専門家による片頭痛の発生機序
完全には原因が分かっていませんが,痛みが拍動性であるのが片頭痛の特徴ですので,血管が痛みを発しているのであろうというのが基本的な考えです.
片頭痛には,前兆のある片頭痛と前兆のない片頭痛の2種類があります.前兆のある片頭痛は目がチカチカしたり,手がしびれたり,言葉が出なくなったりという前触れがあってから大きな拍動性の頭痛が来るのが典型的なパターンです.その病態を昔の臨床家たちが究明を試みた際には,最初は血管が何かの原因で収縮を始め,その収縮によって脳に虚血が起こって目がチカチカしたり,視野が欠けたりするのではないかと言われていました.
そして次にはその収縮が保てなくなり,拡張に転じて激しい痛みが来るのだろうと説明しました.これを「血管説」と後の人が呼んでいます.その後の脳血流測定などの臨床検査によると,血管が収縮して拡張するのは確かではありますが,どうやら収縮して拡張する前に痛みが始まっていることが分かったのです.
そうなりますと,血管の動きだけでは説明できなくなり,目がチカチカするのは血管が収縮して起こるのではなくて,脳の神経細胞自体が電位的な変化を後頭葉中心に起こし,それが影響を及ぼしているのではないかという説が出てきました.
これを,それ以前から知られていた動物実験の結果とうまく組み合わせて説いたのが北欧のグループです。「大脳皮質拡延性抑制」と呼ばれる現象で,ウサギの脳にカリウムを滴下すると,脱分極を起こすことが分かりました.脳波の平坦化か進み,またそれが回復する傾向が見られたのですが,これは昔から動物実験で知られていた現象であり,実験当初は一般には受け入れられていなかったのです.
しかし,1980年代にその実験結果に注目したグループが,研究していた脳血流と結び付けました.大脳皮質拡延性抑制という現象が片頭痛の前兆を引き起こして,その前兆が何かの刺激で痛みに至る.それが片頭痛の「神経説」です.
1980年代半ばにMichael Moskowitzによって,なぜ脳の脱分極が痛みを起こすのかについて述べられていますが,脳の血管の周りに三叉神経終末がたくさんあることに着目して,脳血管周辺の三叉神経が痛みを発していることに気が付きました.そしておそらく三叉神経の興奮を起こすのがこの大脳皮質拡延性抑制ではないかという説として構築されたのが「三叉神経血管説」です.
脳の三叉神経の興奮を鎮めることによって神経の周りで起こっていた炎症が鎮まり血管が収縮するという実際のメカニズムがこの説の根本なのです.これをもとに開発されたのがトリプタンです.トリプタンは三叉神経の興奮が収まって血管が収縮する,つまり片頭痛の発作のときの一大異変を,消防車のように消してくれるという消火作用があります.
この説が現在いちばん多く信じられているのですが,「大脳皮質拡延性抑制」を起こす原因が分かっていないということ,それからその前兆のかなり前に予兆と呼ばれる症状があります.あくびが出るとか,異常にお腹がすくとか,イライラするとか,眠くなるなどの症状があってから前兆が起こり,さらに激しい発作が起こること,発作が鎮まった後も気分の変調があったり,尿量が増加したりするなど全身の症状を伴うことが分かりました.
そうなると,片頭痛は脳の血管,あるいは脳だけの局所的な疾患ではないのではないかという疑問が出てきました.最近は三叉神経血管説を踏まえたうえで,「神経血管説」と言われています.神経の大部分は大脳皮質にありますが,大脳のどこかに片頭痛を起こす源があって,片頭痛の患者さんは,そうでない方と違って特別に興奮しやすい状態があるのではないかという説です.
このように、いろいろな説がありますが,日本頭痛学会,国際頭痛学会の研究発表の場においてもメカニズムについて新しい見解が次々と出てきています.そのつど納得するのですが,血管の重要性がもっとあるのではないかとか,脳の虚血の説も決して消えてはいないのではないかとか,諸説紛々としているのが現在の片頭痛の発生機序に関する考え方です.
