専門家の拠りどころ・・「国際頭痛分類」 | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

はじめに


 「国際頭痛分類」について考える前に基礎知識が必要とされます。それは1980年度のことです。この年代に、現在、片頭痛の特効薬とされるトリプタン製剤が開発されました。 この薬剤を一般の患者さんで使う(販売)ためには、まず、この薬剤が片頭痛患者さんに有効なのかどうかを試すための臨床治験が必要になります。
 この臨床治験を行う際に、試すべき患者を選別する必要があります。効きそうもない患者さんで、いくら”有効な薬剤”を試しに飲ませても、効かなかったという結果になります。治験そのものが無駄になってしまうため、トリプタン製剤が確実に効く患者さんをあらかじめ治験対象にする必要がありました。この選別の基準のために、トリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者が作成した”基準”が、現在の「国際頭痛分類」の基になっています。


 別の角度からみてみましょう。


 片頭痛は西洋医学でいう、”健康”でも”病気”でもありません。
 西洋医学でいう病気・疾患単位とは、その病気の原因となる病理解剖学的所見があるものを指しています。この定義からすれば、片頭痛は”病気・疾患単位”ではないということです。
 「病気」でもない片頭痛を医師に診断させるために、”ある工夫”(診断基準)”が西洋医学では必要になります。
 それは、片頭痛治療の領域にトリプタン製剤が開発された1980年代はじめです。このときに、トリプタン製剤を開発したトリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者は、トリプタン製剤を意識的に評価する目的で”一定の基準”を作成しました。
 トリプタンが医学的に薬剤として評価されるためには、”一定の基準”に基づいて診断された患者のなかでの治療成績を調べなくてはならないからです。(所謂、治験です)
 この「基準」では、片頭痛の患者であっても、さまざまな条件のためにトリプタンの処方に向かない症状を示す場合には、その患者を片頭痛とは診断できないような基準を作ってしまったのです。たとえば、ほぼ毎日のように頭痛が起きる「変容性片頭痛」などは、この基準に従って診断しますと、緊張型頭痛になるように仕組まれています。


 このように、片頭痛は”病気”ではなく、”症状・症候群”にすぎないものです。


 西洋医学でいう、健康でも病気でもないものを、東洋医学では”未病”といっています。 

 トリプタン製剤は、片頭痛を持つ”多くの”(すべてではありません)患者さんに対して、非常に効果があります。すなわち、片頭痛の発作期間の3日間の寝込む程の辛い頭痛が劇的に緩和させることができるようになりました。
 こうしたことから、国際頭痛学会は、「国際頭痛分類」を作成して、慢性頭痛、とくに片頭痛の診断基準を作成し、片頭痛を厳格に定義することにより、片頭痛を見逃さないようにして、片頭痛を正確に診断して、トリプタン製剤を処方させるようにしました。
 これが、国際頭痛学会が作成した「国際頭痛分類」です。


 この「国際頭痛分類 第3版β版」について、国際頭痛学会理事長のDr. Alan Rapoportは、「頭痛について”世界共通の言語”で会話する」ために、以下のように述べています。


 日本であるタイプの頭痛の研究がなされ、米国でも同様の研究を行う場合、全く同じ症状の患者を対象に研究が行われることが理想です。共通の「診断基準」を用いていれば、それも可能でしょう。また、同じ基準の下で診断がなされていれば、病名を知るだけで、その患者がどのような状況にあるか理解することができます。いずれにしても私が今、強く願っているのは、より多くの日本の医師に、「国際頭痛分類 第3版」を使用して頂きたいということです。


 結局、寺本純先生は「国際頭痛分類 第2版」とは、欧米のトリプタン製薬会社とトリプタン御用学者が作成していたものであると極論されます。
 忘れてはならないことは、「国際頭痛分類 第3版」とは、あくまでも”症状”に基づいた「診断基準」にすぎないものです。


