love storys  ~17歳、私と君と。~ -33ページ目

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

「まぁ・・・なんというか。さすがは雨宮君だよね」


奈々は馬鹿にするように、僕を見てくすっと笑った。


多分。今日のりレーのことだろう。


「なにかおかしかったですか?」


ムスッとした表情で僕は言う。


「別に。なんか、玲らしいなぁ・・・って」


奈々はそう言って、遠くを見つめるように・・・空を見上げた。


「僕らしい?」


「うん。玲らしい」


「なにそれ」


「なんかだよ」


「ふ~ん・・・てか、名前で呼ぶのやめた方がいいんじゃない?」


僕の言葉に彼女は急に足を止めた。


それにつられて僕も足を止める。


僕は彼女の方を振り返り


「千草さん・・・?」


彼女を呼んだ。


彼女は返事を返すことなく、ただただ下を向いている。


顔は見えない。


けど、なんとなく。


奈々は寂しそうな表情しているんだろうな・・・そんなことを思った。


そして・・・必然的に僕らは無言になる。


かける言葉がなくて戸惑う僕に・・・何も話そうとしない君に。


君は今・・・・何を想っているんだろう?


こんな時、相手の心が読めたらなって。


そんな馬鹿みたいなことを考えてしまう。


絶対にかなうことはないそんな欲望。


それはどんな人にも・・・神にさえも許されることのない力。


一条の風が吹いた。


彼女の髪の毛が揺れる。


と同時に。


彼女か顔を上げた。


「二人きりでいる時ぐらい・・・名前で呼びたいんだけど」


「え・・・?」


「私と玲を繋ぐ証。私は失いたくない!」


「でも、前に・・・」


嬉しかった。


けど、ここでそれを簡単に了承しちゃいけない。


そうも思った。


「前に、名字で呼ぶって決めた。でも・・・さ。私は・・・」


彼女が次の言葉を言おうとした時、急に大粒の雨が降ってきた。


「うわ!」


「きゃぁぁ」


僕らの体が一気に濡れる。


「どこかで雨宿りしないと・・・」


僕は彼女の手を引っ張って、走り出す。


*********


「雨・・・やばいね」


「だなぁ・・・」


河川敷の橋の下。


上には電車が通る橋の下で、僕らは壁を背に遠くの空を見上げていた。


「やむと思う?」


「ん~・・・通り雨だといいけど。微妙だな」


「そっか」


少し嬉しそうな彼女の声。


「嬉しいの?」


「嬉しい・・・かな」


彼女は顔を赤らめて、下を向いた。


「なんで?」


「なんでって・・・わかんないのかぁ」


不満そうに彼女は僕を見る。


「お生憎様。全くわからんよ」


「あっそ~・・・」


「不満ですか?」


「おふこーす」


奈々は舌を出して


「べーだ」


そう言った。


その仕草にドキッときて思わず僕は


「可愛い」


そう呟いた。



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みんなが走っている人たちを目で追っていく中。


僕はただ一人空を見上げていた。


関心があまりない・・・とかじゃなくて。


ただ、なんとなく。


気付いたら、奈々がバトンを受け取って走り出していた。


僕はそこで初めて、走る選手たちを目で追う。


現状は2位。


1位との差、3位との差はわずかだ。


僕の前・・・9人目の走者戦況は大きく変わるだろう。


9人目に順番が渡る。


南雲隼人。


このクラスで僕の次に早い生徒だ・・・が。


基本的に本気で走ることはない。


もしも本気で走ったら、僕より早いだろう。


だが、彼は生粋のめんどくさがり屋。


そして、目立つのが大嫌いらしい。


だから、あいつは狙うかのように、1位と3位の間。


現状維持をしてみせる。


くどいようだが、差は5mもない。


僕次第で、順位が決まる。


当然、アンカーってのは一番足が速いやつが務める場所。


1位はサッカー部。


3位は陸上部。


・・・まずいな。


なんてったって、僕は帰宅部だ。


勝てる気がしない。


全員が注目するこの場面。


抜かれるのだけは避けたい。


でもなぁ・・・。


隼人は涼しい顔で、僕の目の前まで来る。


僕はそんな隼人に少しイラッとしながらバトンを受け取り・・・走り出す。


バトンパスは上手くいったと思う。


だが、当然のように、1位と3位のクラスも見事なまでにそれを決めてくるから差は何ら変化はない。


やばいなぁ・・・。


僕はカッコ悪いのは嫌いだ。


というより、醜態をさらすのが嫌な自尊心が高い男だ。


