ラジオ!Yotsugi Busters!! -30ページ目

幼い記憶

最近、不眠気味というかあまりよく眠れない。
まあ不規則な生活がたたっているのだが、深く眠れないのだ。

たぶんこれは父親の血を継いでいると思う、僕の父親もずいぶんと不規則な生活を謳歌していた人だった、現在はもう還暦を迎え夜は早めに朝も早めに起きているスーパー健康人。

僕はYotsugi Bustersの中では「外付けハードディスク」という異名を持つほどにどうでもいい過去のことを記憶している変な体質の持ち主。みんながとっくに忘れた事柄をまるでビデオを見返すように思い出すことができる。

そんな過去の記憶をたどってみると、父親の不眠に関する妙な記憶が一つ存在する。

僕の父親はコンビニを経営していて、そこのオーナーであり、シフトはいつも昼の12時から夜の9時まで。これをこの前、還暦を迎えるまでずっと貫いた、ご苦労様です。職場は隣だからいつでももどってこれるし、逆を言えばいつでも何かトラブルがあったら店に行かなきゃいけない。

そんなこんなで神経を常に張り巡らせていたため9時に家に帰ってくるとかわいい僕はいつも走って抱きついていって「ベシベシ!」と自分で効果音をだしながら赤ちゃんパンチを食らわすと父親は疲れてるにもかかわらず必ず僕をひょいと持ち上げて優しくソファの上に「ドーン」と倒してプロレスごっこをしてくれる。たまにやりすぎて僕が泣いてしまうと母親が「なにやってるの?」と父親のおしりを叩いて成敗してくれるのがお決まりだった。

そうして父親はとりあえずお風呂に入ってそれから自分の部屋にこもって借りてきた映画のビデオを見るのが趣味だった。父親は必ず自分の部屋に閉じこもり自分の趣味に没頭する、そこはまさに僕と瓜二つだ。こうして父親はビデオを見ながらいつも夜中の2時くらいまで起きていた。時々、夜中でもインターホンが鳴って「わかった、すぐ行く」といって店に駆けつけることがあった。こういうことから酒も一滴も飲まなかったし、いつでも店のことを気にかけている人だった。

これらの苦労がたたったのか、僕が覚えてる限りでは、あれは僕が小学一年生にあがったくらいの時にある日、母親に連れられてどっかよその街のディスコみたいな場所に連れていかれたのを覚えている。時間帯はたしか昼か夕方くらいだったはずだ、そのディスコは地下にあってまだオープン前でお客さんは全くいなかった。市松模様のタイルにミラーボール大きなブラウン管のテレビがおしゃれに天井に取り付けてあったのを覚えてる。

僕と母親はとりあえずカウンターに腰をおろして佇んだ。初めての空間、ここはどこだろう?何をするところだろう?と不思議で仕方なかった。カウンターの中で開店準備をする茶色い髪をした若い男が「何か飲みますか?」と聞いてきた。母親は「何か飲む?」と僕に聞いたので僕は「ジュースが飲みたい」と言うとコーラを注文してくれた。この時たしか母親もとりあえず一緒にコーラを飲んだ気がする。

僕はなんでここにいるのかが全く理解できず、母親に聞いてみた。すると母親は「パパがここで働くみたいなの」と言った。僕はびっくりした。父親は自分のお店があるじゃないか?なんでだと聞くと「うーん、パパはね、なんか夜に眠れないんだって」と僕に言った。その時はただただ不思議だなとしか思わなかったけど、よく考えたら無茶な話だ。昼から夜までコンビニで働き、そのあと眠れないからこのディスコで働くなんて絶対に過労で倒れる。

僕はもちろん子供だったからなんで眠れないのかが不思議だったし、父親に何が起こったのかも不思議で仕方なかった。現にいまだにあの時なんでこのディスコで働こうと思ったのかも謎だし、結局このディスコに来たのはあれ以来一度もない。当時の記憶をたどってみても父親が夜にそのディスコに働きに行っていた記憶がないし、たぶんこの仕事は結局やらずに諦めたのか、それとも一日だけやってやっぱ辛いと思って速攻やめたかしたのだと思う。

不思議だった。でもあの日あそこのディスコに母親と一緒に行ったのは間違いない。うちの親は酒を全く飲まないから実は居酒屋やバー、ましてやディスコなんて一緒に行ったことがただの一度もない。あれが最初の経験だったからあの場所は鮮明に記憶に残ってる。でも、なんで行ったのかは未だに謎だ、帰国したら親に聞いてみようと思う。

まあ、そんな感じで汗水たらして働いて家族を養ってくれた父親にこの世で最も大きな感謝を込めてありがとう。今は現場を退いて最近ようやくお酒を飲み始め、会合などに参加している。「この年になって酒を呑むのが楽しいと感じるようになった」と言ってはグラス1杯で顔を真赤にしている。

そういえばモンチョイさんも凄い特異体質でHighly Recognitionとかなんとかいう体質らしい。それは一度見た人間を完全に記憶することができるというもの。例えば、ひったくりにあってそいつを一目見ただけで克明に顔の輪郭や体つきまで全て覚えてしまうという。だからその何年後かに容疑者が何人か出てきても確実に犯人の顔を覚えているという優れもの。

僕が一回だけ紹介したYotsugi Bustersに全く関係ない友達でも顔体つき全て覚えているらしく、「こいつだれだっけ?」ということが無い。さらに大勢の人の中からでも知ってる人を瞬時に認識する能力もあるようだ。この体質はつい最近モンチョイさんが僕に告白してくれたもので僕は20年も付き合いがあるが知らなかった。

