足りなかった「ありがとう」と「気遣い」
2016・3・29~愛媛・松山市~
自分の至らなさを痛感した1日になった。えのはうす近くにできたレストラン「kominka」を訪れた。愛の葉農園で採れた野菜などを使った料理を食べられるという。プレオープン中で、愛の葉メンバーが手伝いに来ていた。前日28日、メンバーのブログで「ミニライブをする」という告知を見た。メンバーが手伝いをするのも、この日が最後という。どうしようかな…。悩んだ挙句、後悔したくないと思い、自転車を走らせた。
なんとなく入りづらかったが、重い足を運んで、扉を開けた。SACKYと美紀ちゃんが出迎えてくれた。中に入ると、6、7人のファンが駆けつけていた。注文した豆腐ハンバーグ定食が運ばれた直後、メンバーが中庭に登場。萌景もメンバーの輪の中にいた。なんだか、とても久しぶりに会った感覚だった。あれっ、なんか髪の毛が茶色い…。いや、赤い…。なんでだろう?春休み中だから、一時的に染めているのだろうか??そんなことを思いながら、彼女を眺めていた。
ミニライブがスタート。「恋の魔法」や「君☆好き」など数曲が披露された。間に、未唯&愛美の「ハッピーセット」による漫才?もあった。「映画ドラえもん」の曲中に流れる「ウンタカダンス」も踊った。イベントの日程が重なっていたため行けなかった定期公演で、莉緒が踊っていたという曲だった。ああ、これが新日本プロレス・棚橋弘至らが踊っているやつか…。目の前で、莉緒がめっちゃ笑顔で楽しそうに踊っていた。
実は「自主的謹慎中」だった。20日の古川横丁マルシェで、萌景にひどいことをしてしまった…。イベント中の彼女の態度が気に食わず、イライラをぶつけてしまった。自分が我慢すればいいことだったんだけど、大人げないことをしてしまった…。運営スタッフに事情を説明し、萌景とも直接話して説明した。翌21日も再度、話をして仲直りした。でも、14歳の女の子に対してしたことをしっかりと反省するため、しばらくイベントに行くことを控えようと思ったのだ。
だから、26、27日の「ケイリンフェスタ2016」には行かなかった。そして、kominkaで萌景たちが手伝いをしていたのも知っていたけど、行きたい気持ちを抑えて仕事をした。土日になれば、当たり前のように萌景に会いに行く。萌景推しになって以降、できあがっていた「ルーティンワーク」が崩れた…。仕事をしていても、萌景の笑顔が頭に浮かんでくる。仕事に集中できないよ…。ため息ばかりが漏れた。本当はもっと長く謹慎するつもりだったけど、やっぱり萌景に会いたい。だから、解いた。意志が弱いな…。
メンバーはkominkaから移動し、松山競輪場で開催される「金亀杯争覇戦最終日」の最終レース前に出演するミニライブのリハーサルをしていた。立ち位置などを確認する光景を眺めながら、kominkaでのミニライブ中のトークを思い出していた。ファンからの質問に答えるコーナーがあったのだが、そのなかで「好きな人に言われたいことは?」「推してくれているファンにしてほしいことは?」という注目すべきものがあった。メンバーそれぞれが答えていたが、自分的には萌景が何と答えるのか、とても気になった。
「好きな人に言われたいことは?」については「ありがとう」。うっ…。ズキズキッ…。「推してくれているファンにしてほしいことは?」には「気遣い」。ズキズキズキズキッ…。萌景が口にした2つの回答に、胸がとても痛んだ。その場にいた萌景ファンは2人だけ。1人は女性ファンだ。もしかすると、萌景は自分に向けて言っていたのではないか。そう思った。というのも「ありがとう」と「気遣い」は、まさに自分に足りないものだったからだ。
「ありがとう」。自分も大好きな言葉だし、言われたらうれしい。萌景はいつも、笑顔で言ってくれる。萌景に出会ってからの日々を振り返ってみた。そういえば、ちゃんと言ってきただろうか?写真を撮らせてもらった時、名前を書いてもらったチェキを受け取った時、ちょっとしたことをしてくれた時…。ジェスチャーで済ませたり、生返事だったのではないか?おろそかになっていたのではないか??思い返せば、思い返すほど、自信がなくなってきた。
