浴室
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渋谷

駅近くの、まるでサロンを意識したような赤い喫茶店

隣の席の彼女は、学費を稼ぎたいらしい

男性と、仕事の許容範囲とギャラの話を隠語を交えながら談笑している

あの時のわたしと重なる

‥もっともわたしは、撮影ではなく愛人だったけれど

周りの他の人間はそれぞれ楽しそうにお喋りしてるから、きっと、わたしだけがその話を聞いているのだろう、さして、興味のないフリをして

一度化粧室に行って、席へ戻る時、彼女と目が合った

彼女はわたしを見ているようなその先の何かを見ているような、そんな凛とした眼をしている

「もう、

気の済むまでやった?」

そんな言葉を尊敬する人に燐とした顔で言われた

「気の済むまで」が、よく判らない

人の汚く、醜い欲望ばかりを扱っていると、多分加速化して最低ラインが下降していく

許容範囲が広くなるとか包容力がつくとか言うのかもしれないけれど

鈍くなっていく、いや、判らなくなっていく

判らない、終わりが近いことを、終わらせるつもりであることを、気が付かれているのだと思う


わたしは弱さを武器にはしたくないけれど、弱さを武器にする人間には勝てない


今のところ勝ててはいない


ずるずると引き摺り堕ろされていく感覚、飲まれる


多分わたしの尊敬するあの人はそんなわたしに気付いて救おうとしてくれたのだと思うし、環境が変わればわたしは変われるのであろう


心に傷を負いそうな予感、それは人だけじゃないから


わたしはそれをふと思い出してきっと苦しむのだろう


でもそれを手に入れることはできるのかな


きっときっとと思うくらいならわたしが責任を取りたい


苦しい、ごちゃ混ぜのわたしの感情

何かが

始まる予感

というか始まるのだけれども

何かが始まるということは言わずともがな、何かが終わるということで

わたしは後何回、この電車に乗るのかな、なんて思うと

なんだか少しおセンチな気分になる


わたしの夢は、少しずつだけど、形を変えてはいるけれど


何が幸せで何が不幸せかは後から決めることだと思うから


この幸せだと思えるチャンスを、しっかり握り締めて、大きくしたい


いつか報われる日だけを、あの時泣いた、まだ傷つくことに慣れていなかったわたしが、いつか、きっといつか、報われる日だけを欲している


そうすればその時わたしはわたしを、少しは許してあげられる気がするから




でも、また捨てなきゃ、色んなもの
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