 ところが、専門家は、あくまでも症状に基づいた「診断基準」にすぎない「国際頭痛分類第3版」を頭痛診療および頭痛研究の”「絶対的な基準」”としたことに諸々の問題を引き起こしてきました。まさに由々しきことという他ありません。
 このように日本では「国際頭痛分類 第3版β版」本来の目的とは、かけ離れた考えで使用していることを私達は、絶対に見逃してはならない点です。

 このように、頭痛診療および頭痛研究に至るまで、徹底的に「国際頭痛分類 第3版」は浸透しつくされており、これに反する考え方をすれば”村八分”にあうことになっています。
 ということは、「臨床頭痛学」の領域では、「国際頭痛分類第3版」は、謂わばカルト宗教の”教義・教典”としての役割を果たすことになっています。


 そして、頭痛患者さんを診療される診察医、および頭痛患者さんのための治療指針として「慢性頭痛診療のガイドライン」がありますが、このガイドラインは、「国際頭痛分類第3版」に基づいて作成されています。
 このため、片頭痛の第一選択薬としてトリプタン製剤が据えられています。
 これは、「国際頭痛分類第3版」がトリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者が作成したものであることから、当然の成り行き・結果です。
 このため、トリプタン製剤を服用することが片頭痛の”適切な”治療とされています。


専門家の拠り所とする「国際頭痛分類」


 頭痛の診察に必要な三種の神器とも呼べるものがあります。第1は国際頭痛分類で、診断基準が記載されています。第2は診療ガイドラインです。第3は患者さんに記載して頂く頭痛ダイアリーです。このように専門家は口を揃えて申されます。
 このように、頭痛診療には、「国際頭痛分類 第3版」と「慢性頭痛の診療ガイドライン」は必須のものであり、これに頭痛ダイアリーが必要とされます。「国際頭痛分類 第3版β版」はロードマップであり、「慢性頭痛の診療ガイドライン」は道先案内人とされ、いずれも必携の・書籍とされます。


 ほとんどの頭痛専門医は以下のように、「国際頭痛分類 第2版」を絶賛されます。まさに心酔しきっていることが伺われます。ある専門家は、以下のように評価されます・・


 私が診断の指針にしているのは2004 年に発行された『国際頭痛分類第2版』です。
 これに基づいて診療を行なうと世界中どんな医者が診察しても、同一の診断になるようになっております。
 これにより頭痛の正確な診断と的確な治療が可能となるわけです。頭痛診療必須のバイブルともいえるものです。
 ここで『国際頭痛分類第2版』とはどのようなものなのか、それに先立つ初版の発行からご紹介しておきましょう。世界初の頭痛分類であり診断基準である『国際頭痛分類初版』が国際痛学会から発刊されたのは1988年のことでした。
 『国際頭痛分類初版』が画期的な存在として注目を浴びたのは、各頭痛のタイプごとに詳細な診断基準を提示したことでした。初版はその後15年間にわたって頭痛に関する疫学的研究や臨床研究に広く利用され、1980 年代に開発された片頭痛治療薬トリプタン系製剤の開発に極めて大きな貢献を果たしました。
 研究者にとっては薬物臨床試験だけでなく、生化学的研究、生理学的研究に『国際頭痛分類初版』は的確な道標を示し、頭痛診療に極めて先駆的な取り組みをされていた日本頭痛学会の先生たちに明確な指針をもたらしました。さらにトリプタン系製剤の開発に刺激されて頭痛診療は飛躍的に発展していきました。しかしどちらかというと初版は研究者が積極的に受入れ、臨床現場への浸透はそれほど著しいものではなかったと思われます。
 私にしても初版が発刊された当時は〇〇〇〇大学(現・〇〇大学医学部)の脳神経外科医局長でしたが、医局全体をみても初版の存在はほとんど知られておらず、臨床で使うこともありませんでした。
 やはり『国際頭痛分類』の転機となったのは2004年6月、初版を継承し、新たなエビデンス(その治療法が選択されることの科学的根拠や臨床的な裏付け)や知見、意見、批判も踏まえ第二版が改訂版として発行された時点だと思われます。
 初版よりももっと臨床に即したものとなり、私自身にとっても「これをきちんと勉強すれば頭痛診療で困ることは絶対にない」とゆるぎない確信を持つことができましたし、全国の臨床現場で診察に当たられる医師たちにも第2版はインパクトをもって受け入れられました。
 要するに、それまで頭痛診断は医師個人に任されていたものが世界統一規格になり、正確な診断と治療が可能になったのです。私はいつも『国際頭痛分類第2版』を机上に置いて、繰り返し繰り返し眼を通し、患者さんを診察するたびに268 ある頭痛の一体どの頭痛を患ってられるのか、問診しながら診断を考えています。『国際頭痛分類第2版』は頭痛専門医だけでなく、内科も産婦人科も小児科も脳神経外科も精神科も頭痛に関係するすべての医師が学んでほしいと願っています。


