浴室 -4ページ目

過ぎてみれば

それはとても簡単で、唐突なことだった

引金をひいたのは、わたし

そのきっかけは色々なことが重なったからであった

相変わらずタイミングが良い彼

緊張するとか、そういう気持ちは無くて、覚悟を決めた瞬間に口に出したその言葉以降、わたしは驚くほど穏やかな気持ちだった

むしろ彼のほうが焦っていて‘その場所’すら覚束ないその態度に、誘導するわたしすらいて、なぜだかそんな彼が愛しく思えた

彼がわたしの体の中に入ってきた瞬間の気持ちを今のわたしは覚えていない

ただ別に後悔する気持ちはなくて、その行為の後も優しい彼に、むしろ行為の後のわたしに関わる全ての態度ほうが優しいかもしれない彼に、安心と何らかしらの確信を得た気がする

これでわたしが対価の絡まないセックスをしたのは彼が二人目になった

これからわたしは二人の男に代わる代わる抱かれる女になる、どちらかに決める女になるつもりはない

腹を括ってこれからもお仕事をし続けるわたしでいることを、今わたしはここで誓う

‘なぜそんなことができるのか’
ではない
‘それをわたしが選んだからする’
のである

これからわたしはあなたに、とびきり甘い極上の夢と、狂いそうに辛い地獄とを実は両方与え続ける、そんな女になる

どちらを手放したら後悔するのかは、もちろん‥‥‥‥ごめんね

仕事

わたしの色んな仕事

誰になんと言われようと仕事、わたしの仕事

喜ぶ顔が見たい、わたしが喜びたいから、何倍にもね


ルール、それは当初から決まっているものだった

でも規制があるほうがイロイロと楽しいでしょう?


戸惑っていないで出ておいで?

好き

酔っ払っていると、会いたくなる

感情がふと緩んだ瞬間に愛しく感じる

抱き締められて落ち着く自分がいて、手を繋ぎたい自分がいる

触れたい、触れられたい


甘く服従させられることを望む自分がいる

言葉だけで、欲情する、子宮が疼く


貴方の前では‘女の子’でいられる


わたしのために一生懸命な貴方が、飾らなく真摯な貴方が好き、大好き


でもわたしは自分のことのほうが可愛いから


貴方を平気で裏切れる、わたしがいる