女子フィギュアスケート
金メダルはキム・ヨナだった。
地力に勝るのだから仕方ないと思っていた。
惜しい試合だった。
なぜ?惜しいか?
実は僕、音声を消して見ていた。
浅田真央の演技とキム・ヨナの演技を見比べるためだ。
先入観無しの状態でね。
それは、あの「鐘」の曲調が重苦しいからか?
それは答えられない。
ただそうしたかったんだ。
だったんですが・・・
キム・ヨナは見事だった。
技のキレ、完成度、見た目の雰囲気でプラスされる加点?
(すみません。勉強不足ですが・・・)
字幕でも出てましたが、たぶん完璧でした。
一方の浅田真央の演技は、
所々に出た小さなミスが、たぶん不安定に見られてしまったのだろうと。
比較されて余計に目立つことになった。
たぶんそう思う。
キムヨナのそれと比べると、やはり見劣りした分、点差が開いたと見えた。
しかし、演技や振り付け、スピンやターンでは、浅田の方が高度技術を駆使したという印象を受ける。
その分、安定性が欠けて見えたのか?
しなやかな動き、キレイさで言ったらたぶんキム・ヨナ。
得点を重ねるだけの細かい技数や難易度だけで言ったら、たぶん浅田真央が上だっただろう。
しかし結果は、圧倒的にキム・ヨナに軍配が上がった。
なぜか!(ギレン風に)
坊やだからさ(シャア風に)
お嬢様だからか?違う。
採点の競技であるからだ。
これはたぶん、戦前より勝負は決していたと思う。
僕は、ここでも金メダルは地力に勝るキム・ヨナと言ってきた。
キム・ヨナは、自分今の力で勝てる構成で組み立ててきた。
大技を仕上げてきたと言うより無難にまとめて磨き上げてきた。
見た目もきれいで自然である。
しかし、浅田真央は、
これとこれを入れてこうしないと・・・合計点でこうならないから、
だからこうして、これとこれを入れて・・・と、
無理やり電卓で叩いてきたかのような計算と大技を入れているように見える。
本来それで良いのだろうが、どうもそれなら勝ってもおかしくないはずだ。
大会毎に変わる採点基準?
どうもそれに翻弄されていたような気がする。
本来のカワイくてキレイな演技をさせてもらえなかった?
そんな気にさえなった。
兎に角、計算して高度な技を嵌め込んでいかないと勝てないから入れているようにしか見えなかった。
いわゆる、点を獲る構成=演技に余裕がない。そのようにみえてしまった。
無声にして見ていた僕には。
浅田真央には、十分に勝てる技術もスケーティングもあった。
しかし、それは身体を動かしているだけであって、
技術はあるが、演技の芯の部分=指の先から体の芯まで、
もっと言えば、身につけたコスチュームの一揺れに至るまでに
浅田真央が潜在的にもつ演技の心が伝達しきれていなかったのではないか?
大技や難しいテクニックを多く入れた構成にしてしまったため、
心の部分があらゆるところまで行き届かなかった?
音を消して見ていた僕の目に残った印象は実にそれだった。
もしもそれであればこれは勝てないのも当然。
最初から勝ち目は無いと・・・。
演技曲の面でいろいろ言われている。
しかしそれもあると思う。
例の重厚感たっぷりのあの”鐘”だ。
鐘で浅田真央は強くなり成長もしたと思う。
見てそう思った。
しかし、それだけでは金メダルを神様がくれなかった。
なぜか?
曲と雰囲気で左右するのではないか?
それはわからない。
でも現実問題として、浅田は細かいミスがあった。
そのために開いた点差だったと思う。
それは、採点基準を追いかけるあまり、点数を稼ごうとしたために付いて回った罠だったかもしれない。
ノーミスで!とよく聞く。
高いジャンプや難しい回転技をノーミスで!と競うのもわかる。
言い方が悪いが、ガツガツと高得点を狙いに行った大技や高いテクニックの連続は、
実際に見苦しくはなかったか?浅田真央が見苦しいと言うわけではない。
心からスケートを楽しむ姿や、その心のこもった演技、これが一番重要なんだろう・・・
そのスケーティングの美しさを見て人々は感動し、会場の独特な雰囲気さえ作り、
この見えない力というものが、
氷のような眼差しで冷静に見つめる採点する側の人にさえもそれを伝染させてしまう。
そんなパワーを「心」は持っているのではないだろうか?
採点する側も人間。演技する側も人間。
それをも含めて採点をしているのではないだろうか?
本当に高い技術力を要する高難度な回転技も素晴らしいと思います。
でも、今回の点差は単なる小さなミスだけではこんなに開かないと思うんですよね。
難しいことをたくさんした方が勝つなんて、どう考えてもおかしいですよね?
僕は今回の得点差でそう思いました。
トリノオリンピックで金メダルを獲得した荒川静香さんの演技を見て思ったこと。
これが簡単な答えのような気がする。ヨコタノテ的な答えです。
僕は4年前、確かこのような感想をここに書いた。
その前に、僕はスケートはド素人である。
でもそんな僕が荒川静香さんの演技を見終えた瞬間に言ったのは・・・
人はこんなに綺麗になれるものなんだ・・・。
心から感動しました。
今回のキム・ヨナは、「美しく、そして強かった。」
世界最高得点での金メダル。
浅田真央は、将来もっと多くの人々を感動させることができると思う。
心から期待しています。
浅田真央、次こそ金メダル!