川沿いでロッククライミング
2010・1・16~タイ・バンコク~
ちびりそうだった…。登ってから、後悔した。帰国前、チャオプラヤー川沿いにあるワット・アルンを訪れた。ヒンドゥー教の破壊の神・シヴァが住む聖地・カイラーサ山をかたどっているといわれる。中央の特別仏塔は高さが75メートルあるのだが、途中まで上れるのだが、この階段が急なこと、急なこと。極度の高所恐怖症の僕。普通のジェットコースターでさえ乗れない怖がりなのだが、どうしても上からのチャオプラヤー川を望みたい。そんな欲求が背中を押した。階段は2つに分かれており、最初は角度45度ぐらい。まあ、これなら大丈夫だ。余裕をこいていたのが間違いだった。2つめはなんと体感角度80度ぐらいある。足がブルブル震えてきた。だが、立ち止まっている僕をあざ笑うかのように、小さな子どもが楽しそうに上っていく。負けちゃいられない!!決死の思いで、手すりにつかまりながら登りきった。上から下をのぞくと、階段上りどころか、ロッククライミングに近い。また、足がガクガクしてきたが、その地点から見える景色は最高!!心は落ち着いたかに見えたが、帰りのことを考えたら…。行きはブルブル、帰りはブルブルブルブルブルブルブルブルブルブル…。怖さは倍増どころじゃなかった。手すりを握った手のひらは汗びっしょり。滑り落ちるように下りたのは言うまでもない。バンコクで寿命が10歳縮んだ気がした。
特別な水槽
2010・1、15~タイ・バンコク~
ん???魚の後ろで見えるのは確か、車のハンドルだよな…。こんな不思議な空間があるのは、大きなデパートの地下にある水族館だ。その中間地点にあるペンギンのコーナーの前に、なぜか自動車が展示されていた。なぜ、水族館の中に車???そんな疑問を抱きながら中をのぞいてみると、なんと魚が気持ちよさそうに泳いでいるではないか!!!密閉された車は、いわば水槽のようになっている。その珍しいものを見て、子どもたちだけでなく、大人もはしゃいでいた。言うまでもなく、僕もその1人。その車の前で30分間、夢中になっていた。使用されていたのは、いまやブームのエコカー。なるほどね。排気ガスなどの影響で温暖化が進み、その影響は魚など自然界を破壊している。その現実を人々に認識させるため、この特別仕様の水槽で訴えているのだ。都会の真ん中にある水族館の中で、魚たちの声が聞こえた。「大切な地球を壊さないでね」ってね。
TSUNAMI
2010・1・13~タイ・カオラック~
ヨーロピアンや東洋人ら観光客の笑い声が絶えまなく聞こえてくるカオラックの街。そんな光景を見ていると、一昔前に大災害があった場所であることはまったく想像できない。ただ、ゆっくり街をゆっくりと歩くと、街のいたるところに、津波が起きた際の避難ルートを示す標識が立てられている。2004年12月26日、インドネシアのスマトラ島沖でマグニチュード9・3の大地震が起きた。その影響で、大津波が発生し、インド洋沿岸のインドネシア、マレーシアなどが大災害に見舞われた。死者22万人以上、負傷者約13万人…。このタイも例外ではなく、街中の家屋が全壊。死者5000人以上、負傷者8000人以上と伝えられている。
当時を知らない僕にとっては、その津波がどれほどの規模だったのか、想像できるわけもない。1995年1月17日の阪神・淡路大震災が起きた際、学生だった僕は愛媛・松山にいた。情けないことに、午前5時46分に大地震が起きた時「あっ、揺れている…」と目を覚ました後、すぐに再び寝てしまった。その大地震の事実を知ったのは、その日の夕方。テレビのニュースで、画面に映る火で燃える神戸の街を見て、茫然としたことを覚えている。僕は地震の怖さを知らない。頭の中では、その恐ろしさを認識しているつもりでも、実際に被害に遭った人々の認識と同じではなく、その悲しみの大きさを真の意味で理解できるわけがない。だからこそ、少しずつでもいいから、当時の事実を伝える報道を見て、被災者の話を聞き、そして日ごろから天災に遭った時の対処方法を身につける必要がある。
いま、こうしてダイビングができること、呼吸をしていることがどんなに幸せであるかを決して忘れてはいけない。人間が自然と共存しているからこそ、幸せに生きていけることも忘れてはいけない。当たり前のことを当たり前にする。「だれかがしてくれるから」なんて甘い考えを持っちゃいけない。日ごろからの小さな積み重ねが美しい地球を守っていくことにつながる。異国の街があらためて教えてくれた。