「気遣い」。おそらく「気配り」の意味も込めて言ったのだろうな。萌景たちが店内やブースの手伝いをしている時、邪魔にならないように動いていただろうか?萌景のちょっとした変化に気づいていただろうか??体調が悪そうな時「大丈夫?」などの言葉をかけていただろうか???彼女から気遣いなどを当たり前のようにされてばかりで、こっちは配慮に欠けていたかもしれない…。
自分はこれまで、萌景にいろんなことを口酸っぱく言ってきた。イベント中に気になったところや直してほしいところなどを口ではもちろん、手紙などでも伝えてきた。立派なアイドルになってほしいから。後輩に尊敬されるような先輩になってほしいから。そんな思いからの行為だけど、ただ自分の言いたいことだけを一方的に言って、萌景の気持ちをまったく考えていなかったかもしれない。ましてや、多感な14歳の女の子だ。心の内面を理解しようとしなかったかもしれない。ただの口うるさいオッサンになっていたかもしれない…。
おそらく、自分は異質なファンの1人だろう。普通なら、推しているファンのいいところをたくさん褒めたりして、気に入られようとするはず。自分はそのまったく逆で、ダメなところを指摘してばかりで、褒めたりすることはめったにない。好かれようとは思っていない。萌景はそんな自分のことを嫌っているんだろうな…。それは肌で感じているし、彼女の自分への接し方を見ていたら分かる。だからと言って、ゴマをするつもりはないけれど、自分の考えをあらためることも必要なのかなと思った。
メンバーが最終レース前、バンク内の広場で「モノクロ」を歌って踊っている最中も、こんなことを考えながらシャッターを切っていた。サッカー場、バスケットコート、そして競輪場。いつものライブ会場とは違った広い空間で、多くの視線を浴びるなかでも、14歳の萌景は本当に威風堂々と踊っている。よくよく考えれば、本当にすごいことなんだよね。笑顔を絶やさず、いつものイキイキとしたダンスを見せてくれた。気がつけば、自分も笑顔になっていた。
観客に手を振りながら、笑顔で退場していく萌景たち。謹慎を解いて、見に来てよかった。そう思った。kominkaでは皿洗いなどの裏方をしていて、競輪場では物販がなかったから、この日は萌景とまったく話せなかった。残念だったけれど、笑顔を見られただけで十分だった。これからは、うれしかった時には、何かをしてもらった時には、ちゃんと「ありがとう」って言おう。大人らしく、しっかり気遣いもしよう。久しぶりに萌景に会って、いろいろと自分を見つめ直すことができた。
萌景へのお願い
2016・3・13~愛媛・松山市~
悩みは尽きないな…。いろいろと考えさせられた時間だった。えのはうすであった愛の葉ガールズのホワイトデーイベントに参加してきた。タイトルは「昔懐かしい『フィーリングカップル5対5』」。想像するに、子どものころに観たテレビの人気番組で、やすし・きよしらが司会をしていた「プロポーズ大作戦」のようなものだろうか?なつかしいなあ、と思いつつ、不安を募らせながら会場に向かった。
えのはうすでのイベントではよくあるのだが、一部のファンしかゲームに参加できない可能性があるかもと思っていたからだ。いつものパターンだと、ファンがそれぞれの推しメンの前に並んで、ジャンケンをして勝ったファンだけがゲームに参加できる、というもの。負ければ、推しとほかのファンが楽しんでいるのを、ただ見ているだけ、という最悪の時間になる。
でも、その心配は杞憂に終わった。開場時にカードを引き、書かれた番号の組で参加するというものだったからだ。ファンが6組に分かれて、メンバーはそのゲーム時にそれぞれ選ばれるという形式だった。食事の後に、ゲーム開始。自分は「1」で、最初の組。愛の葉からは手を挙げたメンバーから、山下マネジャーがチョイスする形で①美紀②理梨花③莉緒④水由羽⑤未唯の5人が選ばれた。残念ながら、萌景は入らなかったけど、内心はホッとしていた。
