腰痛対策に腹筋は必要!?
~AT教師養成学校で学ぶこと(46)~
【頭と胴体vs骨盤と股関節】
私達の心と身体がバランスを伴って統合される過程には、
ATでは伝統的に、頭が胴体の上にバランス良く乗っている状態。
首の緊張が邪魔しないで、頭の中と胴体の中のエネルギーや情報の交流が円滑に行われている状態。を指標とします。
しかし、心と身体のバランスが失われて、統合されない状態
(頭が後ろ下に引き下げられる緊張が出現する時)になると、
身体の他の部位でも同時に緊張するパターンが観察されます。
特に、骨盤底、股関節周囲の筋緊張は顕著で、首の緊張とセットで起こることが多いです。
チェアーワーク(プロシージャの一つ、椅子と関わり立ったり座ったりする動作の取り組み)をすると、首の硬さと骨盤の柔軟性の欠如は、ほぼ同時に起こります。
ATでは、ダイレクション(首が楽になり、頭が前方上方に浮き、胴体にスペースが生まれ、膝が背中から送られていく)により、「自分」の全体性が現れるプロセスを再確認する作業をするわけですが、
「膝が背中から送られていく」というのは、立位でも、起立着席時でも、座位でも、背中から膝にかけて、無駄な緊張が入らないことを意味します。
【股関節の自由さ】
どんな動きでも、関節から見て表層の大きな筋肉がいくら強く鍛えられても、インナーマッスルが柔軟に活動していなければ、ブレーキをかけた様な硬くぎこちない動きになります。
腕の動きなら、野球のピッチャーが投げる動作などで、三角筋をいくら鍛えても、ローテーターカフ(肩甲骨と上腕骨の結びつきを維持する筋肉)が硬くなっていては、しなやかで鞭の様なスピード感のある動きはできません。
*股関節も同様で、
股関節深層外旋6筋(梨状筋、上下双子筋、大腿方形筋、外内閉鎖筋)というインナーマッスルの柔軟性が基礎として大事です。
別名、「股関節のローテーターカフ」と呼ばれる所以です。
そして、この部位の緊張は、坐骨神経の圧迫にもつながるので、坐骨神経痛の原因にもなります。
また、インナーマッスルの緊張が高いと、股関節を動かすために、代償として表層の筋肉を酷使し、血液や神経の流れも障害され、疲労感、腰部臀部の負担感を伴うことが多いです。
*骨盤底筋の緊張も、首の内部の緊張と深く関わっています。
肛門括約筋、尿道括約筋は、前後で八の字になっている連続した筋肉ですが、
意識と深く結びついた筋肉で、意識(注意の向け方)の状態が判明されます。
「きちんとしなくちゃ!」って思うと、骨盤底筋は緊張しがちです。お尻がキュッと固まる。
また、高い所にいて、ガラス張りの床から下何十メートルも見える所にいると、そこでバランスを取ることに必死になるので、骨盤底筋(姿勢筋)がバランスをとって、お尻の穴が開く様な感覚になることもあります。
実は、この状態は、地に足がついて、胴体が乗っかっている感覚を芽生えさせる、とてもバランスの取れた姿勢です。
頼るものがなくなると、自分しか頼るものがなくなるので、逆に、「重力に任せて地に足をつけて立とう!」と思う状態になるのですね。「自立する」(自分で立つ)わけです!
【表面の意識で変えるものは持続性がない!】
腰痛対策で、腹筋を使うトレーニングをすることは、身体「後面」の腰や臀部の緊張とバランスを取るために、「前面」の腹筋をもっと使う様にするという発想なのだけど、
意識してつけた筋肉と、日常で姿勢を常に保つための筋肉は、
神経から筋肉に指令を出すルートが違うので、実践的ではないと言えます。
もちろん、腰痛が出るときに腹筋を意識して緊張させることで、応急処置的に痛みを回避することができるというメリットはあります。
それに、全く運動習慣がない人にとっては、身体を動かさないより動かした方がましという面もあります。
ただ、長期的に見て、鍛えようとしなくても、自分の内面の反応の一部として、習慣の中で持続性のある腰痛予防には、深部筋の骨盤底筋や股関節深層外旋6筋が自然に使われることを標準化する取り組みに軍配が上がります。
では、どのようにこうした深部筋が自然に使われるようにしていったらいいのでしょうか?
ここが、ATの大事な視点です。
ATでは、自分にとって「無駄な緊張」なるものを見分ける基準を「自分自身」に培っていく取り組みをします。
(違う言い方をすれば、私達の「自分」にとって必要なものの基準が実はすごくあやふやであるということです!)
自分の内面で起こっている筋活動などをありのままに観察できる「自分」を形成するプロセスを学習の中心にします。
そして、「自分」という規範ができると、無駄なものはやらない(inhibition)ことになり、自分本来の在り方、「自分」が統合され一つになっていく力に任せて、外の世界と関わったり、対応していくことになります。
つまり、本来の意味で「自分」が取り戻されると、腰痛を引き起こす筋緊張は自分にとって必要のないものとして自然とやめていく(inhibition)ことになります。
本来の「自分」が基準に使われることで、胴体の後部の筋(背筋)と前部の筋(腹筋)のバランスも整う方向に進んでいくでしょう。
無理矢理お腹に力を入れることでは得られない「自分」にとってバランスのとれた生活の仕方(筋活動)を選択していくことでしょう。
ATは、必ずしも、頭の理解や意識改革から始まるわけではありません。
なぜなら、心と身体の統合力を自分の中に見出し、「自分」が使われていく体験は、私達の理解や頭でわかる範疇を超えるものだからです。
その一部を「成功体験」や「メソッド」として切り取って使ったところで、永遠に「心と身体の統合体」として体験することは難しいでしょう。
ATの取り組みの核となる「心と身体の統合体」体験の積み重ねは、
AT教師になっても経験を積み重ねる必要があります。
というか、この積み重ねの継続こそがATを実践することである。
このことは、AT教師の間でも実はあまり共有されていません。
東京アレクサンダーセンター(TAC)の学びは、ATの実践をする環境をお互いに作り上げていくことが大きな特徴です。
AT教師も、トレーニング生も、一般の方も分け隔てなく、各々の「心と身体の統合体」体験を積み重ねる為に、他者と関わり、刺激を受け、自分のものに消化していくプロセスを共有する場です。
興味のある方、是非、私達の活動に参加してみてください。
スタッフ一同お待ちしております!
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