「まぁ・・・なんというか。さすがは雨宮君だよね」
奈々は馬鹿にするように、僕を見てくすっと笑った。
多分。今日のりレーのことだろう。
「なにかおかしかったですか?」
ムスッとした表情で僕は言う。
「別に。なんか、玲らしいなぁ・・・って」
奈々はそう言って、遠くを見つめるように・・・空を見上げた。
「僕らしい?」
「うん。玲らしい」
「なにそれ」
「なんかだよ」
「ふ~ん・・・てか、名前で呼ぶのやめた方がいいんじゃない?」
僕の言葉に彼女は急に足を止めた。
それにつられて僕も足を止める。
僕は彼女の方を振り返り
「千草さん・・・?」
彼女を呼んだ。
彼女は返事を返すことなく、ただただ下を向いている。
顔は見えない。
けど、なんとなく。
奈々は寂しそうな表情しているんだろうな・・・そんなことを思った。
そして・・・必然的に僕らは無言になる。
かける言葉がなくて戸惑う僕に・・・何も話そうとしない君に。
君は今・・・・何を想っているんだろう?
こんな時、相手の心が読めたらなって。
そんな馬鹿みたいなことを考えてしまう。
絶対にかなうことはないそんな欲望。
それはどんな人にも・・・神にさえも許されることのない力。
一条の風が吹いた。
彼女の髪の毛が揺れる。
と同時に。
彼女か顔を上げた。
「二人きりでいる時ぐらい・・・名前で呼びたいんだけど」
「え・・・?」
「私と玲を繋ぐ証。私は失いたくない!」
「でも、前に・・・」
嬉しかった。
けど、ここでそれを簡単に了承しちゃいけない。
そうも思った。
「前に、名字で呼ぶって決めた。でも・・・さ。私は・・・」
彼女が次の言葉を言おうとした時、急に大粒の雨が降ってきた。
「うわ!」
「きゃぁぁ」
僕らの体が一気に濡れる。
「どこかで雨宿りしないと・・・」
僕は彼女の手を引っ張って、走り出す。
*********
「雨・・・やばいね」
「だなぁ・・・」
河川敷の橋の下。
上には電車が通る橋の下で、僕らは壁を背に遠くの空を見上げていた。
「やむと思う?」
「ん~・・・通り雨だといいけど。微妙だな」
「そっか」
少し嬉しそうな彼女の声。
「嬉しいの?」
「嬉しい・・・かな」
彼女は顔を赤らめて、下を向いた。
「なんで?」
「なんでって・・・わかんないのかぁ」
不満そうに彼女は僕を見る。
「お生憎様。全くわからんよ」
「あっそ~・・・」
「不満ですか?」
「おふこーす」
奈々は舌を出して
「べーだ」
そう言った。
その仕草にドキッときて思わず僕は
「可愛い」
そう呟いた。
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