浴室 -7ページ目

触れたい

貴方に触れたい

そう思った

貴方と歩きながら指と指が触れて、ふと貴方がわたしの指を掴もうとした時
わたしはびっくりして手を何気に退かしたけれど

もしかしたら手を繋ごうなんて全く思っていなかったかもしれない無意識な仕草かもしれないけれど

なんだか凄く、ドキドキした

煙草を吸う時、煙が目に入るのを防ぐために目を細める貴方の横顔が、一番好き


ドキドキする、損得勘定のない気持ち

ありがとう

わたしに騙されてくれて、ありがとう

ありがとう

わたしを騙してくれて、ありがとう


その瞬間、わたしは誰よりも貴方にとって都合の良い人間になれる、自信がある

それは既に苦痛でもなんでもないから

わたしは貴方のためにいる、わたしは貴方を騙すから、貴方もわたしを騙してね

貴方が上手く騙してくれたなら、わたしは貴方を上手く‥‥せる

わたしは嘘ばかりだけどそれは‥ほんとうだよ?

わたし、がんばるからね

もう

自分を切り売りするようなことはしたくないと思いながらも、切り売りできる自分の価値に、値段に縋る自分がいる

相反するこの二つの感情は自己愛という意味では共通していると感じている

最近いつもなんでも、天秤にかける二つの感情や決断をどちらかに傾けるのではなくて、いずれどちらかに傾くのを待っている

傾いたその理由は故意かもしれないし、あるいは他意かもしれない

手の内にサイコロがあって、振れても、それを振らないのが最近のわたし

ゆるく、傷付いて、錆びるなら、それで良い

鋭いナイフより切れるのは時間がかかるから、ストレスもかかるかもしれないけど

予測できない出来事が降り掛かるより、それで良いよ

だからあなたがサイコロを振る時は、ゆっくり、わたしでも判るように振ってね

お願いね