最終的に根本的な痛みが止まるのは,神経と血管の関係にあります.トリプタンが効く理由はセロトニンが関係しています.セロトニンが頭痛発作のときに減ってしまい,そこでトリプタンがセロトニン受容体を刺激して病態を改善してくれます.しかし,中枢神経系でセロトニンが減少する理由についてはまだ謎なのです.
以上のように、片頭痛の患者さんは,そうでない方と違って特別に興奮しやすい状態があるのではないかという説があり、中枢神経系でセロトニンが減少する理由がわからないとされています。
このように、片頭痛をミトコンドリアの機能障害による頭痛であるといった観点から論じられることはありません。「特別に興奮しやすい状態」すなわち「脳過敏」の原因については、
”脳過敏”を引き起こす要因
1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足
2.脳内セロトニンの低下
3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続
すなわち、「片頭痛はミトコンドリアの機能障害による頭痛であり、このために引き起こされたセロトニン神経系の機能低下です。そして、この両者によって引き起こされるのが「体の歪み(ストレートネック)」です。
このように考えるべきものと思われます。以前の「脳過敏」についての記事を参考までにご覧下さい。
「脳過敏」って何???
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12056087275.html
分子化学の立場からは
分子化学療法研究所の後藤日出夫先生は以下のように説明されます。
いくつか代表的な説があるのですが、いずれも「なぜ片頭痛を起こす体質になるのか、なぜ片頭痛を起こす人とそうでない人がいるのか?」については明らかにされていません。
そしていずれの説も、「何かよくわからない原因」によって片頭痛は起きるとされています。
また、マグネシウムやビタミンB2を多量に投与すると片頭痛が改善されることから、「ミトコンドリアの代謝障害が片頭痛の発症にかかわっている」という説もあります。
片頭痛を発症する「体質的な原因」はよくゎからないものの、片頭痛が発症すると体にどのような変化があらわれ、どんなメカニズムで頭痛や嘔吐などが起きるのか、どんな薬が症状の抑制に必要なのかといったことはほぼわかっています。
近年、片頭痛の痛みや発作を抑える特効薬が開発されましたから、薬さえ適切に使用すれば、ずいぶん凌ぎやすくなったことは確かです。
片頭痛の発生要因は2つ
先程のような代表的な説がいくつかあるものの、いずれも「片頭痛の原因は何だかよくわからない」と述べました。
分子化学療法研究所の後藤日出夫先生によれば、以下のように説明されます。
片頭痛の原因となるのは「活性酸素」と「遊離脂肪酸」であり、それらが発生する要因としては、「ミトコンドリア活性の低さ」と「酸化ストレス・炎症体質」であると考えています。いずれも聞いたことがある言葉かもしれません。ここからは、これらについてわかりやすく解説していくことにしましよう。
活性酸素と遊離脂肪酸については、皆さんも何度か目にされたり、聞いたりしたことがあるのではないでしょうか。どちらも健康を害するものとして、またはエイジング(老化)を進める原因として、健康関連の本や雑誌で盛んに取り上げられているものです。
要は、これらを取り除き、改善することができれば、「片頭痛体質を治すことも夢ではない!」ということがわかつてきたのです。
見方を変えると、片頭痛体質を改善することは、アンチエイジングや健康な体をつくることにもつながるということです。まさに一石二鳥にも三鳥にもなるというわけです。
片頭痛は暴れるホース!?
片頭痛は次のプロセスを経て起きると考えられます。
①脳の血管内にセロトニンという物質が増え、脳血管が収縮する
↓
②脳に血液が充分に供給されなくなり、炎症性物質を生じるとともに、脳の表面に脱分極(神経細胞の電気的変化)が起きる
↓
③血管が拡張し、血液が勢いよく流れるときに痛みをともなう
これをわかりやすくいいますと、最初は脳の血管が収縮して血流が減り(片頭痛前兆期)、しばらくするとその反作用として脳血管が拡張し、多くの血液が脳に流れるようになります。そのとき発生する炎症性生理活性物質により、心臓の鼓動に合わせて強い痛みを生じるのです。
例えるなら、水の流れているホースを踏みつけて流れを悪くしたあと、それをパツと放した状態です。ホースは暴れるようにして勢いよく水をほとばしらせます。このホースの暴れている状態が片頭痛だと考えられるのです。こうした状態が数時間から長い人で数日ほど続くわけです。
片頭痛の原因「活性酸素」の呼び水は”ストレス”
片頭痛は暴れるホースの水-この原因となるのが、脳血管内のセロトニン濃度の変化を引き起こしたり、脳表面の脱分極を引き起こしたりする「活性酸素」や「遊離脂肪酸」です。これらはなぜ発生するのでしょうか?