仮に、萌景が5人の中にいたとしても、自分を選んでくれる、という自信がまったくなかったからだ。萌景推しになってから約5カ月だけど、彼女に好かれているという実感がまったくない…。おそらく、ほかのファンは自分の推しのいい部分をいっぱい褒めているんだろうけど、自分の場合はまったくの正反対。気になる部分や直してほしいところばかりを口うるさく指摘して、褒めたりすることなんて、めったにない。だから、毛嫌いされているんだろうな…という、マイナスな感情しかなかった。
まずは第一印象で番号を上げることに。番号は1~5と「?」マークがあったのだが、自分は「?」を選んだ。萌景が見ていたっていうのもあるが正直、彼女以外の子を選ぶことができなかったからね。自己紹介で、メンバーにアピールする形で進んだ。質問は「好きな野菜」「好きなモデル」「チャームポイント」などなど。最後にまた番号を上げたのだが、自分は結局「?」だった。誰も自分を選んでくれないだろうなと思っていたが、水由羽が自分の番号を上げてくれていた。めっちゃ、うれしかった。ゲームはゲームで楽しめばよかったかな…っていう思いも残った。
ゲーム中の質問のひとつに「休みの日は何をしていますか?」というものがあった。そんなん、答えは「愛の葉のイベントに行っている」しかないやん。そう思っていたが、ファンはそれぞれ違うことを言っていた。何て言おう…。いろいろ考えたが「萌景に会いに行っています」と答えた。司会のSACKYが「愛にあふれていますね~」とひと言。参加していた5人の後ろで見ていた萌景は少し恥ずかしそうに、照れたように笑ってくれた。正直に言ってよかった。
全部で6組のゲームがあり、萌景も2回参加した。なかには、自分の推しと結ばれたファンもたくさんいた。そんな光景を見ていて、うらやましいなあと正直、思った。1組には、萌景推しは自分しかいなかった。だから、もし萌景がその組にいたら、自分の番号を上げてくれていたかもしれない。その逆で、選んでくれなかったかもしれない。それはそれで事実を受け止めるだけ。選んでくれたら喜べばいいし、選ばれなかったら自分のアピールが足りなかっただけ。いずれにしても、萌景推しという考えが変わることはない。
6日の鬼北町でのイベントで、萌景の気持ちを確かめるため「ほかのメンバーとツーショットチェキを撮る」「萌景はピンチェキだけ」という行動を取った。結果的に萌景を傷つけてしまった…という罪悪感しか残らかった。いろんな人に聞いたら、けっこう落ち込んでいたという話を聞いた。その時の行為に後悔はないけど、ちゃんと謝らなきゃと思った。だから、12日のエミフルMASAKIでのイベントで「ごめん」と謝った。萌景は「もう気にしていないから」とは笑って許してはくれたけど…。
本音を言うと、萌景にはストレートに不満をぶつけてほしかった。きよら、未唯、莉緒とチェキを撮っているのは見ているはず。その時に「なんで、ほかの人と撮っているの?」とか「ふ~ん、私以外とも撮るんだ!」とか言ってほしかった。ピンチェキで、って言った時には「なんでよ!はい、いっしょに撮るよ!!」と、強引に腕を引っ張ってでも連れていってほしかった。そんな反応を期待していたんだけど、そんなことはなく終わった。もちろん、落ち込ませてしまった自分が100%悪いんだけどね…。
ちゃんと鬼北での自分の行動の説明をしなきゃ。そう思って話しかけた時には「鬼北?何のこと??」と、とぼけられた。強がっているのは明らか。気にしていないわけがない。その後も話をしても「もう大丈夫。気にしていないから」の一点張りで、話を終わらせようとする。イヤなことがあっても、次の日には忘れている。引きずらないところが萌景のいいところではあるけれど、萌景推しとしては遠慮せず、素直に文句を言ってほしかった。14歳なら14歳らしく、自分の思いに正直でいてほしい。
いろんな人から聞いた。「年の離れた人とは何を話していいのか分からない」「横チンさんはまじめだから」など。確かに、自分もその逆で、萌景と何を話していいのか分からないことが多い。彼女がゲームをよくしたり「おそ松さん」などのアニメが好きなのは知っている。でも、自分はまったくと言っていいほど、興味がない…。だから、話に付いていけない部分がある。自分が何か話題を振っても、萌景は興味なさそうに聞いていることもある。一方で、彼女が若い子と楽しそうに話しているの見ると、うらやましいなあって感じる。
