市販薬(OTC薬)とは何か?
病院でもらう薬は、「医療用医薬品」と呼ばれ、病院で医師に診察を受け、処方されないと手にすることはできません。
薬局で買う薬は「一般用医薬品」、俗に「大衆薬」、「市販薬」などと呼ばれていますが、専門的に表現すると、すべて「OTC医薬品」と言い、医師の診察を受けなくても、自分で購入できます。
OTCとは、英語の「Over The Counter Drug」の略語で、カウンター越しにもらう薬という意味です。
ただし、今ではカウンター越しにもらうケースは少なくなって、ドラッグストアでは私たちが自由に市販薬を手に取って、薬を選ぶ事ができます。
薬局で手軽に買えるOTC医薬品(市販薬)は、病院に行く時間がないときにとても便利ですが、注意すべきこともあります。
市販薬は安全性を考慮して、医療用医薬品よりも有効成分の含有量が少なくされていることが多いのですが(半分~3分の1程度の量)、用量や使用方法を誤るとリスクもあります。
添付文書をよく読み、「この薬を使用してはいけない人」に該当しないかを確認し、決められた用量・用法を守って服用しなくてはなりません。
「医療用医薬品よりも有効成分の含有量が少なくされている」ということは、効きめに問題があるということで、これが飲み過ぎに繋がるということです。
ここにジレンマがあることを認識しておかなくてはなりません。
市販の頭痛薬の成分と特徴
頭痛薬・解熱鎮痛剤には、主に下記の6成分があります。
これらを組み合わせて、そして効き目がストレートすぎないように他の成分を上手に混ぜる事で、市販薬が出来あがります。
ロキソプロフェン ナトリウム
代表的な商品:ロキソニンS(第一三共ヘルスケア)
・医療用医薬品から一般用医薬品にスイッチされた成分。
・片頭痛や生理痛、歯痛など、幅広い痛みに対応。効き目が比較的強い。
アスピリン(アセチルサリチル酸)
代表的な商品:バファリン(ライオン) ケロリン(内外製薬)
・頭痛、歯痛に良く効くが、若干胃への負担がある。
・15歳未満は服用することが出来ない。
アセトアミノフェン
代表的な商品:ノーシン(アラクス) タイレノール(ジョンソン&ジョンソン)
・胃腸への負担が少なく、比較的副作用が少ない。
・小児から大人まで服用可能。
イブプロフェン
代表的な商品:イブ(エスエス製薬) ノーシンピュア(アラクス)
・消炎鎮痛効果に優れ、胃への負担が少ない成分。
・15歳未満は服用することが出来ない。
イソプロピルアンチピリン
代表的な商品:セデスハイ(塩野義製薬)
・いわゆるピリン系の鎮痛成分。15歳未満は服用不可。
・歯痛や抜歯後の痛みなど比較的強い痛みにも良く効く。
エテンザミド
代表的な商品:ナロンエース(大正製薬) ノーシン(アラクス) セデス(塩野義製薬)
・アスピリンと同じサリチル酸系の鎮痛成分。
・小児(小学生以上)も服用可。
アセトアミノフェン、ACE処方とは?
アセトアミノフェンは、脳の視床下部に作用して解熱作用を、視床および大脳皮質に作用して鎮痛作用を示します。
そして、市販の鎮痛薬の大半はアセトアミノフェンの含んでいます。
市販の鎮痛薬の成分の一覧表
http://taku1902.jp/sub281.pdf
アセトアミノフェンも、アスピリンと同様にプロスタグランジン(痛みを知らせてくれる物質)の産生を抑制しますが、その効果は弱く、しかも脳にだけ作用して体の各部位(器官)に作用しないため、胃障害の副作用がありません。
アスピリンのようにライ症候群の副作用も無いため、小児用の解熱鎮痛薬に用いられています。
また、アセトアミノフェンはそれ単体では効き目が弱いため、異なる成分、エテンザミドとカフェインを加ることで効果が高まるように設計されるケースも多いです。
これを「ACE(エーシーイー)処方」と言います。
(A:アセトアミノフェン、C:カフェイン、E:エテンザミドの略です)
なお、アセトアミノフェンはACE処方のみで市販薬になるケースもあれば、アスピリンと一緒に混ぜたり、他の痛み止め・解熱成分のエテンザミドなどと一緒にしたり、様々な処方の仕方が有ります。
市販の痛み止め
市販されている頭痛薬は解熱鎮痛薬だけです。市販または薬局で購入できる解熱鎮痛薬は、先程も述べましたように、厚生労働省が認可した以下の薬剤を組み合わせたものです。
代表的なものは、アスピリンやアセトアミノフェンですが、イブプロフェン、イソプロピルアンチピリン、エテンザミドという薬剤もよく使われます。
