浴室 -110ページ目

不思議と事実

情事の最中にどうしてわたしが笑うのかについて考えてみたのだけれども、よく判らない



昔は苦痛で苦痛でどうしようもなくて早く終らないかなとしか考えてなかったのだけれども



最近は楽しくてしょうがないという気持ちになってしまう



今考えてみれば、最近は愛人としての時間が終った後の



あのどうしようもない倦怠感や、罪悪感が



感じられなくなっているし、わたしは最近どうしてしまったのだろう?





情事の最中に笑う、鏡に映った姿、ベットに対して横についている鏡



わたしの体、顔、腰を振る相手



今でも、頭の中で鮮明に、映画のように思い出すことはできるけれども



その中で笑っていたわたしはとても楽しそうだった




笑いに混じって、喘いで、でも、喘ぎ声というのと、



笑っているときに「あ」とか「ん」とか言うのって



似ているんだね

何がしたい?

何を思う?

何を感じる?

何が幸せ?



墓場まで持っていく決断



わたしはこの先どんなに愛しい人ができたとしてもわたしの全てを受け入れて貰えない制約を受ける、否、愛しいから言いたくない愛しいから隠したい



そうやっていつもわたしは

眩しいやら勿体ないやらいろいろな理由を付けて、遠ざかる



愛してる?愛してない?



声に出して言いたいこと、守りたいもの、失いたくないもの、守られたい人



誰?誰?だあれ?

鏡に写った

自分の姿を見る

抱き合ってわたしの上で腰を振る男

抱きしめて首に顔を埋めさせて顔が見えないようにして

わたしは鏡に写った自分の姿を見て笑った