 このように、頭痛専門医によって、「国際頭痛分類 第3版」の評価が異なっていることに注目しなくてはなりません。寺本先生は、批判的な点が注目されます。


頭痛診療および頭痛研究の”「絶対的な基準」”・・ 「国際頭痛分類 第3版」


 本来「国際頭痛分類 第3版」の目的とするところは、片頭痛を明確に定義することによって、間違いなく、片頭痛に対してトリプタン製剤を処方させるためのものです。
 このため、”片頭痛と明確に定義された”「国際頭痛分類 第3版」の基準に合致しないものが緊張型頭痛とされ、いわば緊張型頭痛は”ゴミダメ”的な性格の強い頭痛とされ、専門家の間では、極めて”取るに足らない頭痛”とされています。このように全く無視されています。
 このように、片頭痛と緊張型頭痛はまったく別の範疇の頭痛であるといった”教義”が専門家の間で作られることになり、専門家は、片頭痛と緊張型頭痛それぞれの特徴的な症状を対比して挙げ、製薬メーカーはこれを基にしてパンフレットを作成し、広く一般の方々および医師に配布され、啓蒙されてきました。
 現在でも、このような考え方は、ネット上に当然のように広く流布しています。
 このようにして「国際頭痛分類」が作成されてからは、片頭痛と緊張型頭痛は厳格に区別されるとの考え方が徹底して啓蒙されることになりました。
 それは、医師に対しては、片頭痛にトリプタン製剤を処方させるためであり、一般の方々には、片頭痛にはトリプタン製剤という”特効薬”があることを知ってもらうためです。
 このため、専門家の間ですら、片頭痛と緊張型頭痛はまったく別の頭痛と思い込んでおられる方々が多数見受けられます。
 そして、専門家による一般向けの片頭痛の啓蒙書では、「国際頭痛分類 第3版」に基づいて、片頭痛と緊張型頭痛はまったく別の範疇の頭痛として記載されています。


  本来は、片頭痛も緊張型頭痛も一連のもののはずです。


      「片頭痛と緊張型頭痛は同じ疾患である」  その2
         
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-11945163203.html


       片頭痛と緊張型頭痛は同じ疾患か???
        
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-11945159008.html

 

 ところが、日常的に感じる極く軽度の頭痛から緊張型頭痛へ、さらに片頭痛へと移行していくことは、詳細に綿密に病歴聴取すれば明らかでありながら、専門家は日常診療において「国際頭痛分類第3版」を巧妙に組み込んだ「問診方法」を叩き込まれ、「問診表」を使われ、受診時の最も困っている頭痛しか問題にされないことから、慢性頭痛発症の起点ともなるはずの「日常的に感じる極く軽度の頭痛」・緊張型頭痛をまったく無視されることになっています。
 このように、臨床神経学の「問診に始まり、問診に終わる」という基本原則をまったく無視した病歴聴取(問診表による手抜き診断・診療)が現実に罷り通り、病気のオンセット(起始)が全く無視されています。
 このようにして、最も大切とされる”片頭痛を見落とすことなく”診断することしか念頭にありません。このように徹底して指導されてきました。