人は精神的なストレスを受けると、アドレナリンというホルモンを分泌し、血圧が上がり、心拍数が増えて血糖値が上がります。これは、緊張状態に備えるための体の変化です。
このとき、体内を循環している血液は、おもに心臓や肝臓、筋肉に集中し、脳への血流は低下(虚血)します。
脳細胞への血液が不足すると、細胞内にあるミトコンドリアで産生されるエネルギー発生物質(ATP)も減少します。脳は、体の各器官に指令を送るときに、カルシウムなどのイオンの濃度調整によって伝達物質を送り出して指令を伝えます。しかし、ATPが不足すると、脳細胞内のミネラルイオン濃度を調整するポンプが正しく機能しなくなり、いわゆる”機能停止状態”になってしまいます。
その後、ストレスから解放されると再び脳血管への血液の供給がよくなり(再潅流)、機能停止状態になっていたミトコンドリアは急速に機能を回復させます。このとき、過剰な活性酸素を発生させます。これは長いあいた正座をしたあとに立ち上がろうとして、足がしびれたり痛みを感じたりするのと似たような現象です。
ミトコンドリア活性が低い=酸化ストレス体質が片頭痛を招く
私たちの体は食事などで体内に取り込んだ脂肪や糖分といった燃料分を燃やしてエネルギー(ATP)を作り出すときに「酸素」を使います。車のエンジンが、ガソリンに酸素を加えて爆発させることによってエネルギーを得ているのと同じです。これと同じことが細胞内のミトコンドリアでも起きています。このときに発生するのが「活性酸素」なのです。
じつは、活性酸素にはウイルスなどの外敵を撃退してくれる働きもあるのですが、活性酸素が過剰に産生されると、体を傷つける悪い働きをしてしまいます。同様に、脳血管や脳細胞に作用して、片頭痛の発作や痛みを引き起こす生理活性物質を発生させる原因となります。このように、活性酸素が人体に有害な影響を及ぼす状態のことを「酸化ストレス」といいます。
こうした状態になっても、通常人体は活性酸素を打ち消すための抗酸化物質を適度に産生します。また、食事によって抗酸化物質を体内に取り込むことも可能です。
しかし、片頭痛持ちの人はもともとミドコンドドア活性が低いため、健康な人ならばほとんど問題にならないような血流の変化や、ちょっとした血流の増加であっても、活性酸素が過剰に発生してしまうのです。
片頭痛の引き金となる活性酸素
健常人では問題となることのない血流の変化であっても、片頭痛持ちの人は元来ミトコンドリア機能の活性が低く、わずかな血流の増加であっても活性酸素を発生しやすい状態になっています。
同じようなことは、運動をすることや飲酒、入浴などによって急に血行が良くなる場合や、早朝の自律神経の切り換えにともなう血流の変化やホルモンの分泌量の変化にともなう僅かな血流の変化も片頭痛持ちの人では活性酸素の発生の要因となってしまいます。
低気圧や人ごみ(酸素濃度のわずかな低下)や季節の変化(寒暖にともなう血流の変化)もミトコンドリア機能の活性が低い片頭痛持ちの人ではミトコンドリアの代謝機能の低下と、それに引き続きおきる血流の回復により過剰の活性酸素が発生してしまうことになります。
また、小麦などに含まれるタンパク質の成分であるグルテンに過敏な人では免疫系のマクロファージ(白血球の一種)がグルテンを異物として排除するときにも多くの活性酸素を発生することになり、片頭痛の発作の原因となります。
風邪を引いた場合にも同様に風邪ウイルスに対する免疫系からの過剰な活性酸素が発生し片頭痛の引き金となることもあります。
なお、風邪ウイルスは直接的に筋肉細胞や血管細胞を攻撃し、片頭痛の発作や痛みを引き起こす生理活性物質をも発生させます。
このようにして、ストレスや運動、飲酒、入浴、風邪などの要因が活性酸素を発生させ片頭痛を引き起こしていくことになります。
しかし、このような片頭痛発症要因に曝(さら)される片頭痛持ちの人であっても、仮に「ミトコンドリアの活性の低さ」を改善し、「酸化ストレス・炎症体質」を改善すれば活性酸素も異常に発生することはなくなりますので、片頭痛の発症へとは進まないということになります。