また、少し眠くなる作用を併せ持つ解熱鎮痛薬(催眠鎮静薬)も市販が認可されています。この範疇に入る薬剤には、ブロムワレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素が挙げられます。これらの成分は病院でも用いられるものですが、成分自体は変わりありません。こういった薬剤が合剤となっています。
合剤とは、異なる薬を混ぜて、ひとつの薬にしたものです。風邪薬のカプセルにはいくつかの色の薬が混ざっていますが、このような違う成分のものを一つにまとめたものが合剤と呼ばれます。
例えば、バファリンはアセチルサリチル酸と胃酸を中和する成分の合剤ですし、ノーシンやセデスはアセトアミノフェン、エテンザミド、カフェインの合剤です。また、ナロンはイブプロフェン、エテンザミド、ブロムワレリル尿素、カフェインの合剤です。新発売されたナロンエースも実は内容は同じものです。
つまり、市販の解熱鎮痛薬は認可された薬剤の数種類を製薬メーカーによって、さまざまな割合で調合し、合剤化しただけです。また、これらの薬剤と他の咳止め、去痰剤、鼻水やくしゃみを止めるための抗ヒスタミン薬などをあわせたものが風邪薬として販売されています。
催眠鎮静剤や抗ヒスタミン薬は眠気を誘います。ですから、それらの成分が入っている鎮痛薬や風邪薬などを内服すると眠くなります。「運転には注意してください」と薬剤師さんが注意を促したり、薬の注意書きに記載されています。
また、「5日以上の内服は控え、症状が改善しないときには医師に相談」とも記されています。これは、薬物乱用頭痛を防ぐための重要な記載ですが、読み飛ばされることがほとんどです。何年も痛み止めのお世話になっている方がどんなに多いことでしょう!
痛み止めの副作用
痛み止め(解熱鎮痛薬)が痛みを和らげてくれる仕組みを考えてみましょう。一つの薬で、頭痛、歯痛、生理痛に効くと書いてあることが多いです。解熱作用を唱っているものもあります。解熱鎮痛薬は、体内の酵素の働きを抑える作用を持つ薬剤です。私たちは日々、さまざまな物質を生産して命をつむいでいます。
何らかの病気があると、体は痛み物質を合成し、私たちに危険信号を送ります。解熱鎮痛薬は、その痛み物質を合成する酵素の働きを抑え、痛みを和らげます。ところが、この酵素は胃を守る物質や、気管を広げる物質などさまざまな有用な物質も作っているため、解熱鎮痛薬を連用すると胃潰瘍や喘息を引き起こしやすくなります。
胃の障害を減らすため製薬メーカーは胃酸中和薬のアルカリ性の物質、水酸化アルミニウムなどを混ぜています。
トリプタンが出る前に使用されていた鎮痛剤や市販の鎮痛薬は、本質的な痛みの部分に作用しているのではなく、痛みの伝達を途中でブロックして感じなくしているだけです。
そのため、痛みが強いと効果がなかったり、薬を飲んだときには少し良くなっても、しばらくして薬の効果が薄れてくるとまたすぐに痛くなったり(痛みはずっと続いているため)することがあります。
「医療用医薬品よりも有効成分の含有量が少なくされている」ためつい飲みすぎになります。そして、これらの大半の市販の鎮痛薬にはカフェインが含まれます。
こうしたことから、薬剤乱用頭痛に繋がってくることを意味しています。
市販の鎮痛薬は適切か?・・ある頭痛専門医の見解
片頭痛の起こったときに、一般的には市販の頭痛薬を使う人が多いと思います。
市販の頭痛薬や痛み止めの大部分は”みかけの痛み”のみを取り払い、水面下で起こっている脳の神経細胞の興奮症状を置き去りにしているのです。
当然、毎回の片頭痛発作のたびに起きている脳の血管周囲の炎症に関しても放置されたままになっています。
この興奮状態の放置により、片頭痛の回数や程度がだんだんとひどくなってきて、市販の頭痛薬の用法や用量の規定範囲を超えるようになってきたり、飲む回数が増えてきたりしたら、すぐに、頭痛専門の医師に相談するのが一番いいでしょう。このような患者さんに対して、頭痛専門の外来ではトリプタン製剤と呼ばれる片頭痛治療薬が処方されます。
ここであらためてトリプタン製剤の説明をしておきましょう。この薬剤は通常の頭痛薬とは異なり、片頭痛発作の際に脳の血管周囲に張り巡らされた三叉神経から、炎症たんぱくが放出されるのをブロックすると同時に、膨れあがった脳の血管を元の大きさに戻す作用を持ち合わせる、いわば根本から片頭痛を断ち切る薬であるといえます。