正直、最初は疑ったがよくよく思い出してみるとこんなエピソードがあった。

あれは2004年頃にいつもの様にミラクル小林さんの家に安酒を持ち寄り夜中に集まっているときにその年のサマーソニックのビデオを録ったからみんなで観賞することになった。それを見ながら色々と語ってるとあれは確かGreendayのステージだったか?そこは定かではないが後半の方で楽器を演奏するアーティストをいろんな角度からカメラが撮影していて、時々1秒ほどモッシュして盛り上がってる観衆が映る。このほんの一瞬にモンチョイさんが「あれ?今ミラクルさんが映らなかったか?」と言ってビデオを巻き戻した。

確かに、ミラクルさんはこのサマーソニックを観に行ってるのだが、まさか映ってるわけはないだろう。と思ってると「ほら!」とほんの1秒間のカットに並み居る群衆の中、頭にタオルを巻き体を上下に動かしてるミラクルさんが確かに小さく映っていた。

「よく見つけたね?」メンバー全員が度肝を抜かれた。ミラクルさんとモンチョイさんは子供の頃からずっと仲が良いこともあり、こんな一瞬の隙もミラクルさんを見逃さないモンチョイさんを僕は本気でゲイなんじゃないかと疑ってしまうほどだったが、Highly Recognitionの持ち主と聞いてほっと胸をなでおろした。

しかしながら、モンチョイさん曰くその特異体質と引換に地図を読むことが全くできないという。これはとても興味深い。僕もどうでもいいことばかり覚えてるが肝心の勉強に関することは記憶力がすこぶる悪い。

みんなも何かしら自分の特異体質を探ってみよう。


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オハラ怒髪天を衝くの巻

以前、ブログに書いたモミジという女、あいつは魔物だ。
今日はすこぶる鶏冠に来たことがある。

今日はからっと晴れてとてもいい天気。気温も高く清々しい気持ちで街に繰り出した。カフェに行って小説を描いたりデザインに関する本を読んだりと一人ながらもなかなか充実した一日を迎えていた。

5時を回っていたがまだ帰るには早過ぎる。日も全然くれてないので一杯ひっかけようとパブに入った。ガラガラだったが僕はfostersを1パイント頼んでビール片手にタバコを吹かす。パブの前には夏の碧い海が広がっていてそよ風が吹いてとても心地の良いひとときを楽しんだ。

パソコンでも広げて今日のアメブロになにを書こうかと考えていると携帯が鳴った。珍しい、誰からだろうと思っているとモミジからだった。どんなときでも女のコからの着信はうれしいものだ。

僕は「もしもし、どうした?」と電話に出た。彼女は最初、なにやら飛行機のチケットについて質問があると言い始め、自分のチケットがエコノミーかビジネスかどっちなのかわからないと言い始めた。「チケットにBって書いてあるからビジネスかな?」そんなの僕は知らない。

「さあ、ちょっとわからないなあ」と僕は適当にはぐらかした。するとこんどは語学学校の料金について語り始めた。現在モミジのいる学校に60歳くらいの高齢の日本人女性がいる。その女性が突然「この語学学校は日本人から多くの金をまきあげている」と言い始めたそうで、モミジもそれに触発され「そういえばそうかも」という気になり始めたという。

僕は4年前にとっくにその学校を卒業しているが、何をいってるんだという気持ちでいっぱいだった。彼女たちが来る4年前のイギリスは1ポンドが220円くらいで現在より100円も高かったのだ。君たちはまだいい方だと僕は言ってやった。「でも、なんか納得行かない。手数料で相当とられてる気がする。他の国の生徒はもっとお金が安いんだよ」とかいろいろと言い始めた。そりゃあそうさ、国によって物価も違うしヨーロッパの学生ってのは特に待遇される。アジアの方の人間はヨーロッパ諸国じゃないから国際間の妙な金の問題が絡んで授業料だって高くなるし滞在費も変わってくる。

でもモミジは他の韓国の生徒とかは自分たちほどお金がかかってない、日本人だけ多く金を取られてるといい始めた。埒があかないと思った僕は「とりあえず国際電話でもしてみて聞いてみればいいじゃん?」と言った。すると「前にその高齢の日本人女性がメールでその件を聞いたんだけど取り持ってもらえなかったらしいの。だから電話しても無駄だと思うわ」と言い出した。

「じゃあ、仕方ないね。消費者センターにでも相談するしか無いんじゃない?それか訴訟に乗り出すかしないと…」彼女は妙に熱が上がっていて何を言っても焼け石に水だった。というか、僕に言っても僕はその語学学校の人間じゃないし仕様がないじゃないか。「悔しくないの?」とモミジはしきりに僕に訴えかけたが、正直なんとも思わなかった。今頃、僕が訴えてももう4年前に卒業したしその時のお金は戻ってこないだろうし、それに僕はそんなにベラボウに高いとは思わなかった。だいたいどこも同じぐらいの値段はかかると思う。

「そんなこと僕に言われても困るよ。僕はあの学校を運営してる人間じゃないし」と僕はあくまで冷静に中立の立場を保った、じゃないとこういう場合埒があかない。終いには僕がもうすぐ日本に帰国するもんだから国に帰ったらその語学学校の留学センターに赴いて話しを聞いてきて欲しいとまで言い出した、それは自分でやるがいい。

「嫌です、それはご自分でやってください」と僕ははっきりと言った。すると彼女は「まあそうか、オハラ君はお母さんがお金出してるんだもんね、そんな風に悔しくともなんとも思えないか?」と軽蔑した言葉を放った。

キレた…

「このあまぁ~!!!!!!!!!!!」とブチ切れそうになるのをなんとか抑えて平静を保った。なぜならここはpub、public houseの略、公共の場だ。これが家にいて一人だったら僕は普段出さない大声でこの女をもう一度泣かせていたことだろう。AB型は怒らせると非常に怖いのだ。

