18話 空模様 | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

何事も。


何事も自分の思い通りには行かないものである。


自分が願うようなことは基本的には起こらない。


さいころの目はいつだって、1とか2とかそんな不運な数字ばかりが出るんだ。


僕にはそんな人生が続いている。


それは自分だけじゃない?


みんな辛い中で生きている?


お前は幸せな方だ?


うん。


分かってる。


ただ、人間ていうのは幸せなら、さらにその上を望む生き物なんだ。


不幸せなら、普通を。


普通なら幸せを。


幸せな人はすべてが思い通りに行かないと嫌になる。


行かなかった瞬間に、それを不幸だと勘違いをする。


僕が今。


この現状で味わっているのは不幸?普通?


それとも・・・幸せ?


・・・自分自身でそんなのは分からない。


客観的なことなんて、自分じゃ知りようもないのだから。


今日のさいころの目はいくつを出すだろうか?


1・・・2・・・。


それとも3?


「雨宮君。次・・・出番だよ?」


そう声をかけられる。


下を向いていて顔は見えない。


でも、一瞬で誰かを判別することができた。


声で。


別に特徴的な声ってわけじゃない。


でも、ずっと聞いてきたから・・・分かるんだ。


顔を見なくたって。


そして、今どんな表情をしているのかも検討はつく。


きっと君は・・・


「うん。ありがとう。千草さん」


僕は奈々の顔を見ずに返事をする。


・・・雨宮君・・・か。


名字で呼ばれるのはいつまでたってもなれない。


自分から言い出したことなのに、苦しくなる。


「ホント・・・バカだよなぁ・・・」


自分にしか聞こえないような小さな声で僕は呟いた。


僕は、ポケットに入れておいたハチマキを手にとって、額に巻いた。


「頑張れ。玲」


「良一・・・お前は出ないの?」


「俺?でるはずないじゃん。そんなめんどくさいの」


「・・・ずるいな」


「賢いといってくれ」


「サボるのは賢いとは言えないだろ」


「エネルギーは大事にしないと。ファイト」


「はぁ・・・」


僕はため息をつきながら、良一に背を向ける。


グラウンドの真ん中。


そこで、走順の確認が行われた。


とは言っても、走るのは10人だけだから、ほんの数秒。


「はい」


「なんですかこれ?」


「アンカーはゼッケンをつける決まりなんだよ」


「あ・・・そうですか」


ハチマキの色と同じ白のゼッケンを渡された。


僕はため息をつけながら、渡されたゼッケンを着る。


「ため息をつくと幸せが逃げるんだよ?」


「あれ。千草さんもこれ走るんだっけ?」


「・・・忘れてたの?」


奈々は呆れた顔で僕を見る。


「うん」


「はぁ・・・」


「千草さんもため息ついてますけど」


「これはあきれたため息だから、ノーカウント」


「なんだよそれ」


僕は苦笑しながら天を仰ぐ。


雲はいつの間にか、僕らの真上まで来ていた。


太陽が隠れて、淀んだ空模様。


雨が降り出しそうな・・・そんな天気で。


『よーい』


パン!!


午前中最後の種目男女合同選抜リレーが始まった。




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