えのはうすでのイベントでは、メンバーが各テーブルを回ってファンと雑談することが多いのだが、萌景はなかなか、自分のところに来てくれない。なんだか避けられている感じもあった。それが不満で「なんで来てくれんの?」と言ったこともある。ある時、彼女はある関係者に、こんなことを言ったという。変なことを言って傷つけてしまったりしたら…と思うから、推してくれる人とはなかなか気楽に話せない―。もしかして、萌景は自分に対して、そんな思いを抱いているのか…。そう感じた。確かに、こっちから話しかけることはあっても、萌景から何かを聞いてくることはほとんどない。
でもね、自分の場合、萌景が自分に対して、良くも悪くも、正直に、ストレートに言ってくれないことが一番悲しいんだよね。自分は萌景が思っているほど、まじめじゃない。お笑いも大好きだし、若い子が好きそうな音楽もよく聴く。バカな話もする。だから「横チンさんって、こんなことも知らんの?」とか「もっと、女の子のことを勉強したほうがいいよ」とか言ってほしい。その時はバカにされたってムスッとするかもしれないけど、それはそれでうれしいから。もちろん、いままでどおり、自分も萌景のダメな部分は指摘する。そんな、何でも言い合える関係でいたい。
ホワイトデーだから、萌景の大好きなマイメロディのグッズをプレゼントした。シュシュとかリボンなどの髪飾り。ちょっぴり子どもっぽいけど、着けてくれたらいいな…。そう思いながら選んだ。チェキをもらったり、プレゼントを渡す光景とかを、莉緒カメラマンたちが撮ってくれた。とってもいい表情をしているね。本当にありがとう。萌景には「オレの写真を撮って」と何度か自分のカメラを渡してお願いしているけど「研修生だから」という理由で撮ってくれない。ほかのメンバーが「いいんじゃないの?」って言っても「壊したらいけないから」と…。萌景が撮ってくれた写真をアイコン画像に使いたいんだよね。いつか、撮ってほしいな。
自分の努力不足で、アピールのしかたがヘタなのかもしれない。いっつも怒っているような顔をしているし、いつか萌景にも「怖かった…」って言われてしまったこともある。それに、不器用だし…。あるメンバーには「横チンって、萌景、萌景っていう気持ちを出し過ぎなんじゃないかな?」って言われたこともある。まあ、そうかもしれないね…。自分でも「好き好き光線」を出しすぎかもしれないって分かっちゃいるんだけど…。でも、大好きなんだから、しょうがないwwまあ、こんなヘンなやつですが、これからも懲りずに相手してやってください。よろしくお願いします<(_ _)>
罪悪感に満たされた時間
2016・3・6~愛媛・鬼北町~
あらかじめ、事前に強調しておきたい。自分は萌景が大好きだ。自信過剰だって言われるかもしれないけれど、誰よりも彼女のことが好きっていう自信があるし、誰よりも応援しているつもり。時に、その思いが強すぎて、彼女に口うるさくなったり、困らせてしまうことも少なくないんだけどね…。萌景に出会って約7カ月、萌景推しになってから約5カ月。研修生から正規メンバーへの道中にいる彼女をこれからも支えていきたいという思いは誰よりも大きいと思っている。
その気持ちを、これからもずっと持ち続けたい。そんな強い思いから、ある行動をしようと思ってJAえひめ南広見支所であった「鬼北農業まつり」にやってきた。数日前から、いや正確には、かなり前から考えていたこと。それは「ほかのメンバーとツーショットチェキを撮る」「萌景とは撮らない」「物販中、萌景と話さない」。な~んだ、そんなことか。たいしたことないやん。そう思う人がいるかもしれないけれど、自分にとってはとても大きな決心。悩みに悩み抜いてのことだからだ。
これまで、萌景以外のメンバーとツーショットを撮ったのは、美紀ちゃん2回、咲葉良1回の計3回のみ。美紀ちゃんとは萌景と初めていっしょに撮った昨年10月10日に合わせて撮った時と、萌景不在のイベントの時だけ。咲葉良とは卒業コンサートの時だけで、ほかはすべて萌景。一部例外をのぞいて「推し以外とは撮らない」という自分なりのポリシーを貫いてきたつもり。それが萌景推しとしての「責務」だと考えていたからだ。