しかしながら酒も飲んでるせいか本当に「かぁ~」と頭に血が上る感覚がわかり、しばし絶句、無言の怒りである。彼女は失礼なことを言ったとも微塵にも思わず延々金の愚痴を続けていた。「さっきの言葉は聞き捨てならないな」と僕が声のトーンを変えて深刻に言った。彼女は「へ、何が?」と全く分かっていない様だった。「親が金だしてるって下り」「ああ、あれね。だってそうでしょ?あのね、社会人として自分でお金貯めてね、自分のお金で留学するのって本当に大変なんだよ…」もう何も言葉が見つからなかった。

親に頭を下げて語学学校の半分をだしてもらったのは事実、それは彼女がまったく正しい。じゃあ、こいつは僕がその半分の金を4つもバイトを掛け持ちして半年間で貯めた僕の苦労を知ってるのか?何の苦労もなく僕が留学しているとでも思ってるのか?夏に帰国すると毎年必ず少しでもお金を稼ごうと灼熱の太陽の下、汗だくで紫外線にやられながらお台場で毎日働いていたあの苦労を知ってるのか?頭に来る。

特に英語を勉強してそれを活かす目的もなく、ただなんとなくで一年間こっちに留学に来たくせに、ヤル気がないから英語がぜんぜん伸びないと自分の怠惰を言い訳にだらけているくせに、あまつさえ4ヶ月経ってようやく後から来た高齢の日本人女性から影響を受けて金がたかすぎると文句を垂れる始末。今の今まではなんの文句も言わないで楽しそうに学校に行っていたじゃないか?だったら帰国するがイイ、そして二度と留学などしなければいい。

だいたい、今気づいてももう遅い。そんなに高いと思うのならなんで来る前に「ちょっとおかしいわね」と他の留学斡旋業者に相談したり値段を照らし合わせたりしなかったのだ?それは自分の怠慢だ。それにだいたいどこもこれぐらいの値段がかかって当たり前だ。国際間の僕らの頭じゃとうてい理解の行かない妙な決まりによって生じる税金とか法律やらが絡んでなんだかんだでこれくらいの高い値段になるのは当たり前だ。もっと言えば留学なんて大きなお金が動くことなのに大して調べもせずにこのエージェントと語学学校を選んだ自分にも責任がある。

とんでもなく授業内容が希薄で先生も悪くて施設や周りの環境、面倒も見てくれないといった欠点があまりにも目立つのなら別だがあの学校はちゃんとしているし僕は満足だった。それに探せばもちろんもっと安い学校やエージェントはあるが安いところを選べばもちろんそれなりの授業しか受けられないし、それなりのサービスしか扱っていないのが当たり前だ。

現に今の今まで何も言ってこなかったモミジがいきなりこんなことを言い始めて、僕があまり取り持つことをしなかったからといった一連の事柄における八つ当たりとも取れるこの傲慢な発言は僕の逆鱗に触れてしまった。

「とりあえず、なんか自分で行動を起こしなよ。それで進展があったらまた連絡して」と適当に言って僕は乱暴に電話を切った。モミジは再三の不躾な行いにより語学学校の中でもかなり株が下がっているという噂を耳にした。さあもまれるがいい。

僕は今頃「金返せ」と言っても無駄だと思うし、それに僕はあの学校にあの値段で満足してる。もっと金のかかる語学学校だってあるのだ。だから訴訟でもなんでも勝手に起こせばいい、ただ訴えるにも金が必要だがね。

まあ、何だかんだいって、今までの経験からしてこうやって言ってるだけの人は結局何もしないのだろうな。本当に行動を起こすものはいつだって不言実行だ。

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モンチョイ的小説  第三話

もう遅い時間になっていたけどなんとか終電までには間に合った。浅草橋の駅のホームで停車していた印西牧の原行きになんとか飛び乗ってすし詰めの中、僕は息を整えた。ちょっと階段を走って降りただけなのにもう息が上がってしまう、年なんだな、年々そう思うよ。これでも中学時代は陸上部だったんだ中三の夏に高校受験で忙しくなる前まで頑張って続けた、大会にも出ず僕の青春は終わったけど今思うともっと真面目にやって体力を付けておけば良かったと思う。社会人になると体力って本当に大事だなって感じる、もうあんなに汗だくで走る機会なんて永遠にないんだろうな。

朝のラッシュも嫌いだけど終電のこの満員電車はもっと嫌いだった。一日疲れたサラリーマンの体臭と酒臭さ、電車の中にも空気清浄機を取り付けるべきだと思う。僕の目の前にいるおっさんがドアにもたれたまま大口を開けて眠っていた。酒臭い息が僕の顔にもろにかかって気持ち悪かった。なんとか顔をそらして僕はカバンのなかから手探りで愛用のipod nanoを取り出した。便利なものだ、このインナーイヤーヘッドホンなら音もいいし音漏れがしない。僕は遠慮無く音量を上げてipod nanoを軽く振ってみた、「ピロン」という音と共にシャッフル再生が始まる。

この時に何が流れるかが僕の楽しみだ、ipodを初めて買ったときは嬉しくて家の中でもずっと着けていた、これさえあれば僕の好きな音楽すべてを携帯できる。でも、いざ買ってみると聞く曲はかなり限られる。結局、自分の好きなものしか聞かないのが関の山。一曲目に出てきたのはJimmy Eat Worldの「A Praise Chorus」だった、これは意外なチョイスで僕を楽しませた。




イントロの攻撃的なギターのフレーズが好きでいつも聞くたびに体が少し動いてしまう。もう駅は本所吾妻橋から押上に向かおうとしていた。グレーや紺のスーツに身を包んだハゲ散らかったサラリーマンたちが本当にくたびれた表情をたたえたままつり革や手すりに掴まり電車の進行にされるがままの状態で体を揺らしていた。ボーカルが僕に語りかけた。

君はこのまま部屋の隅っこの方に立って、周りを見渡しながら迷って生きていくのかい?

君はこのまま自分がどれだけ成長したか、はたまたどれくらいミスったかを考えて人生を無駄にする気かい?