 そして、頭痛研究の場面でも、「国際頭痛分類 第3版β版」が「絶対的な基準」とされています。頭痛研究も片頭痛が中心となり、それも各種のトリプタン製剤の作用機序の面から行われることになっています。


 基本的に、片頭痛発作時にはセロトニンと呼ばれる神経伝達物質が減少あるいは機能が低下しており、片頭痛発作の時に、脳内セロトニン様作用をもつトリプタンを投与することによって、機能低下状態に陥っているセロトニンをバックアップすることによって、その効力を発揮するとされています。


 しかし、肝心要の”中枢神経系でセロトニンが減少する”理由についてはまだ謎とされます。
 片頭痛の患者さんは,そうでない方と違って特別に興奮しやすい状態があるのではないかとされ、このような「脳過敏」を起こす原因もこれまた、不明とされます。
 そして、前兆に関連して、「大脳皮質拡延性抑制」が提唱されていますが、この「大脳皮質拡延性抑制」を起こす原因が分かっていないとされます。
 その前兆のかなり前に予兆と呼ばれる症状があります。あくびが出るとか,異常にお腹がすくとか,イライラするとか,眠くなるなどの症状があってから前兆が起こり,さらに激しい発作が起こること,発作が鎮まった後も気分の変調があったり,尿量が増加したりするなど全身の症状を伴うことが分かりました。そうなると,片頭痛は脳の血管,あるいは脳だけの局所的な疾患ではないのではないかという疑問が持たれています。
 このような観点から病態を説明する最大の問題点は、片頭痛が慢性化する理由が、一切、見当がつかないとされていることです。


 このように片頭痛の病態をトリプタン製剤の作用機序の面から説明してきたことによって、諸々の疑問点が生まれてきているところから、最近では、脳のなかに異常のない頭痛と”定義”される片頭痛が、”片頭痛発生器”というものを脳幹部付近に想定することによって、”中枢性疾患”という脳のなかに異常のある頭痛とまで、”基本的な定義”さえ覆されています。
 本来なら、片頭痛は、西洋医学では「健康」「病気」のどちらの領域にもなく、東洋医学の立場からは”未病”の範疇・領域にあるもののはずです。
 このように、まさに支離滅裂な状況にあると考えなくてはなりません。


 脳のなかに異常のない一次性頭痛(慢性頭痛)は、国際頭痛分類第3版では、緊張型頭痛、片頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(ここに群発頭痛が含まれます)、その他の一次性頭痛に分類されています。
 頭痛研究を行う場面では、これまで専門家は、このように4つに大別された頭痛群をさらに、個々の頭痛を別個に独立させて研究すべきとされてきました。
 このように、片頭痛だけは特別扱い(神格化)され、緊張型頭痛をはじめとした他の慢性頭痛とはまったく切り離して・別個のものと考えてきました。
 ところが、このような脳のなかに異常のない慢性頭痛の4つのものは、本来、一連のものであり、生活習慣の問題点から、それぞれの4つへ進展していくものです。このことは、これまで述べてきたことで明らかなことです。


 本来、片頭痛は、ミトコンドリアの活性低下という”遺伝素因”を基盤として日常的に感じる極く軽度の頭痛・緊張型頭痛から、これに諸々の生活習慣の問題点が加わって、片頭痛へと進展していくものです。
 このため発症の起点となる日常的に感じる極く軽度の頭痛・緊張型頭痛を無視することによって、ただひたすらに、片頭痛を醸成・熟成させることになり、トリプタン製薬メーカーにとっては、これ以上に、申し分のないことはないことになります。
 ということは、日常的に感じる極く軽度の頭痛・緊張型頭痛の段階で適切に対処すれば、片頭痛まで移行させることなく改善できるはずのものを、むざむざ放置することによって、片頭痛を生み出し、醸成・熟成させることになります。
 トリプタン製薬メーカーにとっては、笑いが止まらず、片頭痛はいつまでも存続可能となっています。