いわゆる、片頭痛持ちの人は常に活性酸素が発生しやすく炎症を起こしやすい体質「酸化ストレス・炎症体質」であることと、細胞の活力を支配する「ミトコンドリアの活性の低さ」に問題があります。
活性酸素が発生しやすい「酸化ストレス・炎症体質」に加え「ミトコンドリアの活性の低さ」が重なれば非常にわずかな刺激であっても活性酸素が過剰に発生されてしまうのです。
片頭痛に女性間の家族性が高いのはこの「ミトコンドリアの活性の低さ」が母性遺伝することも一因であるといえます。
しかし、「酸化ストレス・炎症体質」や「ミトコンドリアの活性の低さ」については日々の食生活のあり方などにより誘発されるものですから、それらを改善することにより片頭痛は発症しなくなります。
また、「酸化ストレス・炎症体質」では体内で過酸化脂質が生成されやすく、過酸化脂質も活性酸素を過剰に発生させる原因物質となります。
ただし、過酸化物質については実際に体内で脂質が酸化され生成されること以上に加工食品などの過酸化脂質をすでに含む食品を摂ることの方が現実の問題としては大きいように思われます。
遊離脂肪酸はどのようにして生じる?
精神的なストレスによりアドレナリンが分泌されると、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)は上がり、体脂肪も分解され始めるため体脂肪からの遊離脂肪酸が生成されるようになります。
本来、これらの体の変化は獣(外敵)などに襲われた時に人間が外敵と戦ったり逃げたりする時にエネルギー不足を起こさないための緊急的体勢の備えとして身に付いたものと考えられます。
通常、体脂肪のエネルギーへの利用は空腹時(食事を摂らない時)にエネルギーの不足分を補うために生じ、生成した遊離脂肪酸は直ちに体に必要なエネルギーとして使用されます。
しかし、エネルギーとして必要性がほとんどなく、単に精神的なストレスだけによる緊張のためだけに生成した遊離脂肪酸は血中の遊離脂肪酸濃度を高めるだけの結果となります。ストレスから開放されると消費されるあてのない遊離脂肪酸は一時的に血中の濃度を高めるだけの結果となってしまうのです。
その結果、血小板に直接作用して血小板の凝集を促進することや脳血管壁を傷つけ活性酸素を発生させるなどの現象を引き起こすと考えられます。
このため、ストレスを受けている時に発症するのではなくストレスから開放された時に片頭痛を発症しやすくなるのです。
また、植物油(リノール酸)の摂りすぎやトランス脂肪酸を摂ると、体内での脂質代謝が遅延することになりますので、血液中の遊離脂肪酸濃度をいつも高い状態にしてしまうことになります。
このように、血液中の遊離脂肪酸濃度が常に高い状態であれば、ストレスなどのわずかな刺激であっても血小板の凝集や活性酸素の発生が起こり易くなると考えられます。
一方、糖飲料などを飲みすぎにより急激に血糖値が上がりすぎますと、血糖の急激な上昇を抑制するためにインスリンが過剰に分泌されることになります。
過剰に分泌されたインスリンは血糖を下げすぎることになります。
血糖値が下がりすぎると、血糖を適正なレベルに戻そうとするからだの仕組みが働き、体脂肪から遊離脂肪酸がエネルギー源として放出されるようになります。
体脂肪からブドウ糖などエネルギー源としての生成とその消費がバランスしていれば問題を生じることはありませんが、急激な血糖値の変化にそのバランスが崩れてしまうと血液中の遊離脂肪酸濃度を高めることになります。
特に片頭痛持ちの人はミトコンドリアの活性が低く(冷え性や低体温症など)、ブドウ糖の生成とその消費のバランスは乱れやすい傾向にあります。
糖飲料の摂りすぎ以外にも、過激な運動や絶食(長い間の空腹)なども糖への代謝とその消費のバランスを乱しますので血液中の遊離脂肪酸の濃度を高めることになります。
このようにして放出された遊離脂肪酸が血小板に直接作用して血小板の凝集を引き起こすことにより脳血管内のセロトニン濃度が上昇することで片頭痛を発症すると考えられます。
または、遊離脂肪酸が脳血管壁を傷つけ活性酸素を発生させ、その活性酸素が三叉神経や脳細胞を傷つけることにより片頭痛を発症させると考えることもできます。
脂質のとり過ぎが活性酸素の発生原因に!