自分の思い通りになんか行かないよ。
どこだったらマジで行動できるようになると思ってるんだい?
それなりに思い通りに行くこともないよ。
ましてや25歳でも何か始めなきゃ。

僕は立ち上がってる、しっかりと地面に、準備は万端だぜ!
あとは僕の知ってる歌に耳をかたむけるだけだ。
僕はいつでもこれが自分自身の一部だって感じていたいんだ。
今夜僕は恋に落ちたいのさ。


25でも何かスタートしなきゃ…僕はもう30になったけど、今からでも何かできることがあるのかな?こうして周りのサラリーマンを見てると自分も第三者から見れば同じように見えるのだろうか?この薄いグレーのスーツは誰よりもうまく着こなしているように思えるけど部活帰りの学生や女子高生から見れば臭そうなおじさんなんだろうか?たぶんそうなんだろうな。僕も昔、学校から帰る電車の中で酔っ払ったおじさんに絡まれたことがあった。そのおじさんはバカでかい声で永遠と人生がどうたらと語ってて最後は「若いうちはとにかく遊べ」っていう在り来りな言葉で締めくくり僕を開放してくれた。僕はその時に絶対こういう大人にはなりたくないと思った。

Yotsugiに着くと降りる人は10数人程度、誰もが下を向いたまま階段を駆け足で降りて、パスモでさっと改札を通る。駅から出ると今日はぬるい風が吹いていて、もうじき夏が近づいてることを告げていた。「すー」決してうまくはない汚れた空気を吸い込んでハーっと吐いてみた。自分の街に着いたという安堵感と共に僕は悠々と歩き始めるとまもなくして商店街「マイロード」が現れた。

もうどこもかしこもシャッターは降りていて街頭だけがアスファルトをオレンジ色に照らし続けていた。相変わらず寂れたこのアーケードすら付いてない商店街、僕は胸元のポケットからセブンスターを取り出して慣れた手つきで火をつけた。「ふー」煙が夜の闇に溶けていった。タバコを咥えたまポケットに手を突っ込み少し背中を丸めて誰もいない商店街を歩き始めた、まるでアメリカのハードボイルド映画の主人公になった気分だ。タバコは洋子と付き合い始めて半年間で頑張ってやめた、洋子はタバコの臭いが大嫌いで「せめて私とデートの時くらいは吸わないで」と言われてそこから僕はがんばってタバコをやめた。でもこうしてお酒を飲むときだけは洋子に内緒で吸っている、飲むときはタバコをやめられない。

「ふー」火がフィルターギリギリまで来ていた、タバコを吸いながら僕は衰え始めているであろうそんなに優秀ではない頭でしばし考えた。僕の人生はこの先どうなるんだろう?お酒を飲んで一人になると毎回この問題が僕の頭に浮かぶ。

田川はいつも金の話しかしないけど、あいつはあいつで楽しそうだし、たぶん人生設計もちゃんと考えてるんだろうな、なんだかんだであいつは結構な蓄えがありそうだし、週末はサーフィンしたり女と遊んだり、ちなみにあいつは現在僕の知ってる限りでは同時に3人の女と付き合ってるそれをうまくやりくりしてるあいつはサラリーマンなんかやめてジゴロとして女から金を稼げるんじゃないかとも思う。

何度か、田川の家に遊びに行ったことがある。品川の方にある駅近のセキュリティ完備のマンションであいつは8階に住んでいる。部屋のインテリもどこで買ってきたのか不明なとにかくおしゃれな作りだった。これ見よがしに艶光りする黒のエレキベースが2本ほどスタンドに立てかけてあって頼んでもないのにそれで何かしらの曲を演奏するのがお決まりだった。田川は昔バンドを組んでて一応インディーレーベルからCDもだしている。でも大学卒業して自分の夢に見切りを付けた。田川はいつもその頃のことを語るときは決まって「夢を叶えるにも金がいる」と愚痴る。

丁度、ミドリ薬局の前を通りかかった頃、「ふー」もう一度煙を吐き出すと僕はだれもいないことをいいことにピンっと指でタバコの吸殻をはじき飛ばした。田川にはなんだかんだで趣味もあるしあいつには自分の人生を楽しむ独特の方法がある気がする。僕には何があるんだろう?僕は趣味と呼べるものが無いし、いままでなあなあに生きてきた。

決して自己主張することもなくわがままを言うこともなくグレたこともなかった。せいぜいタバコを17歳から親の目を盗んで吸い始めたくらいで夢を追うために家を飛び出すなんてことも無かった。僕の夢はなんだっただろうか?それすらも覚えていない、いや、思い出すのが恥ずかしいだけだ、僕の夢は…のちのち語ろうと思う。

そんなことを考えてるといつしか商店街をちょうど抜けて、僕の愛しの家が待っていた。といってもマンションだけどね。僕は社会人になると同時にこのYotsugiに越してきてもう8年になる。つい最近この近代的なマンションが出来上がって洋子と同棲をしようとここに越してきた。僕の人生はずっとこんな感じだ。

続く

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テストの夢

最近、前にも書いたかも知れないけどここんとこ夢のなかにシチュエーションは違えどかならず出てくるものがある。

それが「期末または中間試験」です。

どういうわけか僕が学生に戻ってて気がつくと試験を受けてるんで決まって「うわー、全然わからない。もっと勉強しておけばよかったな」と全然出来ないまま提出して落ち込むというオチになる。

これを実はここ最近5回ほど観ているのです。

あまりに気になるものだから夢占いのサイトで見てみました。すると…

テストの夢は自分の能力に対する思いから見る夢です。能力不足では?と思っていたり、学生なら成績を気にしているしるしです。気を抜いていたり努力不足への警告の意味合いが含まれる場合もあります。テストの結果が悪い夢なら夢とは逆によい暗示で、これからの努力次第で大きな運が開けそうです。問題がスラスラ解けたりよい点を取る夢なら、ダメージを受ける失敗をしてしまいそう。夢の印象がよいほど油断大敵です!

