雑学日記 その492(素朴な疑問編17)
みなさま、お疲れ様です。
11月に入り、冬らしい寒さとなってきた今日このごろですが、いかがおすごしでしょうか。
さて、今日も前回の続編です。
『磁器と磁器の違いとは?』
陶磁器という言い方がありますが、これは陶器と磁器の総称で、大きく分けると陶器と磁器に二分することができます。
おおまかな見分け方としては、見た目がやわらかく指ではじくと鈍い音がするのが陶器で薄手で冷たい感じがあり、指ではじくとキンと硬い音がするのが磁器です。
また、あまり透明感のない分厚い器が陶器で、透明感のある薄目の器が磁器になります。
参考にまず土器の紹介をしておきます。
土器は主に原始時代から作られてきた器で、粘土と水で練り固めた器を、焚火などの火でさらに焼き固めて作ります。
このため土器の焼成温度としては600~900度と低いのが特徴です。
なので、土器は陶磁器に比べると比重が軽めで、内部に気孔も多く残るため透水性があり水などを入れると隙間から流れることもあります。
強度は弱めで誤って落としてしまうと、たいていは割れてしまいます。
陶器の特徴は主に5つです。
①焼成温度は800~1,250度
②高温でも耐えうる耐熱性
③衝撃に弱く割れやすい
④鉄分・ガラス質の少ない原料
⑤独特の風合いで懐石の席からお茶の間の湯呑みまで場の雰囲気を引き立てる
陶器の代表例として益子焼、瀬戸焼、小鹿田焼、九谷焼などがあります。
陶器は陶土とよばれる粘土を主成分として珪石や長石を混ぜこんで作り、陶土の割合が多いです。
磁器と比べるとガラス質の成分である長石が少なめで、これが吸水効果を左右します。
ガラス質が高めだと吸水性がなくなりますが、低めだと水をはじかないため吸水するようになります。
一方でこの吸水性が悪いかというとそういうわけではありません。
通常の食器などを使う場合は、磁器を使うほうが勝手がよいのですが、例えばそばつゆの「かえし」を作る場合は陶器の材料を使います。
これは吸水する効果を利用して、かえしの中に含ませれる余分な成分を吸着させ味をまろやかにする効果があるためとされています。
また茶の湯や懐石の席でも、陶器の独特の風合いが料理や雰囲気を引き立てることから今でも愛用されています。
このため鍋物を作るときに使う土鍋や茶の間の夫婦湯呑みなどには磁器よりも陶器のほうがよく使われます。なぜなら、陶器は分厚く作るため、なかなか外部からの熱は伝わりにくいですが、お湯などを陶器に入れると熱が逃げにくいという保温効果が高いからです。
磁器の特徴も主に5つです。
①粘土に含まれる長石(ガラスの成分)が多い
②高温で焼かれた珪石と長石による固く透明感のある質感
③1,200~1,400度で焼成
④高温で焼き上げることによる耐熱性
⑤日常でもよく見かける、普段使いに勝手がいい
磁器の代表例として、有田焼や伊万里焼があります。
ちなみに、有田焼と伊万里焼は名前は違いますが、種類としては同じものです。
磁器の主成分は陶器とは逆に珪石や長石になり、それらを細かく砕いて、粘土に混ぜて使用します。その粘土に長石という石の成分が多いです。
長石はガラスの成分でもあり、高温で役と溶けてガラスのような質感を生み出します。
これらが高温で溶けて結びつくことにより固くしかも透明感のある質感が生まれ、水分を多く含む食品を取り扱っても染み出すことなく食器として使えるものになるのです。
また、高温で焼いているため、オーブンで加熱可能な250度程度なら問題なく使用することができます。
さて、いかがでしたでしょうか。
それでは、次回までごきげんよ~!