は頭痛の程度が一層強いこと、そして従来の予防薬では効果が得られないことがわかり大問題となっていました。
 このように、日本にトリプタン製剤が導入される以前から、欧米では「トリプタンによる薬剤乱用頭痛」明らかにされて、問題視されていました。
 ということは、日本の専門家はこうした事実を無視してトリプタン製剤を片頭痛の”特効薬”として誇大宣伝を行っていたことになり、果たして、これを”想定外”の出来事といえるのかどうか疑問となります。
 さらに、トリプタン製剤は患者のわずかに50~60%だけしか効果が見られません。
 心疾患のある患者や脳梗塞の既往のある患者、末梢血管障害のある患者では使うことができないからです。
 しかも、それらは根本的な治療薬ではない(片頭痛を根治させる薬剤ではない)ため多くの場合頭痛は24時間以内に再発する傾向があります。このような有効率しかないものです。

  このような結果、「トリプタンによる薬剤乱用頭痛」、慢性片頭痛が増加の一歩を辿っており、都市部では片頭痛患者3人に1人は、このような慢性片頭痛とされ、トリプタン製剤導入以前には、60歳を過ぎれば、自然に片頭痛発作は消失してくるとされながら、60歳を過ぎても依然として、同様の発作回数を示し、消失してくることはありません。
 このように健康寿命を短縮させる結果に至っています。まさに、ミイラ採りがミイラになってしまいました。

  

なぜ、想定外のことがおきたのでしょうか??


「ミトコンドリアの機能を悪化させるもの」には、以下の要因があります。


  1.生活習慣の問題


    睡眠不足
      運動不足
     食べ過ぎ・過食
     早食い・ドカ喰い・・インスリン過分泌
     薬剤による影響・・とくに市販の鎮痛薬


  2.食事内容の問題


    マグネシウム不足
     必須脂肪酸の摂取のアンバランス 
     鉄不足

    
  3.生活環境の問題


    活性酸素    野菜不足・・抗酸化食品の摂取不足
     有害物質


  4.年齢的な問題


     女性ホルモン(エストロゲン)の分泌低下
  


 以上のように、ミトコンドリアの機能を悪化させる要因は、私達の生活環境および生活習慣のなかに満ち溢れています
  このような生活環境に置かれている私達は、知らないうちにミトコンドリアの機能を悪化させています。
 ミトコンドリアの機能が悪化すれば、エネルギーを産生する際の副産物として活性酸素を生み出してきます。そして、この活性酸素がさらにミトコンドリアの機能を悪化させるという悪循環を来すことになります。


 ミトコンドリアを増やすと、体全体のエネルギー発生量を増やすことができます。ミトコンドリアを増やし、活性化させると、エネルギー合成時に発生する活性酸素の消去する機能も高まります。
 しかし、弱ったミトコンドリアの活性酸素を消去する機能は低く過剰の活性酸素が発生し、その活性酸素によってミトコンドリアがさらに弱っていくという悪循環が始まります。


 ミトコンドリアが酸素を取り込み、エネルギーを作る過程で活性酸素は必ず発生します。もちろん活性酸素が体の中で増える一方ですと、人間はたちまち死んでしまいます。
 そのため、私たちの体は活性酸素を取り除く手段(抗酸化物質)を持っています。体内物質としては、尿酸、グルタチオンがあり、体内酵素としては、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、カタラーゼ、グルタチオンーペルオキシダーゼ、コエンザイムQなどがあります。
  ただ、この手段では手に負えない(消去できない)量の活性酸素が発生したとき、活性酸素の発生が”活性酸素を取り除く手段(抗抗酸化物質)の能力”より常に優位な状態が、いわゆる「酸化ストレス」になります。


  このようにして「酸化ストレス・炎症体質」が作られてきます。


 「酸化ストレス・炎症体質」とは活性酸素の発生が除去しきれないほど発生してしまう状態のことで、これらが原因で細胞が傷つけられ、さまざまな病気(炎症)を引き起こしてしまう状態・体質のことを言います。
  たくさんのミトコンドリアが余裕を持ってエネルギーをつくる態勢だと、活性酸素はそれほど問題になりませんが、少ないミトコンドリアが必死にフル回転でエネルギーを作ろうとすると、活性酸素がたくさん排出されてしまいます。