水道の蛇口にたとえるとわかりやすいでしょう。
片頭痛とは、脳の血管の周りに、水道の蛇口からジャージャーと炎症物質を含んだ水がばらまかれている状態です。たいていの市販の頭痛薬(アスピリン=アセチルサリチル酸:製品名バッファリンAをのぞく)は、このように水が出っぱなしになっているにもかかわらず、その下で水を拭き取る雑巾のようなものです。いくら、早くきれいに拭き取ろうとしても、おおもとの水道の蛇口からは水が出っぱなしの状態であり、頭痛薬である雑巾は何枚も必要になります。そして、やがて雑巾もボロボロになって拭けなくなってしまうのです。
これは、市販の頭痛薬を規定範囲を超えて何度も飲んでいる間にだんだん効かなくなり、そのうち飲む日数が徐々に増えていき、しまいには毎日頭痛薬を飲むような状況に陥ってしまうのと同じです。
これに対してトリプタン製剤は、炎症の水が出っぱなしになっている水道の蛇口を閉めてしまうことにより、片頭痛の痛みを根本から断ち切るー・・そう考えていただければ、理解しやすいでしょう。
ここで大切なことは、この蛇口を閉めるのに時間がかかってはいけない、ということです。水浸しになってから蛇口を閉めても、炎症の水が時間とともに乾くのを待たなければ、痛みは取れないからです。
したがってこのトリプタン製剤を飲むタイミングは、何となく痛くなってきてから30分以内だと非常に効きがよく、患者さん自身がベストタイミングを習得する必要があります。しかし、心配はいりません。片頭痛持ちの女性は聡明で頭がいいため、何となく片頭痛がおこりそうな肩こりがしたり、生あくびが出たり、また何となく異様な空腹感が出てくる片頭痛の前段階の予兆期を、十分に学習することも可能です。
トリプタン製剤をタイミングよく飲むことが出来れば、おおもとから炎症を起こす蛋白がばらまかれるのを防いでくれ、片頭痛との付き合いを快適にしてくれます。
また、トリプタン製剤は、不必要に脳の血管が炎症で損傷することも防いでくれるため、結果として、将来、脳梗塞に陥ることをある程度防いでくれることも明らかになっています。
このような神経の炎症物質がばらまかれ、脳が片頭痛のたびに異常な興奮を繰り返すことを放置していると、脳の血管損傷の他にも、将来、よからぬことが起こるのです。
それは、歳を取って片頭痛の痛みを忘れた頃に、突如襲ってくる、しつこいめまいや耳鳴り、さらには性格の変化です。
片頭痛の発作のたびに脳が異常な興奮を繰り返していると、歳を取ってからは脳がちょっとした刺激で簡単に興奮するようになり、さらには常時、興奮状態が続くような状態に陥ってしまいます。このために、めまいや耳鳴りなどの症状が出るようになるのです。
めまいは片頭痛のように吐き気を伴い、しかし長くとも3日は続かず、また体を動かすと強くなるなど、頭痛がしない以外は片頭痛と同じような症状を呈します。
さらに、脳が常時興奮するような状態になると、耳鳴りが止まらなくなります。この耳鳴りは、耳に異常があって起こるのではなく、大脳にある側頭葉という、聴覚の中枢のある部分が興奮することによって起こる症状で、正確な医学用語では「頭鳴」といいます。
このような状態になってからでも、脳の興奮症状を抑えるような抗てんかん薬を服用することで、ある程度は治療可能です。しかし、長年の間にこびりついた”お焦げ”をはがすには、相当時間がかかりますし、完全に取り払うことは不可能なことも多いです。
このような結果に至らなくするためには、頭痛は単に痛みを抑えればよい、もしくは頭痛は我慢すべき病だという間違った考えを捨てるべきです。
このように頭痛専門医の一部の方々は、片頭痛に対して市販の鎮痛薬で対処するのは”不適切”であり、トリプタン製剤を使うべきとされます。こうした論点は、トリプタン製薬メーカーの薬を売らんがための考え方であることを再三再四述べてきましたので、ここでは繰り返しません。もっと念頭におくべきことがあるはずです。
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-11967993935.html
私も”セデスG”のお世話になっていました
セデスG(以下セデス)は病院で処方される鎮痛薬でした。懐かしい薬です
現在の市販のセデスとはすこし成分が異なります。
セデスG:(1g 中)には、イソプロピルアンチピリン150mg、アリルイソプロピルアセチル尿素60mg 、フェナセチン250mg 、無水カフェイン50mg が含まれていました。