頑なに守ってきたんだけど、この日だけはそんな思いを捨てようと思った。結論から言うと、自分とチェキを撮っていても、萌景が楽しそうに見えなくなってきたからだった。ずっと萌景と撮っているのだから、マンネリ化している部分もあるのかもしれない。でも、理由はそれだけじゃない。ほかのファンと撮っている時の萌景がとても楽しそうにしている時が何度もあった。その光景を見ながら、自分の時と比べてみた。全然、違っていた…。
義務的に自分と撮っているんじゃないか…。イヤイヤ撮っているんじゃないか…。そんなふうにマイナスに思ってしまう自分がいた。それに、自分のことが嫌いなんだろうな…と感じる行動を取られたこともある。決定的だったのが2月28日のセガ丸亀でのイベントの時。プリクラを撮る機会があったのだが、萌景に「ある行動」をされた。おそらく、彼女は無意識にしたのかもしれないけれど、自分的にはかなりショックだった…。
丸亀から松山に帰っている時も、それ以降も、ずっとその時のことばかり考えていた。考えれば考えるほど、気持ちが沈んできた。これまで、萌景だけを見て、一途に応援してきた。それなのに、彼女にその思いがまったく伝わっていない…。そんなマイナスな感情しかわいてこなかった。でも、病んでいてもしょうがない。彼女の気持ちを確かめてみたい。そのひとつの策として「ほかのメンバーとチェキを撮ってみよう」と思ったのだ。
1部のライブ終了後。雨が降ったりやんだりの天気だったが、メンバーがテントの下の物販ブースにいた。実は「萌景から、ほかのメンバーのチェキを買う」という考えがあったのだが、いざ顔を見たら、さすがにそんなことはできなかった。いつも、萌景からチェキを直接買う。「5枚ちょうだい」と言えば、彼女は何も言わずに自分のチェキカードを5枚持ってくる。でも、この日はそのパターンを崩してまで「裏切りの行動」に出ようとしていた。
萌景が後ろのほうで何かをしている時を見計らって、ブースに近づいた。美紀ちゃんが「チェキ?」と聞いてきた。うん。そう言うと、彼女は「萌景~」と呼ぼうとした。いや、呼ばんでいいんよ。「なんで?」。いいから。いったん、ブースから離れた。やばい、やばい。計画が水の泡となるところだった…。萌景がチェキ販売の前に来たので、しばらく近づけなかったが、莉緒が入れ替わってチェキ販売の前に来た時、再チャレンジした。
「ほのちゃんだよね??」。いや、きょうはね、この子と、この子と、この子を1枚ずつ…。きよら、未唯、そして莉緒のチェキを指差した。「えっ、なんで??ほのちゃんは??」。きょうはいいんよ。「そうなん?」。うん。莉緒は不思議そうな顔をしていた。そりゃ、そうだ。いつも、萌景のチェキしか買わないのに、ほかのメンバーのチェキを買っているんだから。横に来た美紀ちゃんが「萌景と何かあったん?」と真顔で聞いてきた。いや、何も。「じゃあ、なんでよ?」。だから、別に何もないよ。その場はごまかしたが、美紀ちゃんは首をかしげていた。
最初のチェキ撮影は未唯だった。番号を呼ばれ、カードを差し出すと、未唯が「あれ?なんで??未唯でいいの???」。うん。ちょうど、萌景の前を通る形となり、気まずい雰囲気のなかで通過…。その後、未唯に告げた。例の作戦を実行しとるんよ。「ああ、作戦ね」。すぐに理解してくれた。実は昨年末、萌景のことを話していた時「萌景以外の子とチェキを撮ってみたら?そしたら、萌景も考えるかもしれんよ」とアドバイスしてもらっていたのだ。撮影した後「分かっとるよ」と笑ってくれた。ありがとね。SACKYがカメラマンだったのだが、途中から萌景に変わった。危ねえ…。
2番目は莉緒。「見えないところに行く?」と聞いてきた。階段のところでチェキを撮っていたのだが、萌景がカメラマンをしていた。その状況を見て、莉緒が気を使ってくれたのだ。いいよ、そんなこと気にしないで。そう言ったが、とてもうれしかった。少し離れた場所で、莉緒の「土下座しようか?」という提案で、2人で手をついて土下座ポーズ。あとで気づいたけど、もしかして萌景に謝罪の意味がこめられているのだろうか…。莉緒、本当にありがとう。