 

 「酸化ストレス・炎症体質(片頭痛体質)」を基盤として、ちょっとしたことで(ストレスなど何らかの理由で・・)「活性酸素」や「遊離脂肪酸」が過剰に発生して、”血小板が凝集する”ことによって生理活性物質のセロトニンが血小板から血管外へ放出され、脳の血管が収縮して血流が減り(片頭痛前兆期)、その後、しばらくすると、役割を果たしたセロトニンは減少しやがては枯渇し、その反動で脳血管が拡張し、多くの血液が脳に流れるようになります。このように今度は逆に血管は拡張します。


 血管が拡張することによって血管に絡みついた三叉神経が刺激され、頭痛が起きます。

 さらに、三叉神経が刺激されると、そのとき発生する炎症を起こす物質・炎症性生理活性物質(サブスタンスPやCGRPなど)が放出され、血管を刺激して、心臓の鼓動に合わせてズキンズッキンと拍動性の強い痛みを生じるのです。


 片頭痛は”ミトコンドリアのエネルギー代謝異常あるいはマグネシウム低下によって引き起こされる脳の代謝機能異常疾患”であると報告されています。


 Welch KMA, Ramadan NM Review article; Mitochondria, magnesium and migraine. J Neurol Sciences 134 (1995) 9-14


 すなわち、片頭痛はミトコンドリアの機能が低下する全身性の問題であり、脳だけに限局したものではありません。


 ミトコンドリアの機能が低下すれば、同時にセロトニン神経系の機能は低下し、ここにこれまで述べてきましたような生活習慣の問題点から、さらに機能が減弱し、片頭痛発作時に、さらに低下することによって発作が起きます。
 片頭痛はミトコンドリアの機能が低下するために、片頭痛発症の根幹には「酸化ストレス・炎症体質」というものが存在し、このために、活性酸素や遊離脂肪酸が過剰に産生されやすく、このため血小板凝集が引き起こされ、これが引き金となって血小板から”生理活性物質”であるセロトニンが放出されることによって、片頭痛発作に繋がっていきます。


  苦しい頭痛という痛みだけをトリプタン製剤で取り除いても、ミトコンドリアの働きの悪さは厳然として存在しており、その根底にある病態(酸化ストレス・炎症体質)は次第に増悪してくることになります。このため、自然と服用回数が増えてくることは避けることができません。このため、必然的に服用回数が増加して最終的には「トリプタン製剤による”薬剤乱用頭痛”」に至ります。このように片頭痛は悪化してきます。
 先述のように、「酸化ストレス・炎症体質(片頭痛体質)」を基盤として、ちょっとしたことで(ストレスなど何らかの理由で)「活性酸素」や「遊離脂肪酸」が過剰に発生することによって血小板を凝集させ、血小板から血管外へセロトニンが放出され、血管を収縮させます。その後、役割を果たしたセロトニンは減少し、やがては枯渇し、今度は逆に血管は拡張します。
  この一番”最初の”片頭痛の発作を引き起こす引き金(トリガー)となる「血小板を凝集させるもの」が、「活性酸素」や「遊離脂肪酸」です。
 「活性酸素」や「遊離脂肪酸」これらは生活習慣の問題から引き起こされたものです。
 「酸化ストレス・炎症体質」や「ミトコンドリアの活性の低さ」については日々の食生活のあり方などにより誘発されるものですから、それらを改善することにより片頭痛は発症しなくなります。
  また、「酸化ストレス・炎症体質」では体内で過酸化脂質が生成されやすく、過酸化脂質も活性酸素を過剰に発生させる原因物質となります。
  ただし、過酸化物質については実際に体内で脂質が酸化され生成されること以上に加工食品などの過酸化脂質をすでに含む食品を摂ることの方が現実の問題としては大きいように思われます。