 以上のように、専門家は、「国際頭痛分類第3版」を頭痛診療および頭痛研究の”「絶対的な基準」”とされます。
  このように、頭痛診療および頭痛研究に至るまで、徹底的に「国際頭痛分類 第3版」は浸透しつくされており、これに反する考え方をすれば村八分にあうことになっています。
 ということは、「臨床頭痛学」の領域では、「国際頭痛分類第3版」は、謂わばカルト宗教の”教義・教典”としての役割を果たすことになっています。


 少なくとも、自然科学を扱う学問の世界に、「絶対的な基準」が設けられること自体、不条理そのものであることは誰でも理解されることです。
  

 このため、「国際頭痛分類第3版」に反するものはことごとく排除されることになっています。

  これまで幾多の業績が排除されてきたというのでしょうか。
  例えば、「人が罹るあらゆる病気の90%は活性酸素が関与していると謂われ、片頭痛がミトコンドリアの機能低下による頭痛(後天性ミトコンドリア病)である」とか、”「体の歪み(ストレートネック)」は頭痛と因果関係がある”、といったようなことです。
 これ以外にも枚挙の暇もない程です。
 こうしたことを一切、検証されることもなしに否定されることになります。


 ”定義”論争に終始する専門家たち

 
 先程のように「国際頭痛分類」は初版以来、幾度か改訂されてきましたが、改訂の度に、頭痛そのものの”定義”が変化しています。
 これまで専門家の間で議論されてきたことといえば、この改訂の都度、どのように変更になったかといった、ただ単に”定義”論争でしかありませんでした。
 決して、頭痛の本態解明の論議がなされることはありませんでした。
 今回の「国際頭痛分類 第3版β版」では、「三叉神経・自律神経性頭痛(ここに群発頭痛が含まれます)」が大幅に改訂されました。


 このため、この定義が以前のものと変化することによって、専門家はこの相違点ばかりを議論されることになっています。
 群発頭痛は、一番最初の国際分類では、片頭痛に組み込まれていましたが、次の改訂では、別々に分類され、そして今回の改訂です。


 このように群発頭痛だけは、改訂の都度、また別の分類へ変わってきました。
 このように改訂の都度、改訂の目的をもとにした論議しかされてきませんでした。
  さらに、片頭痛の慢性化についての議論は、これまた”定義”論争で終始され、片頭痛そのものの慢性化する根源的な理由は論じられることはありませんでした。慢性化の要因を根源的に考えさえすれば、その本態に迫ることができるはずでありながら、決してこのようには考えることはありません。
 こうしたことは、学会を主導される方々が「国際頭痛分類 第3版」を頭痛診療および研究において”絶対的な基準”と考えることにその根本原因があります。
  「国際頭痛分類 第3版β版」は、あくまでも頭痛の”診断基準”でしかないはずです。


「現代頭痛学」は宗教である


 このようにして、専門家は、トリプタン製剤、PET、MRIなどの新しい医療機器(測定法)といった生命のないものに基づいて教義をつくり上げ、臨床頭痛学は、トリプタン製剤、PET、MRIなどの新しい医療機器(測定法)といった偶像を崇拝する宗教になり果てることに至りました。
 さらに、専門家はトリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者の作成した「国際頭痛分類第3版」を頭痛診療および頭痛研究の教義・教典として臨床頭痛学を論じてきたということです。


 このようにして、”二重の教義”に基づいて、トリプタン製薬メーカーによってマインド・コントロールされることになっています。


 「臨床頭痛学」とは、二次性頭痛といった人間の生死に係わる頭痛から、慢性頭痛という私達の肉体に起こる”数々の神秘的な”自然現象という「脳のなかに異常のない」”最も不可解な頭痛”に取り組んでいます。
  とくに、慢性頭痛のなかの片頭痛では、低気圧に左右され、遙かかなたの遠方に発生した台風の影響すら受けるものがあったり、さらに閃輝暗点とか、物が大きくみえたり、極端に小さく見えたりと奇妙な眼の症状を訴えるため、神憑り的な、まさに神秘的な症状を呈し、神秘的な自然現象とされています。