ということ。テストの結果が悪い場合は努力しだいで運が開ける。これはいいことだ。
たしかに最近いろんな意味で努力をおしんでる気がする。

うーん、なんかオトナになると努力するのがなんかカッコ悪いみたいに思ってしまう自分がいる。なんか汗水たらしてやるより、さらっとスマートにやることが美徳のように思われてる節が世の中には蔓延している。

これはいけない、努力する人間を笑ってはいけないしほめたたえなければならない。いろんなことから逃げてはいけない。というより今はインディビジュアルな時代だ。

なんか何でも一人でやらなきゃいけないみたいな風潮がある気がする。「そんなの自分でやれよ」「お前のジコマンにつきあってられないよ」とか。これではいかん、「一緒に頑張ろうよ」という美しい友情が必要だ。といっても時には自分でやることも必要だが。

とかく日本ではなんでも自分でやりなさいという教育をされる。考えるのも一人、答えを導き出すのも一人。海外の学校では必ずグループで意見を出しあってみんなで一緒に問題を考える。仲間と何かをやり遂げるという協調性を育むのだ。

どの道、社会に出れば会議をしたりしてみんなで仕事をすることになるのだから子供の頃からみんなと一緒に考えるのはいいことだと思うがどうだろうか?

それはさておき、みんなも夢を分析してみるといろいろとわかってくるかも。
では夢で逢いましょう。


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愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛して

先日のオハラさんのJpopの歌詞は空虚な言葉の羅列であるというブログを読んで、大槻ケンヂが町田康(町蔵)と対談したときの話を思い出した。

確かこんな内容だったはず。
「オーツキ君、CDつーのはどうしたら売れるんやろね?」
「マチゾウさん、それにはやっぱり、好きとか、愛してるとか、陳腐な言葉に婦女子は弱いんすよ。そういった言葉を歌詞にたくさん入れておけば売れますよ!」
「そういうもんなんかなぁ…」

それから数年後に出来た町田康の曲がコチラ。



「愛してる」という言葉をこれでもかと繰り返す。数えてみたら40回も絶叫していた。
ここまで連呼されると、使い古された「愛してる」という歌詞も新鮮さを帯びてくる。

Youtubeに町田康がナイナイに作詞方法を教える番組があった。



「歌詞というものはイメージだから錯乱したような状態の方が良い」
これはレアだな。町田さん若い。というか、イケメン過ぎて笑ったわ。

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ひきこもりと信じる心

2005年の調査では引篭もりは160万人以上だそうな。その内、意外なことにインターネットばかりずっとやってるという人は10%でほとんどがゲームをやってるまたはビールを飲みまくってる、中には部屋の中をずっと歩きまわってるなんてのもいる。

そういえば、イギリスでの恩師Benが「日本には引篭もりってのがいるんだろ?」としきりに聞いてきたことがある。どうやらBBCで日本の引篭もりを特集したことがあったらしい。この放送がなされる前まではイギリスではひきこもりはあまり注目されていなかったらしいが、これ以後、同様の体験があると名乗りでた人が多く現れ話題を呼んだという。

僕は孤独な生活をこのイギリスで4年間近く送り、すっかり一人が嫌になった。一日誰にも会わない、部屋をでない、しゃべらないだけで気持ちはかなり沈み、誰かに会いたいと強く願うようになる。この生活が続けられるその妙な精神力があるならどうして外に出られないのだろうか?僕には申し訳ないが理解ができない。

引篭もりの原因はほんとに様々で一概には言えないが主に社会との関わりや対人関係に起因するものと思われる。仕事や学校などで顔から火が出るほどの大失敗をしてしまった、いじめにあうなどはもちろんのこともっとひどいケースでは信じていた友達にものすごい裏切りにあったとか、立ち治りにくい失恋を経験したとか、はたまた忙しい生活に追われノイローゼ気味になり人と関わるのが嫌になったなどと原因は様々だ。

だれだって、突然自分の生活や人間関係が嫌になって閉じこもってしまう時がある。僕だってある。僕の場合はとかく恋愛関係だ。ずっと彼女が出来ずに27年目を迎え、これでもなんども恋をして告白をしているのだがその全てが上手くいかなかった。「僕はこんなにこの子が好きなのにどうして応えてくれないのだ?」とストーカー的な考えをいだいては相手を一方的に非難し、憎む時さえあった。

こういうとき、チャラチャラした柄の悪い連中などを見ては「なんでこいつらにはあんな可愛い彼女がいて僕にはできないのだ?」とか「あんなやつのどこがいいのだ?」と悲観的になり、女性不信に陥ったこともなんどもあった。

でも、それらは全て言ってみれば一人相撲で、自分が勝手に相手に期待して、裏切られたと思い込んでるだけなのだ。「僕がこんなに愛してる」と思っても向こうはこれっぽちも自分を恋愛対象に思っていない、これは至極当たり前なことで、逆の立場にもなってみれば迷惑千万な話でもある。考えても見てもらいたい、例えば自分の全く好みじゃない「この人とは絶対に付き合いたくないしキスもしたくない」と思うような人に「私はこんなに好きなのにどうして私と付き合ってくれないの?」なんて言い寄られたらあまりに迷惑だ。

こうしてどんどんと信じる心を失ってしまう。「どうせ裏切られるんだから、始めから信じない方がいい」というふうに。そうすると誰も信じることができなくて、むしろ自分も信じられなくなってそりゃあひきこもりにもなるだろう。

でもそうすると、何も進歩しないし、何も生まれない。でも、僕はどんなに悲観的な人だって絶対に「もっと良くなりたい、自分を変えたい」と心のどこかで必ず思ってるはずだと確信してる。そう思ったら変わらなきゃいけない。同じことを繰り返してある日突然に違う結果が得られると思っていたら大間違いだ。

