片頭痛と緊張型頭痛は同じ疾患か 2014/07/11 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 このタイトルは、Headache Clinical & Science 2014.Vol No.1 の「誌上デイベート」のテーマです。ここでは、2人の頭痛専門医が”是か非か”を論じておられました。


 初めは興味深く拝読させて頂きました。しかし、途中から、これが頭痛専門医の言うことかと落胆してしまいました。結局、国際頭痛分類をもとに、その初版から第2版さらに昨年改訂された第3版beta版へと改訂された内容をもとに「自分の論点が変化している」に過ぎません。「国際頭痛分類」が改訂されるたびにその「是か非か」が変遷していることに触れられていました。ということは、あくまでも「国際頭痛分類」という基準をもとに議論されているにすぎません。結局、「国際頭痛分類」に振り回されて、自分独自の考え方が存在しません。どうして、日本の頭痛診療を主導される「頭痛専門医」ともあろう先生方が、なぜ「慢性頭痛の本質論」に迫るような議論ができないのでしょうか? どうして確固たる信念に基づいた考えを貫かれないのでしょうか。
なぜ「国際頭痛分類」のみに囚われて考えなくてはならないのでしょうか? まさに「国際頭痛分類」が改訂されるたびに翻弄されておられるようです。
 これが 「頭痛専門医」の基本的な思考過程・形態のようです。


 東京脳神経センターの松井孝嘉先生の緊張型頭痛に関する業績とくに「頸性神経筋症候群」の概念から、緊張型頭痛の病態は明確にされたはずです。そして緊張型頭痛と全く同様の治療手段でも片頭痛の一部の方々までが改善されるという成績が存在します。
 この2つの基本的な病態は首こり(ストレートネック)にあります。このことから、緊張型頭痛および片頭痛でのストレートネックの出現頻度を比較すれば、緊張型頭痛と片頭痛との関係は想像(予測)されるはずです。そしてストレートネックを来す要因を考えれば、緊張型頭痛と片頭痛の相互関係も予測されることになります。

 また、頭痛診療のためのレベル診断として、国際頭痛分類第2版(ICHD-Ⅱ)は、階層的な分類 が採用されています(グループ → タイプ → サブタイプ → サブフォーム)。通常の一般診療では、1桁(タイプ)または2桁(サブタイプ)までの診断で可能ですが、専門診療、頭痛センター等の診療では3桁(サブフォーム)レベルまでの診断が推奨されています。
 個々の患者さんを、このようにサブフォームまで診断を行う限りは、慢性頭痛がどのような経過をたどって行くのかは、一目瞭然となり、このなかで片頭痛がどのような位置にあるのかは自ずと明らかになります。
 こうした1人の患者さんを長期間に渡って、受診時毎に経時的に眺めることのできる症例を日本全国の「頭痛専門医」が持ち寄って集計すれば、たちどころにどのようになっているのかが判明できることになります。どうして、こういった最も大切なことを専門家同士で明らかにされないのでしょうか。明確になれば困ることでもあるのでしょうか?

 また、ムチウチによって引き起こされる頭痛のタイプは、緊張型頭痛が多いようですが、片頭痛であったり群発頭痛のようなタイプも当然存在します。ということは、「慢性頭痛」のどのタイプの頭痛も起きる可能性があること意味しています。
 これまで東京脳神経センターの松井孝嘉先生が、永年「ムチウチ」の臨床研究を積み重ねられ、ムチウチ受傷後ストレートネックを形成してくることを明らかにされて来られました。
 ムチウチの方々の最も苦痛とされることは、天気の変わり目、低気圧が近づくと、体の不調を著明に訴える点です。この点は、片頭痛の方々も全く同様です。そして片頭痛の方々には、極めて高率にストレートネックを認めるという事実です。
 こうしたこ事実が存在するにも関わらず、「国際頭痛分類 第2版」では、ムチウチ受傷後7日以内のものしか、ムチウチとの関連性を認めないように定めています。
 しかし、現実には、ムチウチの症状は、ムチウチ受傷後7日以降のかなり時間が経過して出現してくることは日常茶飯事のことであるはずです。しかし、こうした方々はムチウチと関係ないとされるために、このような事実そのものが覆い隠されてしまっています。

 こういった、国際頭痛分類では、頭痛と「首(頸椎)」との取り決めが極めて曖昧模糊としていることを認識することなく、「頭痛と”体の歪み(ストレートネック)」を、エビデンスを確立させることなく闇雲に頭からエビデンスなしと、拒否反応を示されてきました。

こうしたことは、頭痛専門医が頼りとされる「国際頭痛分類」にその根本原因があります。今回の議論もすべて「国際頭痛分類」に基づいて討論されます。そして結局のところ水掛け論で終わっており、どのようにすれば明らかになるかといった考えは全くありません。

 このようなことをどのように今後考え、解決していくのでしょうか???


どうやら、昨年改訂された「国際頭痛分類」第3版β版の改訂内容を把握し、ただこれに従って頭痛診断を行っていさえすれば「頭痛専門医」の役割が果たせたと思われておられるとしか考えられません。いつになったら「慢性頭痛の本態」が明確になるのでしょうか???