誰かの為に

何かをしてあげたいと思うことが、愛なのかなあ

だったら好きだっていうことは、エゴをぶつけ合うっていうことなのかしら

何も望まないことが愛ならば、わたしが今まで

「愛してる」

なんて本気で言ったことがないことは、正しいことなんだね

さぁ

ショータイムの始まりです

時刻は八時から

しっかりと自分を捨てて、その場に見合ったわたしになりなさい

現実と夢の境目が曖昧になる

プライベートもオフィシャルも溶けて、境界線が消えそうになる


いいえ、だめです


しっかりとその場に見合ったわたしになりなさい

そうやってあなたはいつも、お金を稼いできたのでしょう

今更できないなんてそんなぬるま湯に浸かったことは許しません


わたしは、いいえ、あなたはプロです

ここからはあなたが主導権を握る番です



スイッチを入れろ



さあ、ショータイムの幕開けは目前です



「おはようございます」

わたしは

ホステスの顔があります

わたしは

愛人の顔があります

わたしは

昼間の顔があります


色んなわたしがいます


思えば、昔から「夜の世界」には魅力を感じていた気がする

もっと厳密に言うなら「裏の世界」に興味があったと思う


少し斜めから物事を眺めて皮肉をいう「大人」にとても魅力を感じた

他人を自分の思い通りに動かす術が知りたかった、欲しがった


「擦れる」ことを望んだわけではない、只漠然と、そんな人間になりたかった