だれだって信じて裏切られるのは辛い。でも、信じる心をなくしたらもう誰とも関われないし、友達もできなくなる。友達がいないのはこの世で最も不幸なことだ。人は一人じゃ生きられない。100回信じてその内の97回分くらいは裏切られるだろう。でも3人くらいは信じれる人やことが得られたならそれはいいことじゃないか。

昔、ウルトラマンエースの最終回でこんな名言があった。主人公の北斗星司がヤプール星人の策略により人を信じる気持ちを失いかけた子どもたちの心を救うため、彼らの眼前でウルトラマンエースに変身してジャンボキングを倒す。そして、最後の願いとして彼らにこんなことを言う

「優しさを失わないでくれ。弱いものをいたわり、互いに助け合い、どこの国の人たちとも友達になろうとする気持ちを失わないでくれ。たとえその気持ちが何百回裏切られようと。それが、私の最後の願いだ」

世の中悪い人ばかりじゃない。むしろ人の気持ちを平気で裏切ったりする人間とはハナからかかわらない方がいいのだ。信じる心と少しでも自分を変える勇気を大切にしてほしい。

それではここで一曲聞いてください。去年の紅白で話題になった声優の水樹奈々さんが昔組んでたユニットPritsで「Sakura Revolution」。



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シュガシュガルーン




オタクを自称している僕だが。やっぱり最近年齢を感じてきた。
こんなアニメがやっていたとは知らなんだ、あ、でもこの歌はラジオで聞いたことがあった気が…

とにかくこの作品は「働きマン」などでおなじみの女性漫画家の安野モヨコさんが描いた魔法少女物ですね。うーん、最近の魔女っ子ものはおしゃれですな。昔は作り手が男だったからかな、今はこういうのが受けるのだろうな。

この安野モヨコさんはあのエヴァンゲリオンで有名な庵野秀明さんと結婚したため「Wアンノ」なんて言われて騒がれたこともありました。

それはさておき、このシュガシュガルーンの主人公の女のコ、ショコラを演じるのが松本まりかさん。アニメにゆかりがない人でももしかしたら知ってるかもしれない。この人はもともと女優方面での活躍が多かったが、一番有名なのはなんと言ってもFF10の萌えキャラであるリュックの声を担当した人だ。

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リュックといえばFF10でもかなり人気の高いキャラクター、おしゃれな女シーフ、そして喋り方や仕草が可愛い。あの舌っ足らずな喋り方は本人の松本まりかさんそっくりだという噂もある。

残念ながら松本まりかさんは何をやらせてもやっぱりリュックになってしまう。正直このショコラとリュックの声を聞き分けられるかと言われるとちょっと返答に困る。

それはさておき、この松本まりかさんは実は先月くらいから役者を休業しなんと一年間の留学を始めたそうな。それがなんとここイギリスだ。しかし滞在している場所はLondonのWinbledon、ここから約二時間もかかる場所だ。

しかしながら、残念極まりない。もしかしたら僕がひょっこり彼女に知り合えるチャンスがあったかも知れないがいかんせん僕は来月で永久帰国だ。ああ、なんと間の悪いこと。日本でもし彼女を見つけたならば「あ、握手してください!」で営業スマイルをもらってそれっきりだが、この留学という極限状態では一気に親密になるチャンスなのだ。

お互いに語学の習得の難しさを分かち合い、かといって同じ国籍同士やはり固まるものだ。「ねえ、こんど一緒にBrightonまで買い物に行かない?」という誘いもあるはずなのだ、それもリュックの声で。

ボーイ、まいったね。

移動の電車内で世界の車窓からみたいな広大なイギリスの大地と馬や羊たち、それを見てはしゃぐ彼女。「ほら、見て見て!羊だよ~☆」ああ、僕は君しか見えないよ。そして僕は不思議な気持ちにかられる、いったい僕は彼女を通して何を観ているのだろう?声優さんに恋をするというのは本当に不思議なものでその本人に恋をしているのか、それともその人が演じている数多ある役のどれかに僕は恋をしているのだろうか?

Brightonにつくと僕は彼女をいろんな所へ案内してあげるんだ。Banksyの絵が描かれたパブやロイヤルパビリオン。そして、Fish&Chipsを食べながら映画「さらば青春の光」でロケに使われた伝説のモッズとロカビリーが乱闘騒ぎを起こした浜辺でしばし佇む。

「…」二人の間に沈黙が走る。カモメだけが「早く彼女に思いを告げなよ」と催促。
わかってるさ、でも本当の瞬間はいつも死ぬほど怖いものだから逃げ出したくなったことは今まで何度でもあったんだ。

サマータイムでなかなか沈まない太陽の光をうけながら僕は意を決して彼女の手を握り、彼女の目をじっと見つめる。驚いた拍子に持っていたFish&Chipsを落としてしまう彼女、それを必死につつきに来るカモメたち。目を見開く彼女、僕は彼女のそのダークブラウンの澄んだ瞳に吸い込まれそうになりながらもFF10のアルベド語で必死に思いを伝える。

「Fish&Chipsモニコ、Love&Peaceム育ヤハミア?」(便利な日本語訳「Fish&Chipsよりも、Love&Peaceを育まないか?」)

彼女はクスっと笑って「ギャワ、私マ差詰レオノ・ヨーコガメ」(便利な日本語訳「じゃあ、私は差詰めオノ・ヨーコだね」)

ここでうまい具合にQueenの「Don't Stop Me Now」のイントロ「Tonight…」が入って二人のハニカム顔をそれぞれ1ショットずつ。寄り添って海を眺めるシーンをスローで。そして歌が「Having a good time, having a good time」に差し掛かると持っていたchipsを空中に放り投げキラキラと光るエフェクトと共にどこからともなく現れたレザースーツに身を包んだハードゲイの方々と共に躍動感あふれるステップを披露。

