TSUNAMI | フーテンの横チン

TSUNAMI


フーテンの横チン

 2010・1・13~タイ・カオラック~

 ヨーロピアンや東洋人ら観光客の笑い声が絶えまなく聞こえてくるカオラックの街。そんな光景を見ていると、一昔前に大災害があった場所であることはまったく想像できない。ただ、ゆっくり街をゆっくりと歩くと、街のいたるところに、津波が起きた際の避難ルートを示す標識が立てられている。2004年1226日、インドネシアのスマトラ島沖でマグニチュード9・3の大地震が起きた。その影響で、大津波が発生し、インド洋沿岸のインドネシア、マレーシアなどが大災害に見舞われた。死者22万人以上、負傷者約13万人…。このタイも例外ではなく、街中の家屋が全壊。死者5000人以上、負傷者8000人以上と伝えられている。

当時を知らない僕にとっては、その津波がどれほどの規模だったのか、想像できるわけもない。1995年1月17日の阪神・淡路大震災が起きた際、学生だった僕は愛媛・松山にいた。情けないことに、午前5時46分に大地震が起きた時「あっ、揺れている…」と目を覚ました後、すぐに再び寝てしまった。その大地震の事実を知ったのは、その日の夕方。テレビのニュースで、画面に映る火で燃える神戸の街を見て、茫然としたことを覚えている。僕は地震の怖さを知らない。頭の中では、その恐ろしさを認識しているつもりでも、実際に被害に遭った人々の認識と同じではなく、その悲しみの大きさを真の意味で理解できるわけがない。だからこそ、少しずつでもいいから、当時の事実を伝える報道を見て、被災者の話を聞き、そして日ごろから天災に遭った時の対処方法を身につける必要がある。

いま、こうしてダイビングができること、呼吸をしていることがどんなに幸せであるかを決して忘れてはいけない。人間が自然と共存しているからこそ、幸せに生きていけることも忘れてはいけない。当たり前のことを当たり前にする。「だれかがしてくれるから」なんて甘い考えを持っちゃいけない。日ごろからの小さな積み重ねが美しい地球を守っていくことにつながる。異国の街があらためて教えてくれた。