  これらは、生まれつきのものであり、このことから、片頭痛は、原因不明の”不思議な・神秘的・神聖な”遺伝的疾患とされ、不浄な凡人が如きが近寄ってはならず、その本態の解明などは、以ての外”論外”とされてきました。


 このように片頭痛が原因不明の”神秘的な”頭痛とされることから、このような世界では、世の常として、「カリスマ医師」が生み出されてくることになります。
 このため、日本全国の片頭痛患者さんは、挙って、この「カリスマ医師」のもとに信者として参詣され、”神薬”としてトリプタン製剤が授けられることになります。
 こうして、カルト宗教のように、当然”教祖様と信徒さん”の「信仰の関係」が生まれてきます。
 そして、日本全国の医師会の研究会には、こうした「カリスマ医師」が招聘され、仰々しく”ご託宣”を拝聴する構図が生まれてくることになります。
 このようにして、「カリスマ医師」は、信者である患者さんおよび一般の医師(さらに頭痛専門医)までの信仰対象となっています。


  さらに、専門家は、「国際頭痛分類第3版」を頭痛診療および頭痛研究の”「絶対的な基準」””教義・教典”とされます。


 ということは、「臨床頭痛学」の領域では、「国際頭痛分類第3版」は、謂わばカルト宗教の”教義・教典”としての役割を果たすことになっています。
 カルト宗教では、古今東西、排他的な考え方が特徴とされています。

 このため、「国際頭痛分類第3版」に反するものはことごとく排除されることになっています。これまで幾多の業績が排除されてきたというのでしょうか。
  例えば、「人が罹るあらゆる病気の90%は活性酸素が関与していると謂われ、片頭痛がミトコンドリアの機能低下による頭痛(後天性ミトコンドリア病)である」とか、”「体の歪み(ストレートネック)」は頭痛と因果関係がある”、といったようなことです。
 これ以外にも枚挙の暇もない程です。
 こうしたことを一切、検証することもなしに否定されることになります。
  まさに、カルト宗教の”教義・教典”そのものです。


  そして、頭痛患者さんを診療される診察医、および頭痛患者さんのための治療指針として「慢性頭痛診療のガイドライン」がありますが、このガイドラインは、「国際頭痛分類第3版」に基づいて作成されています。
 このため、片頭痛の第一選択薬としてトリプタン製剤が据えられています。これは、「国際頭痛分類第3版」がトリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者が作成したものであることから当然の成り行き・結果です。


 こうしたことから、トリプタン製剤を服用することが片頭痛の”適切な”治療とされています。さらに、片頭痛発作時にトリプタン製剤を服用しさえしておれば、片頭痛が治ってしまうと宣われる専門家もいる程です。


おわりに・・「頭痛学」は”神学”なのか???


 頭痛専門医は、「国際頭痛分類 第3版」をもとに「片頭痛」をあくまでも「症状」の上から捉え、個々の現象を”総合して”考えることなく、バラバラであるということです。
 この点は、間中信也先生が開設されるホームページ「頭痛大学」に象徴されます。
 確かに、膨大な論文が掲載されてはおりますが、これらがお互いどのように関連しているのかという”総括”が全くありません。これをご覧になられる読者の判断にすべて、”おまかせ”されているようです。


      HP「頭痛大学」とは何でしょうか???
     