「真夜中の弥次さん喜多さん」で喜び組の役をやっていた彼女にとってこのステップはお茶の子さいさいだ。決めポーズでダンスを締めくくり、深紅のハートを交換した後二人はレインボーフラッグを片手にBrightonの街を大勢の祝福と二階からの紙吹雪を浴びながらパレード。

誰もが声をあわせてThe Cardigansの「LoveFool」を合唱しそのまま新生カモメ団としてラグナロクに乗って世界中をハネムーン旅行。

コクピットから行き過ぎる国々を横目で見ながら、僕は彼女に「これから全てが良くなっていく」と意味不明なことを言うとエンディング・テーマ「まかせて!チン・トン・シャン」がかかりスタッフロールと一緒にNGシーンが流れる。

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初音ミクは無限の可能性

これだけ、素人の人ができるのならば、今の世の中なんでもできるね。

You're having the time of my life

今日は学校のクラスメイトと飲み会があった。ささやかながら。

Old Townへウキウキとスキップしながら繰り出す。ipodで聴いてる曲はJets to Brazilの「You're having the time of my life」だ。

暮れなずむ街の青空を眺めOld Townへつく。イギリスはサマータイムで夜10時まで陽が沈まない。ああ、もう夏なんだな。

Hastings Armsという100年前くらいからあるpubに着くと僕は一番乗りだったようでミラ・ジョヴォヴィッチに似ている店員の女にOranje Boomを1パイント頼む。彼女は無愛想ながらもニコッと笑って僕にビールを差し出す。3.10ポンドだ。僕が来たころはたしか2.80ポンドだった気がする。どんどん物価が上がっていく。

とりあえず席について乾いた喉をビールで潤す。うまい。すーっと食道を通って胃に入っていくのが感じられる。このpubにはゆかりがある。昔よく語学学校のやつらと来ていたものだ。もう彼らはこの国にいない。僕はずっと一人でこの国で4年間生きてきた。

ああ、その生活もあと15日で終わりだ。僕は自分で自分を褒めてやりたい。この寂れた街で4年間生きてきた。友達はできずにずっと孤独に一人きり。日本人はとかく責任を自分へ押し付ける「孤独だからって、お前がその街に4年いることを選んだんだろう?」とね。たしかにそうだ。でもヨーロッパやアメリカ人ってのは責任をよそになすりつける。アメリカ人が何かあると家族が全力でそいつをかばう、例え殺人をしても「うちの子は悪くない」みたいに。日本だったら「このたびは息子が大変なことをしてしまい、世間様に合わせる顔がない」っていうけどこっちは違う。

恩師のBenさんも「この街は腐ってる、そんな場所でよく4年も頑張ったもんだ」と褒めてくれた。ああ、今だけはこの言葉に酔いしれたい、僕はよく頑張ったさ。

しばらくするとMikaがやってきた。彼女はイラストを先行してる黒人の女性でもともとはドイツ出身だという。この街に11年もいるという、考えられん。彼女はいつでもニコニコと社交的な女性だ、僕は彼女が大好きだった。それと同時にJenがやってきた。彼女は僕を見るなりハグをしてきた。ああ、これほどまでに人のぬくもりを心地良く感じることはないよ。Jenはいつだって僕を受け入れてくれる。

僕たちは外に出て暮れなずむ夕日と共にお酒を楽しんだ。ちょっと寒かったけど。みんなの近況報告ののち次に現れたのはRebeccaだ。彼女は今年からグラフィックデザインの勉強に参加した40歳くらいの女性だ。シワが目立つがすらっと背の高い欧米人特有のプロポーションにウェーブのかかった赤い髪の毛がなんともセクシーだ。ほどなくしてLintonが現れた。彼は3年間共に勉強した伊達男、まだ20そこそこだ。ナイスガイだがあまり僕とは喋る機会がない、でも根はいい奴だ。Lintonは去年まで一緒に勉強していたRahelを連れてきた。Rachelの登場には面食らった、まさか彼女が来るとは。

Rachelもハタチそこそこの若い女、去年で勉強を終えて今年はギャップイヤーを楽しんでる彼女だった。結局クラス全員を誘ったが来たのはこれだけ。これだけ書けばなんで僕が4年間友達が出来なかったのか納得出来ると思う、みんな社交的じゃないんだ。それでもこの飲みを楽しみたい、実質これが最後の飲みになるだろう。

しばらくそれぞれの四方山話に花を咲かせた。しばらく聞いてるとRebeccaはどうやらオーストラリア出身らしい。最初は彼女のゆっくりとはっきりと喋る様からどこか他所の国からきた人だと思ってたけどどうやら彼女は英語圏それもオーストラリア出身だ。ああ、やっぱり僕はオーストラリアに憧れてる。Benの言うとおりだ。このHastingsの人間には独特のアクセントがあり早いし何言ってるかさっぱり分からないが彼女は丁寧にゆっくりと分かりやすく喋ってくれる。でも、言い換えればこの癖が強くタフな言語環境で4年もやりすごした僕にはたぶんもうほとんど怖いものはないと思う。アメリカでもオーストラリアでも彼らの英語は僕には簡単に思えるのだろう、現に彼女の言ってることは余す所無くわかる。

学校から試験の結果も得て僕は卒業が確定した。こうして互いに学校の愚痴やそれでも卒業できたという喜びを分かち合ってると4年という重みがどっと湧いてきて僕の涙腺をゆるませそうになった。僕はよくやった、留学なんてお金払えば誰でもできるんだろうと言う人がいる。僕はそいつに全力でくってかかるだろう。ならばやってみるがいい、どれだけ4年間の就学を終えることが大変なことか。

聞き流すだけで英語を完全マスター、そんな教材あるならだれだってやってる。踊らされてはいけない。現地に行きたくさんの経験をしないとこればかりは成就しない。僕は多くの恥をかいたし修羅場も乗り越えた。グラフィックデザインの学校へ志願するのも一苦労。日本にいたときは英語もわからなかったし資料請求もちんぷんかんぷん。そのまま僕はダメもとでイギリスへ飛び込んだ。

