Hummingbird in Forest of Spaceについてどっぷりと | あなたの夜を埋める物

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「むかーし美術道具やで購入したミニイーゼル(3000円くらい)に聴いているCDを立ててコンポの横に置いている」


購入時に「このアルバムについて書くにはもうちょっと聴きこんでから」 というわけで、今頃になって吉井和哉の『Hummingbird in Forest of Space』について。

初聴きから1ヶ月以上経ったわけだが、過去のロビンソンからのソロアルバムの中で一番とっつきやすいというか、“吉井和哉”のサービス精神と個性が素直に出ているアルバムなんじゃないかと思う。

前半5曲なんてもー大好き!『Biri』なんてライヴで演られた日にゃ絶対踊っちゃう。ミラーボールがぐるぐるのヤバいロッカーになれるぜっ!イエーイってな感じで楽しくなっちゃう。
そして忘れちゃならない『ワセドン3』。mixiのミュージック機能で再生数を見るとアルバム中ビリだったりするんだが、まあいいの。

シングルとアルバム両方購入するファンは、アルバムにシングル曲が多く入っていると、どうしても“損した”感を持ってしまいがちなのだが、『上海』も『マンチー』もしっくりアルバムの中でおさまっている。
『上海』はアルバムで聴くようになってから好きになったくらい。シングルとはヴァージョン違いだけど。シングル曲はアルバムに収録されちゃうと、シングル盤をわざわざ出して聴かなくなるからねえ。

そして今作も常人には理解しかねる歌詞が飛び交う楽曲群なのだが、そんなアナタに別冊カドカワ総力特集吉井和哉 のアルバム全曲紹介。(Amazonの画像貼ろうと思ったら出ない、どうやら売り切れ?)

『ワセドン3』のワセドンとは、ある村の影響力のある村長さんが時代の流れで周りから疎ましがられて、森の奥へ追いやられ、ワセドンという生き物になってしまう…というストーリーが裏にあったりとか、『Pain』の♪オレはまだSEXがしたい という歌詞が「なんか切実な感じがしておっさんくさいなあ」と思っていたのだが、吉井和哉本人もそう思っていたことや、『マンチー』が気分の良いときにするつまみ食いを意味する英語“マンチーズ”の略語だとか←「なーんだ」と思った人は仲間だ。

とまあ、ファンなら「もうとっくに購入済みよ!」な一冊なんでいまさら紹介することもないんだが、書きたかったので書いた。
しかし吉井和哉×別冊カドカワのコラボアイテム、ダイヤモンド付きチョーカー98,700円をお買い上げされた方はいらっしゃるんだろうか?いるよな、軽く。

そしてラストの『雨雲』。
イエローモンキーの頃の雑誌インタビューで(多分月刊カドカワ)「ロックという音楽はこれから何かをしようとする人が聴くもの」的なことを言っていて、そのころのファン層10代~20代前半の人たちのことをさしているのかと、当時20代の自分もそのカテゴリの人間だと思っていたのだが、時が経ち、20、30を越して40歳になったにもかかわらず、まだ“これから何かをしようとする人”のための歌、なにより吉井和哉自身がバンドを解散し、個人事務所を立ち上げて新しい場所へ向かおうとしている姿に、ひどく胸打たれた。

普通40歳である程度の安定を手にした男が、まずそこまで踏み切れないだろうし、またイチからはじめようなどとは普通考えもしないだろう。
そして30代に入ったにもかかわらず、何一つ社会的にも人間的にもうだつのあがらない自分にとって、「本当の夢を探すことこそ夢だとわかった」の一節が染みた。
痛いくらいの絶望と希望のつまったこの歌をありがとう。

とにかく今月大阪城ホールだ、絶対に観るまでは死ねん。
生歌で『雨雲』聴いたら泣いてしまうかも。故に最近はそんな感じ。

夢が叶えば夢につぶされ
雨雲広がって
右も左もわからないほど立ちすくむけれど

少しずつでも日の射す場所へ君とただ向かった
I LOVE YOU I LOVE YOU



Hummingbird in Forest of Space(DVD付初回限定盤)/吉井和哉