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12031407555.html


 これと同じことが、頭痛研究の場でも、存在するようです。例えば、片頭痛の領域においては、「女性の片頭痛」「小児の片頭痛」「片頭痛の発生機序」・・それぞれの分野には、昔から”大家”と称される先生方がおられ、独立した形で全てが説明され、お互いは、それぞれの”独立性”を厳守され、お互いの領域を侵さない方針のようです。
 こうしたことから、慢性頭痛全般、片頭痛全般を”総括”される先生はどなたも、これまでいらっしゃいませんでした。この点は、頭痛関連の特集号をご覧頂ければ、一目瞭然です。こうしたことは、統一した研究指針が存在しないことを意味しています。
 要するところ、一貫性がなく、”一本筋が通っていない”ということになります。


 また、頭痛を研究される先生方には、脳神経外科、神経内科医、小児科医、産婦人科医、麻酔科医・・と多岐にわたっています。そして、何故だか、各科の先生方は、脳神経外科医の考えに対しては、特別の感覚を持たれておられるように見受けられます。


 慢性頭痛が、「脳のなかには異常のない頭痛」とされながら、旧態依然として、二次性頭痛の”頭痛の発生機序”の観点から説明を試みられます。その代表が、片頭痛は”中枢神経疾患”であるという考えで、これは「片頭痛発生器」の存在を根拠とされます。
 同様に、「脳過敏症候群」もこのような観点が貫かれているようです。
 こうした考え方は、脳神経外科医が提唱されるが故に、脳外科医以外の大半の先生方は無批判に容認されておられる傾向があるようです。
 まさに、ベンケーシーの時代感覚が、現在でも受け継がれているというのでしょうか?


 そして、トリプタン製剤が販売されて以降、片頭痛研究は、トリプタンの作用機序を中心として行われているようです。これ以外には、全く関心がないようです。


 こうした時代において、分子化学療法研究所の後藤日出夫先生の出現は、青天の霹靂以外何物でもなかったのではないでしょうか?
 このような分子化学の立場から論じられる先生は、以前の下村登規夫先生以来ではないでしょうか?
 今後、これに対してどのような対応を示されるのか見物です。
 このような観点の相違を認識した上で、後藤先生の著書をご覧になられれば、現在の「頭痛専門医」との考えの相違が理解されるのではないでしょうか?


 私の観点は、これまでも繰り返しましたが、頭痛専門医の基準とされる「国際頭痛分類」を離れて、現実の「慢性頭痛」の方々の”生涯経過”がどのようになっているのかという観点から、片頭痛という頭痛がどのようなものかを、考えたものです。


 このように3者とも、片頭痛という頭痛を考える際の”基準”が全く異なるということです。


 以前の学会の「頭痛診療」の均てん化の理念はどこにあったのでしょうか?
 外国の理念を徹底させることが、すべてなのでしょうか?
 まさに”神学”の世界としか、表現できません。
 学問の世界は、それこそ、泥にまみれた、根気を必要とする世界ではなかったのではないでしょうか? きれいごとだけではないはずです。私には、全く理解不能の世界としか思えません。
 この本来の目的は、「ガイドライン」を徹底させるということなのでしょうか?


 こうした意味で、頭痛医療の原点をもう一度、振り返る必要があるようです。
 そうすれば、その真の目的が理解できるのではないでしょうか。


専門家はCPUのついてないコンピューター?巨大なハードディスクはついてるけど・・


 頭痛専門医について「論文を読んでいるのかもしれませんが、本を読んでいません。本を読んでないため、一般人より医学知識が遅れています。学校時代から、暗記は限りなくできますが、考えることをしていません。結果的に、患者を見ず、権威とされる欧米の頭痛学者や「国際頭痛分類 第3版β版」や「慢性頭痛診療のガイドライン」に従うだけの医療になってしまいます。
 日本の医学会が、欧米医学の受け売りで、いかに頭を使っていなかったか、ばれてしまいます。


(注:一般人の医学知識とは、ミトコンドリアとは何か、セロトニン神経系とは何か、ミトコンドリアとセロトニン神経系との相互関係、細胞学、遺伝学、神経解剖学、神経生理学、現代栄養学、スポーツ医学、分子化学、人体工学等々をさしています)


 続きは、以下の記事をご覧下さい。


      専門家って何???
       
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12059026639.html