地球のほぼ裏側で違う言語と環境、人間、食べ物に生活様式、そしてそれに伴なう情熱の狭間で僕は4年を生き抜いた。そして卒業を成し得た。これはでかい進歩だ。誰もができることじゃない。

スパークリングな黄金の水が僕に浴びせかけられ僕を祝福する。さあ今日は飲むがいい。自分へそしてこの国に乾杯だ。

僕は泣いてるの?それとも笑ってるの?細い肩が震えてる。

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Jpopの歌詞における「何か」の探され率は異常。

はやりのJpopが好きになれない理由として歌詞がどうも気に食わない。なんかこう…空っぽな言葉の羅列というか、「そのフレーズもう何回も他の歌で聞いたよ」って感じの歌詞。

先日、ある海外の雑誌が日本の名の知れないガールズユニットを紹介しててたしかJelly Beansという名前だったか?日本人の女のコ二人のユニットなんだが、まあその売れてないユニットがなんで海外のサブカル雑誌に取り上げられたかというと二人が女子高生のカッコをしてるからで日本のセーラー服は世界的に人気があるようだ。そこで言っていたのが「彼女たちの歌は可愛らしいJpopである。歌詞はJpopによくある前向きに頑張ろうとかあきらめずに恋をしようとかそんな感じである」と書いてあった。外国人の第三者の目から見ればJpopはそんな感じなんだなと改めて分からせてくれた。

そして先日、ニコニコ動画でこんな興味深いニュースを発見「Jpopの歌詞における「何か」の探され率は異常」というもの。見出しだけで吹いてしまったが、これは中身を見ずにいられない。J-POPを聴いていると、しょっちゅう「~を探して」とか「~に会いたくて」とか、よく聴くフレーズがあるなーと思ったりしますが、あらためて並べてみると本当にそうだったという。

そしてこれに関するまとめサイトみたいなのがあってそこが面白かった。みんなが「~しすぎ」という縛りで一言ずつ書いていくのが見事だった。以下にその抜粋を掲載。

翼広げ過ぎ


君の名を呼び過ぎ


花が散りすぎ


君に会いたすぎ


パスタ作りすぎ


旅に出すぎ


会いたくて会えなさ過ぎ


光が挿す方へ行き過ぎ


前髪切りすぎ


母親感謝されすぎ


涙流しすぎ


君のこと考えすぎ


もう一人じゃなさすぎ


大切な人居なくなくなりすぎ


あの頃に戻りた過ぎ


一歩づつ歩いて行き過ぎ


虹かかりすぎ


大切な仲間がいすぎ


リスペクトし過ぎ


奇跡起こりすぎ


私弱すぎ


同じ空の下にいすぎ


雨降りすぎ


夢を夢で終わらせなさ過ぎ



どこに行こうか迷い過ぎ


桜舞いすぎ


遠く遠くに行きた過ぎ


V系だと風が乾きすぎ



あの頃の僕たちは不器用過ぎ


永遠と呼び過ぎ


眠れぬ夜多すぎ


寂しい夜迎えすぎ


ありったけの夢をかき集め過ぎ


春や夏や秋に行きたい所が決まらなさすぎ


瞳閉じ過ぎ


夢を信じすぎ


不器用な俺だけどお前のこと守りすぎ


一緒に未来探しすぎ


君と一緒なら何もいらなさ過ぎ


DAN DAN 心惹かれ過ぎ


見えないもの見すぎ


かけがえのない宝物すぎ


愛してるって言わなきゃ殺しすぎ


明日に向かって走り過ぎ


君を抱き締めたすぎ


幸せな時間短すぎ


何かがわかるような気がしすぎ


もう戻れな過ぎ


君がいれば他に何もいらなすぎ


携帯握りしめた切ない夜多すぎ


人は一人では生きられ無さ過ぎ


儚い花が散る
一歩づつ歩いて弱い私強くなる
翼を広げて旅に出る
さよならどこに行こうか
希望を抱いて光が射す方へ
会いたくて会えない
大切な人はもういない
前髪を切った君に会いたい
瞳を閉じて君の名を呼ぶ
永遠を信じてたあの頃に戻りたい
寂しい夜を迎える
黄昏 涙流れ
同じ空の下雨が降り虹がかかる
桜舞う道の下で君の事を考えている
大切な仲間もう一人じゃない
おいしいパスタ作った母さんありがとう




お墓の中に私居なさすぎ


仲間の大切さを確認しすぎ


やいやいやいやい言い過ぎ


僕の声届かなすぎ


大空へ飛び立ちすぎ


君の名前を呼びすぎ


愛をささやきすぎ


心の扉叩きすぎ


涙の数だけ強くなりすぎ


朝食にトースト出過ぎ


大人になれなさ過ぎ


勇気出しすぎ
届かない思い募りすぎ
切ない気持ちになりすぎ
夢抱きすぎ
雨に打たれすぎ


いつまでたっても恋の矢はあなたの胸には刺さらなすぎ


手を伸ばして掴み取りすぎ


追いかけても掴めない物ありすぎ


移りゆく街並みを眺めすぎ


つないだ手離さなすぎ


季節めぐりすぎ


あなたは来なさすぎ


百万年と二千年前から愛しすぎ




といった具合に読んでみて「あるある」と思った人は多いのでは、ていうかたぶん読んだ人みんな一回は吹いてしまうのだろうと思うが。

ところで途中、赤文字で記した誰かがまとめた部分、この歌詞の秀逸さを元にあるニコニコクリエイターが作曲をして初音ミクに歌わせてる物があるのです。これがまさに傑作ですね。



ありそうですね、なんかこうしてみるとJpopってワンパターンですね。20年前くらいからおんなじフレーズ歌ってる気がする。

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