 片頭痛はミトコンドリアの機能の低下する頭痛です。ミトコンドリアの機能が低下すれば、必然的に、セロトニン神経系の機能が低下します。ここに生活習慣の問題点が加われば、脳内セロトニンが低下してきます。
 片頭痛発作時には、この脳内セロトニンが低下しています。トリプタン製剤は、この発作時に低下した脳内セロトニンを補填させることによって、鎮痛効果を発揮します。
 しかし、痛みを強力に抑え込んだとしても、その根底にあるミトコンドリアの機能が低下した状態は残存しています。このため、トリプタン製剤だけで辛い頭痛だけを抑え込んでおれば、その根底にある「酸化ストレス・炎症体質」は次第に増悪してきます。このため、「脳過敏症候群」ような状態を作ってきます。


 ということは、脳内セロトニンが低下している状態は、片頭痛患者さんには潜在的に存在し、片頭痛発作時に極端に低下してきて、発作に繋がってくることになります。
 このような潜在的に存在する脳内セロトニンの低下状態を、片頭痛発作時に、このような雀の涙ほどの量のトリプタン製剤を服用したからといって、脳内セロトニンの低下は十分に補填できるはずはないことは、馬鹿でも理解されるはずです。


 このような潜在的に存在する脳内セロトニンの低下状態を改善させるためには、「脳内セロトニンを増やす工夫」・・「セロトニン生活」を根気強く行っていく必要があり最低でも、3カ月は必要とされます。


 片頭痛の症状で専門家が疑問とされる「全身的な症状」に関しては以下をご覧下さい。


    従来の片頭痛のメカニズム
         
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12445913481.html


        片頭痛はなぜ起きる???
         
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12060110439.html


 こういったことから、トリプタン製剤は片頭痛の特効薬でもなんでもなく、単なる鎮痛薬に過ぎないものであり、片頭痛そのものが根治することはなく、また片頭痛発作時に毎回トリプタン製剤を服用したからといって、「脳梗塞」や「脳過敏症候群」を予防することはできないということです。
 こうしたことは、”想定外”のことでも何でもなく、単なる”頭の悪さ”で考えもしなかっただけのことです。

 

 

カルシウム拮抗薬・・ミグシス、テラナス


 この塩酸ロメリジンの特徴としては、その他の高血圧の薬と違って”脳の血管に選択的に作用する”という点です。
 つまり、他の全身の血管にはほとんど作用しないということなので、高血圧の薬としてではなく、あくまでも片頭痛の予防薬として使われています。
 このように、塩酸ロメリジンの作用はいくつか上げられますが、主なものは血管収縮を抑える、つまり拡張させることによって、脳血管に対してのみ血流量の低下を抑えることにより、片頭痛を発生しにくくさせます。
 よって、全身的な血圧を下げることにならないので、片頭痛の方に処方されることが多いのです。


 脳血管の収縮が起こり、その反動によって拡張する、という発生機序が言われていますので、その第一段階の収縮をこの塩酸ロメリジンで抑えようというわけです。
 ですので、拡張した場合には無効、ということになります。
 最大の矛盾点としては、頭痛の予防作用があるにも関わらず、副作用に頭痛があるということです。これは血管拡張作用によるものです。
 塩酸ロメリジンの副作用は比較的少ないほうですが、まれに眠気、めまい、ふらつき、吐き気、ほてり感などのような症状が現れる場合があります。
 塩酸ロメリジンの作用として、血管拡張作用のほか、血管の炎症抑制、拡延性抑制の改善、セロトニン放出のきっかけとなる血小板凝集抑制効果など多面的に片頭痛を抑制します。


  以上、塩酸ロメリジンという血管拡張薬が片頭痛予防に有効なのは、片頭痛の第一段階である「脳血管収縮」を抑制するからです。
 片頭痛は血管収縮に対する反動として、血管が拡張することによって起る頭痛なのです。
  塩酸ロメリジンは血管を広げる作用があるために「頭痛がひどくなる場合も無きにしも非ず」ということです。
 こういったことから、ひとによっては、ミグシスは片頭痛の予防薬でなく、”片頭痛誘発薬”になることがあるということで、現実にもこのような方はおられます。このため、これで悪化するひとには使えません。

 

 

 以上のように、薬剤の作用機序を熟知した上で服用することが大切です。
 薬剤には「万能薬」とか「特効薬」といった”眉唾”ものはないと心得ることが大切です。

 

 私達は、専門家のような薬物信奉者であってはならないということです。

 

 さもなくば、”想定外”のことに見舞われることになりかねません。