セデスはピリン系の鎮痛薬で、ほかの鎮痛薬とはいささか働きが違います。
セデスには、カフェインとアプロナール(プロピルアリルアセチル尿素)という鎮静薬も入っています。この組合せが独特の効果を顕わします。
片頭痛のモヤモヤがスカッと晴れるのです。
セデスは月数回服む分には、とても切れ味のよい薬ですが、それがアダになり、やがて頻回のむようになってきます。
するとだんだん有効時間が短縮し、効きが悪くなってきます。
「ほかの消炎鎮痛薬はまったく効かない」というのがセデス中毒の特徴でした。
セデスと縁を切るのは、とてもつらいのですが、1~2週間すると「雲間から日がさすように」頭痛が楽になってきます。
今まで効かなかった消炎鎮痛薬が効くようになってきます。
なお、セデスG およびその類似薬は腎毒性のために2001 年に製造中止となりました。
その経緯は、頭痛、歯痛などに使う解熱鎮痛剤フェナセチンを10年以上飲み続け、慢性腎不全や膀胱癌になる例が相次いでいるとして厚生労働省は2001 年4月19 日、製薬企業25 社に、この薬の製造販売をやめるよう指導しました。この8 年で21 人の副作用報告があり、うち1人が死亡したといいます。厚労省は副作用を防ぐには供給をやめ、ほかの鎮痛剤に切り替えるしかないと判断しまた。
フェナセチンは明治時代からある解熱鎮痛剤で、医師の処方が必要でした。年間800 万~ 900 万人が服用していたとみられます。セデスG(塩野義製薬)、サリドン(日本ロシュ)が代表的な薬剤です。2 品目でフェナセチン製剤の9 割を占めまていました。一方、市販築の新セデス、セデス・ハイ、サリドンA などは、フェナセチンが入っておらず、2001年の措置とは関係ありません。
厚労省の依頼で21 例を分析した上田志朗・千葉大教授(内科)によりますと、慢性腎不全になったのは平均13 年間服用した人でした。また膀胱や腎盂に腫瘍ができた人は平均17年飲んでいたといいます。
長期間服用による腎障害は以前から分かっており、24年前から厚生省は医師らに注意を呼びかけていました。一方で、頭痛予防などとして毎日飲み続ける患者が多いといいます。
上田教授は「飲まないと不安になるなど、心因性の習慣的なもの」とみています。
1982 年からは医師の処方なしには買えないよう変更しまたが、この10 年で販売量が1.4倍に増加しました。
2000 年11 月からの5 カ月間に副作用報告が5 件続いたのを受け、厚労省は製薬企業に製造販売の中止を求めることにしました。同省は「アセトアミノフエン、アスピリンなどほかの鎮痛剤があり、治療上は問題ない」としています。
このようにして、セデスGは、2001 年以来、製造・販売が中止されました。
今は代わりに「SG 配合顆粒」という商品が販売されております。
フェナセチンの代わりに、アセトアミノフェンが入っています。
しかし、セデスを愛して止まない方々が沢山いらっしゃいましたが、「SG配合顆粒なんてやっぱり効かない!!やっぱ、セデスG じゃなくっちゃ!!」という方が多数おられます。「あのお薬は本当によく効きましたね。強い頭痛も、15分もしないうちにスーっと消えていくあの感覚。」これがセデスファンの実感です。
私も、頭痛に際して服用しておりました。服用して10 分もしないうちに、スーっと痛みが引いていくのが自覚されました。この効き目は、「麻薬」に匹敵するのではないでしょうか?
以前、学生時代、テニスの夏期合宿で、暑さのため、水を飲みすぎて、「胃痙攣」を起こして七転八倒したことがあります。このとき、初めて「麻薬」を注射され、痛みが「雲が晴れていく」ような感覚で消えていきました。これとと、全く同じ感じでした。
この、激しい頭痛が、セデスGを服用することによって、スーっと痛みが引いていく感覚を一度経験しますと、セデスGの虜になることは間違いありません。
セデスGが販売中止になって10 年も経過したにも関わらず、セデスG復活を望んでおられる方々が、如何に多いかは納得できます。
私も、セデスGが販売中止になった時、自分自身のこともありましたが、頭痛患者さんの鎮痛薬に何を今後使えばよいか、と呆然としました。各種のNSAID's はありますが、セデスGに匹敵するものはないのですから・・・
服用する側は、連用すれば「セデス中毒」になり効き目がなくなること、そして腎障害・発癌性があることを認識しておればよいのではないでしょうか?