3番目がきよらだった。自分の顔を見た途端「えっ、横チン?ほのちゃんじゃないの??」と案の定、同じ問いかけ。カメラマンが美紀ちゃんで「何があったんよ?」と、また聞いていた。まあ、ちょっといろいろ考えるところがあってね。「考えるところって??」。まあ、いろいろよ。「ふーん」。納得していない様子だった。美紀ちゃんにも、いろいろと相談に乗ってもらっているから、この日の行動がおかしいと思ったんだろうね。細かいことは言えんのよ。でも、いろいろとごめん。
ほかのメンバーと撮ってみて、いろんな意味で新鮮に感じた。本当は萌景とだけ撮りたい。その一方で、ほかの子と撮ったら、どんな雰囲気なんだろう?撮ってみたいな…という思いが少しもなかったと言えば、ウソになる。「隣の芝は…」ではないが、違う環境に立ってみることで、いつもの環境とはどう違うのかを知りたかった。「どんなポーズをしようか?」「せっかくだから、おもしろいのを撮ろうよ」…。ほかのメンバーとのそんなやり取りが正直、楽しかった。
イベントに来れば、萌景のチェキは必ず撮る。でも、この日は「萌景とツーショットは撮らない」という考えを貫くつもりだった。メンバーが2部のライブの準備で離れた時、萌景のチェキカードを2枚買っておいた。2部終了後、チェキ撮影再開。萌景の番号が呼ばれた時、カメラマンの理梨花に「ピンチェキ2枚、撮っといて」とお願いした。不思議そうな顔をした2人が近づいてきて、理梨花が「なんで?」と尋ねてきたが、きょうはピンチェキで、と、わざと冷たく言った。おそらく、わけが分からなかったんだろう。萌景がさみしそうに歩いていくのが分かった。めっちゃ、つらかった…。本当にごめん…。
チェキに日付と名前を書いた萌景が近づいてきた。「横チンさん…」。でも、顔を見ず、右手だけ出してチェキを受け取った。ホント、ひどい行為…。萌景が聞いてきた。「なんかあった…?」。いままで聞いたことのないトーンの声だった。顔を見た。真顔で、戸惑いの表情だった。まともに見られなかった。自分の胸に手を当てて、考えてみて。それだけ告げた。めっちゃ気まずい雰囲気。「分かった…」。そう言って、萌景はその場を離れた。この日初めての会話が終わった。もちろん、自分が100%悪い。
このまま、ちゃんとした理由を言わないと、お互いにモヤモヤしたまま、松山に帰ることになる。それだけはイヤだ。そう思って、ブースの片づけが終わった後、タイミングを見て、萌景に話しかけた。あのね、オレとチェキを撮るのが楽しくないんやろな…と思ったからなんよ。「そんなことないよ…。なんで?」。この前の丸亀の時に、そう感じたから。それだけ。話を切った。「うん…」。萌景は納得のいかない表情だった。
この日の「行動」の最大の目的のひとつには、萌景に少し考えてほしいという思いがあった。悩みに悩んで実行に移した行動。でも、萌景とチェキを撮ることが当たり前で、習慣化していたから、気分はもちろんスッキリしていなかった。正直、罪悪感しか残らなかった…。だから、帰り際、美紀ちゃんに「萌景に、オレが『ごめん』って言っていたことを伝えてくれる?」とお願いした。「分かったよ~」。笑って快諾してくれた。
萌景に会いたい。萌景の笑顔を見たい。萌景と話をしたい。萌景とチェキを撮りたい。だから、愛の葉のイベントに通っている。それなのに、気持ちと正反対のことをして、彼女につらいことをしてしまった。ほかのメンバーとチェキを撮るのは楽しかったけど、気を使わせてしまって、申し訳ないという思いが残った。後悔はないけれど、罪悪感で満たされた。やっぱり、萌景が大好きなんだ。あらためて、自分の気持ちを確かめることができた。
自分の辞書には「推し変」とか「推し増し」「1推し、2推し」という言葉はない。「1かゼロ」。たとえ、萌景のことが嫌いになって推すことをやめたとしても、ほかのメンバーに推し変したりすることは絶対にない。今度、会った時には、この日の行動を謝って、ちゃんと話をして、いつものようにチェキを撮ろう。この日のような行動は、最初で最後。おしまいにしよう。大好きな萌景スマイルを思い浮かべながら、そう決めた。



