ところで、「酸化ストレス’炎症体質」の人は、体内で過酸化脂質が生成されやすく、これが活性酸素を過剰に発生させる原因物質となっています。
過酸化脂質というのは、コレステロールや中性脂肪が活性酸素によって酸化されてできたものです。これらは体内で作られるのですが、それ以上に、そもそも過酸化脂質を多く含む加工食品などを過剰にとる食習慣のほうに問題があると考えられます。
ポテトチップスなどのスナック菓子、インスタントラーメン、ピーナッツ、マヨネーズ、マクロの缶詰(缶を開けたあと)、黒くなった古い油分には注意が必要です。また、新しいものでもチキンフライなどの揚げ物を電子レンジで加熱すると、とがった部分や角の部分が過酸化されることがあります。
精神的なストレスを受けてアドレナリンが分泌されると、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)を高めるために体脂肪が分解されます。このとき、体脂肪から遊離脂肪酸が生成され、血液中に溶け出して全身に送られます。
通常、体脂肪は空腹時のエネルギー不足を補うために分解されます。ところが、精神的なストレスからアドレナリンが分泌されて遊離脂肪酸が生成されると、エネルギーとして消費されることがほとんどありませんので、その後ストレスから解放されると、血中の遊離脂肪酸濃度だけが高くなった状態になってしまうのです。この遊離脂肪酸は、血小板の凝集を促進したり脳血管壁を傷つけたりしますから、これが活性酸素を発生させる原因となってしまいます。
遊離脂肪酸には細胞毒性(細胞を傷つける性質)が強いという特徴があります。通常は血液中のアルブミン(Lカルニチン)というタンパク質成分と結合して毒性が弱められた状態で存在しているのですが、遊離脂肪酸が毒性を発揮して細胞を傷つけるということは、アルブミンとの結合可能な限界量(間値)を超えてしまっているということです。
このような状態を招く原因は、間違った日々の食習慣なのです。特に、植物油(リノール酸)やトランス脂肪酸を多くとり過ぎると、体内での脂質代謝が充分に行われず、血液中の遊離脂肪酸濃度が高い状態になることがわかっています。
このような状態になれば、ストレスなどのわずかな刺激であっても、片頭痛の引き金となる脳血管内の血小板凝集が起きてしまいます。
以上のように分子化学療法研究所の後藤日出夫先生は述べておられます。
以上、片頭痛はミトコンドリアの機能障害による頭痛です。大半の片頭痛は、このミトコンドリアの活性低下が遺伝素因として先祖代々受け継がれます。
”環境因子”として、食生活が原因で「さらに、ミトコンドリア機能の低下」を来して「酸化ストレス・炎症体質」を形成することにより引き起こされる疾患であり、生活習慣病の一種です。
この「ミトコンドリアの働きの悪さ」があるために、当然「セロトニン神経系」の働きも悪くなり、結果的に「脳内セロトニンの低下」を来すことになります。この「ミトコンドリアの働きの悪さ」と「脳内セロトニンの低下」があれば、当然、「体の歪み(ストレートネック)」を併発して来ます。そして、日常の食生活の問題から、「ミトコンドリアの働き」と「脳内セロトニンの低下」が増悪されることになります。これらがすべて「脳過敏」を引き起こす原因となります。
いろいろな生活習慣により”ミトコンドリアの働きがさらに悪化する”につれて、「活性酸素」を過剰に発生させてくる「片頭痛体質(酸化ストレス・炎症体質)」を形成することになります。この過剰に発生した活性酸素が引き金となって片頭痛発作を誘発してきます。このように、片頭痛の根本原因は、ミトコンドリアの働きの悪さにあります。