雑学日記 その491(素朴な疑問編16)
みなさま、お疲れ様です。
9月も終盤となってきて、来週あたりから秋らしい涼しさを感じてくるという今日このごろですが、いかがお過ごしでしょうか。
さて、今日も前回の続編です。
『オスが赤ん坊を産む動物がいるのか?』
もし家のお隣の奥さんが「ウチのオス猫が子猫を産んだわよ!」なんて言ってきたら、誰だってびっくり仰天してしまい、「ウソだろ?」と思いますよね。
ですが、これが当たり前の場合もあるのです。
小さな魚ですが、メスのほうは産卵を終えると広い海の世界へと自由を満喫しに出かけてしまい、オスが卵を抱えて、幼魚が誕生するまでずっと世話をするという習性を持ったものがいるのです。それはタツノオトシゴとヨウジウオです。
これらの魚のメスは、オスの腹の中央にある袋の中に産卵します。ここで安全に受精が行われ、その後の孵化にいたるまでの過程もすべて、この袋の中で起こります。やがて誕生した幼魚は、この袋から外に出てきます。ある観察者によりますと、大きさが1センチほどしかない幼生が、受精後20分もたたないうちにオスの腹の袋から294匹もゾロゾロと出てきたということです。
タツノオトシゴには約24種もあり、ヨウジウオはそのきわめて近い種ですが、浅くて海藻が豊富に繁茂しているような海域にいます。これは身を隠すのに好都合だからです。
ちなみにタツノオトシゴは泳ぎが苦手で、体の色を変えて周囲に溶け込むカモフラージュの達人です。タツノオトシゴの体長は約4センチくらいで、普通の魚と違って直立した格好のままで泳ぎますので、足のないウマが水の中を泳いでいるように見えます。
タツノオトシゴの尾ヒレは、プロペラのような役割をし、最高で毎秒70回も振動します。
これに比べると背ビレなどはゆっくりとしか動かせませんが、これは船の舵の役割を果たしています。
タツノオトシゴの幼生は、ほとんどが魚のエサとなってしまい、成熟に至るのは、ほんのわずかです。時には、ふ化直後の幼生を、父親がエサと間違えて食べてしまうこともあります。
また、ニュージーランドの飛べない鳥として有名なキーウィも、メス鳥は大きな卵を産むとさっといなくなり、その後はオスが抱卵、孵化からヒナの巣立ちまでずっと面倒を見るのだそうです。ニュージーランドでの女房孝行な旦那様が“Kiwi Husband”と呼ばれるのも、この習性から来た表現なのです。
さて、いかがでしたでしょうか。
それでは、次回までごきげんよ~!