だからといって、努力をする人ってわけでもない。


天才になりたい。


そんなことを想っている。


まぁ、自分自身が天才でないとは分かっている。


それでも、そうありたいと思っている。


カッコよくありたい。


そんなちんけな自尊心のために、僕はこの中で一位を・・・取るんだ。


そこにはまるで、クラスのみんなのためにとか。


そんな崇高でそれこそカッコいいものは入っていない。


ただ自分のために。


走り出した瞬間、すべての音がシャットアウトされた。


歓声、応援。


黄色い声援・・・。


いや、それは違うか。


ただ聞こえるのは、走っている時の足が地面を踏むたびに出る音だけ。


何も聞こえない。


誰の声も届かない。


1人きりの孤独な・・・戦い。


自分のために走っている僕にはそれは都合のよいものだけど。


・・・少し嫌だった。


10何秒間。


それは清々しく。


悪夢のようで。



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あと、今日からまた皆さんのブログにお邪魔させていただきますw

少し忙しくて書く時間がありません。


…あることはあるのですが(苦笑)


とりあえず、明日の夜から空くので、明後日から更新します(>_<)


当分は2日に一回。

慣れてきたら一日一回に戻します。


では!
すいません。


小説明日になります…

何事も。


何事も自分の思い通りには行かないものである。


自分が願うようなことは基本的には起こらない。


さいころの目はいつだって、1とか2とかそんな不運な数字ばかりが出るんだ。


僕にはそんな人生が続いている。


それは自分だけじゃない?


みんな辛い中で生きている?


お前は幸せな方だ?


うん。


分かってる。


ただ、人間ていうのは幸せなら、さらにその上を望む生き物なんだ。


不幸せなら、普通を。


普通なら幸せを。


幸せな人はすべてが思い通りに行かないと嫌になる。


行かなかった瞬間に、それを不幸だと勘違いをする。


僕が今。


この現状で味わっているのは不幸?普通?


それとも・・・幸せ?


・・・自分自身でそんなのは分からない。


客観的なことなんて、自分じゃ知りようもないのだから。


今日のさいころの目はいくつを出すだろうか?


1・・・2・・・。


それとも3?


「雨宮君。次・・・出番だよ?」


そう声をかけられる。


下を向いていて顔は見えない。


でも、一瞬で誰かを判別することができた。


声で。


別に特徴的な声ってわけじゃない。


でも、ずっと聞いてきたから・・・分かるんだ。


顔を見なくたって。


そして、今どんな表情をしているのかも検討はつく。


きっと君は・・・


「うん。ありがとう。千草さん」


僕は奈々の顔を見ずに返事をする。


・・・雨宮君・・・か。


名字で呼ばれるのはいつまでたってもなれない。


自分から言い出したことなのに、苦しくなる。


「ホント・・・バカだよなぁ・・・」


自分にしか聞こえないような小さな声で僕は呟いた。


僕は、ポケットに入れておいたハチマキを手にとって、額に巻いた。


「頑張れ。玲」


「良一・・・お前は出ないの?」


「俺?でるはずないじゃん。そんなめんどくさいの」


「・・・ずるいな」


「賢いといってくれ」


「サボるのは賢いとは言えないだろ」


「エネルギーは大事にしないと。ファイト」


「はぁ・・・」


僕はため息をつきながら、良一に背を向ける。


グラウンドの真ん中。


そこで、走順の確認が行われた。


とは言っても、走るのは10人だけだから、ほんの数秒。


「はい」


「なんですかこれ?」


「アンカーはゼッケンをつける決まりなんだよ」


「あ・・・そうですか」


ハチマキの色と同じ白のゼッケンを渡された。


僕はため息をつけながら、渡されたゼッケンを着る。


「ため息をつくと幸せが逃げるんだよ?」


「あれ。千草さんもこれ走るんだっけ?」


「・・・忘れてたの?」


奈々は呆れた顔で僕を見る。


「うん」


「はぁ・・・」


「千草さんもため息ついてますけど」


「これはあきれたため息だから、ノーカウント」


「なんだよそれ」


僕は苦笑しながら天を仰ぐ。


雲はいつの間にか、僕らの真上まで来ていた。


太陽が隠れて、淀んだ空模様。


雨が降り出しそうな・・・そんな天気で。


『よーい』


パン!!


午前中最後の種目男女合同選抜リレーが始まった。




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