服用する側の立場からすれば、激痛を我慢するよりは、将来、癌になろうとも、服用は、私は止めなかったと思います。自業自得と諦めます。これが宿命だと・・
逆に、セデスGが販売されていた時代は、一般内科医は、患者さんが「頭痛」を訴えた場合、その頭痛のタイプとは関係なく、一律にセデスGが処方されていたという事実です。3分診療の中で、時間のかかる「頭痛の問診」など殆どの医師は行っていませんでしたこのような医師への指導方法は、どこかにあるはずです。
それにしても、厚生労働省は、「害になるものは問答無用で中止する」といった考えには納得がいきません。将来、殆どの薬が、使用中止になってしまうのではないでしょうか?
薬剤は、本来毒物であるという認識に基づいて使用すべきです。
そして、セデスGを、「麻薬並の」扱いとすれば、よかったのではないでしょうか。
トリプタン製剤が、1錠1,000 円として、セデスG 1g が50 円としても、医療経済面でも節約ができるのではないでしょうか。
私は飲み比べたことはありませんが、トリプタン製剤とセデスGは、どちらが切れ味がよかったのでしょうか?
この2001年以降から、トリプタン製剤が次々に販売された事実は決して忘れてはならない年度です。何か意味があったのでしょうか・・・
現在の「SG 顆粒」は・・
現在の「SG 配合顆粒」成分は以下のようになっています。
イソプロピルアンチピリン 150mg
アセトアミノフェン 250mg
アリルイソプロピルアセチル尿素 60mg
無水カフェイン 50mg
アセトアミノフェンは、「SG 配合顆粒」1包中に 250mg しか含まれていません。
アセトアミノフェノンは、小児や妊婦・授乳をされている女性の片頭痛の第一選択薬として使用されてきました。
しかし、成人ではその効果があまりなく、患者さんはアセトアミノフェノンの使用はあまり好まれませんでした。 ここには一つの原因があります。日本での使用用量が、今まで少なかったことです。アメリカや韓国では、アセトアミノフェノンの用量は、1回1000mg、1日4000mgでした。日本でも2011年2月より、成人の鎮痛における用量が拡大され、1回1000mg、1日4000mgまで使用可能となりました。
従来の用法・用量:1回300-500㎎、1日900-1500mg
↓
新たな用法・用量:1回300-1000㎎、
投与間隔4-6時間以上、1日4000mgまで
これまで、成人で400mg程度を処方して効果がなかったのですが、増量により、片頭痛の鎮痛効果が十分に得られることが期待されます。
アセトアミノフェノンの特徴を述べます。
1.アセトアミノフェノンの鎮痛作用の機序はまだ明らかではありませんが、 脳に対する中枢作用といわれています。一方、非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)は、末梢でcyclooxygenase(COX プロスタグランジン合成酵素)を阻害し、プロスタグランジンの生合成を阻害します。このことにより、NSAIDsは、 鎮痛解熱・抗炎症作用を発揮します。
2.しかし、NSAIDsは、鎮痛解熱・抗炎症作用を発揮するとともに、消化管、腎臓、血小板にも 作用するため、胃粘膜障害、腎機能障害、血小板機能障害などの発現を みることがあります。アセトアミノフェノンは、中枢性に作用し、鎮痛解熱効果を発現しますが、 抗炎症作用はありません。また中枢に作用するため、胃粘膜障害、腎機能障害、 血小板機能障害などが発現することは稀で安全に使用できます。
3.アセトアミノフェノンの注意事項として、肝機能障害がありますが、これもNSAIDsに比して 頻度は少ないとされています。
4.市販の鎮痛剤や風邪薬にはアセトアミノフェノンを含んでいるものが多く、併用する際には細心の注意が必要です。
最後に
以上のように、市販の鎮痛剤にはアセトアミノフェノン、カフェインを含んでいるものが多く、しかも肝心の鎮痛効果を目的としたアセトアミノフェノンの含有量は”本来の有効成分の含有量が少なくされている”ために、必然的に十分な効果が得られないために飲む回数が増加せざるを得なくなるということです。このようにすれば当然カフェインの服用量が増加することになり、これが依存性を作ることになってしまいます。 こういったことから、「国際頭痛分類 第3版β版」でも「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛,MOH)」として「複合鎮痛薬乱用頭痛」が分類されています。
このような事実を直視した上で、「市販の鎮痛剤」を服用しなくてはなりません。
鎮痛薬に頼ることなく、頭痛を改善する対策を早期からすべきであるということです。