余命3ヶ月・・・そう告げられた家族の苦悩 -15ページ目

余命3ヶ月・・・そう告げられた家族の苦悩

娘でいられる時間が残り僅か・・・

親不孝ばかりしてた私が最後に母にしてあげられる事は・・・?

長年付き合っていた彼女と別れた弟・・・


母も含め私達家族は

その彼女が弟の嫁になるもんだと確信していた。


名古屋に帰省の時は

仲良く一緒にきてくれていた。


はじめて彼女に会った時はまだ10代だった。


一言で言えば 『若い、若すぎる・・・。』

けど、見た目とは違ってシッカリしている。


弟には勿体無いとさえ思った。


『前からうまくいってないんだ・・・。』


ポツリと洩らした一言に私はその原因が気になった。


『もしかして、、、お母さんが原因なん??』



母のコトが原因の一つなら

まだ彼女を説得するコトができるかもしれない。


けど、原因は言わないけど

母のコトではないらしい・・・。


二人の問題なら・・・

私が心配しても仕方がないか・・・


けど、父は違う。


長男の弟がいずれ父の面倒を見なきゃいけない。


その時は・・・母はいないにしても

名古屋に来ることがイヤなんじゃないかとか


母の病名を知ってあちらの両親が反対してるのかとか・・・


父は自分のせいで二人が別れたと思い

涙声で電話を掛けてきた。


そうじゃないんだよ、、、


もう子供じゃないんだから

二人で決めたコトに何言っても仕方がないんだよ・・・。


縁が無かった・・・

そう思うしかないんじゃないの??



私だって寂しいよ・・・

籍は入れてなかったけど

義妹だと思って接してきたんだもん。


でも、彼女には感謝している。


弟のこと、私の家族のこと

大切に想い接してくれたコトには感謝している。


彼女の地方訛りの話し方や

のんびり話す口調が私は好きだった。


彼女の話を聞いてると

優しい気持ちになり癒された。


彼女のお陰で弟は

きっとあんなに優しい口調になったんだと思う。


何もこんな時に別れなくてもいいのに・・・

そんな風に思ったりする


『あんたは大丈夫なん?』 その問いに弟は・・・


『オトウの事、頼むなっ!』


自分のことより父を心配する弟・・・


あんたは本当に優しいね。

・・・私は、、、自分のコトしか考えてない

冷たい姉です・・・

母の病名、余命を聞いた親戚が

お見舞いに来てくれる。


もちろん手ぶらではない。


弟と悩んだ・・・

『これって、、、お返しどうするんだろう・・・。』



病気が完治し治れば

『快気祝い』 か 『全快祝い』 を贈るのは

当然だけど・・・


母は完治もしないし退院もできない。


『・・・返さなくても、、、いいんじゃないの??』


『・・・そうだよね、、、。』


一日でも長く生きていてほしい・・・


が、同時に・・・

入院費・治療費が心配になる。


母は、、、生命保険に加入してなかったから・・・。


どうするよ、、、


家にはそんなに蓄えがあるとは思えない。

案の定・・・期待はしてなかったが

蓄えどころか借金がある。


・・・お母さん、、、そんなに何買ったん??


幸い入院費の負担は月に上限があり

母は高齢だったので入院費の負担額は一割で済む


一割と二割では・・・

倍違う・・・当たり前か・・・。


入院費だけじゃなく

今後考えたくないが現実に訪れる母の死


葬儀も仏壇も・・・

お金が掛かるコトがいっぱいだ


私と弟はどれくらいの費用が掛かるのか

一度葬儀屋で見積もりを出してもらうことにした。


『オネエさぁ、、、見積もりどうなった??』


『あっ!!まだいいかなぁ~と思ってまだ行ってないよ。』


私の家から車で5分の葬儀場


行かなきゃと思いつつ

足が向かない・・・


けど、そんなコトも言ってられなくなった。


『オカアさ、、、そろそろヤバイよ。』


病院に向かう途中に

弟から電話で急遽、Uターンし葬儀屋に向かった。


色んな疑問が出てくる。

それを細かく聞かなきゃ生前見積もりした意味がなくなる。


『まだ生きてらっしゃる時に

こうゆう場所にくる事は勇気がいることだと思いますよ。』


見積もりを出してくれた担当の方に言われた。


私と弟は費用も心配だが

母をちゃんと見送ってあげたい気持ちがあった。


父はきっと冷静でいられないだろう・・・


だったら私達が冷静になって

仕切っていかないといけないから・・・。


まだ考えたくはない母の死


けど、、、余命を宣告されたんだから

現実を受け止めるしかないよ。


嫁入り道具で着物を買ってくれた両親


留袖と喪服が夏用と冬用


・・・先に母のために着ることになるとは

思ってもいなかった。



母に告知するかどうか・・・

散々迷った。


母は自分が『ガン』だとは

思ってもいないだろう・・・。


早期発見で治る見込みがあるのなら

話をするコトもできるのかもしれない。


けど、、、余命3ヶ月って聞かせれたら

母はなんて思うだろう・・・。


その場で取り乱すかもしれない

落ち込んで余計に伏せってしまうかもしれない


『もっと早くに教えてくれればよかったのに』 と、

家族に当り散らすかもしれない


母は家族の心配をよそに

どの行為もしなかった。


冷静に主治医の話を聞き

効がん剤の治療をすると言った。


間違いなく主治医の話を聞いてるはず


お腹全体にガンが広がり手術はできないと・・・

このまま何も治療をしなければ

体力が低下し起き上がることも食事ができなくなるとも・・・。


主治医は言わなかった

余命が3ヶ月だってコトは・・・。


それは母が聞かなかったからかもしれない。


・・・効ガン剤だけで治ると思ったのか・・・??

イヤ・・・そんなはずはない。


病名を知り母はどう思ったのか・・・


翌日も告知を受ける前と全く変わりがなく感じる。


よく話、よく笑う・・・

どうしてそんなに冷静でいられるの??

私にも家族にもワカラナイ・・・


翌日から一泊の外泊許可がでた。


母は感じていたのかな?

これが最後の家で過ごすってコトを・・・


何も言わないから本意は分かんないけどね。


『まだ、死にたくない』 なんて

泣きつかれても困ってしまう


私ができるコトって・・・なに??


お母さんは何か言い残すことはないの??


・・・そんなコト“生きようとしてる”母に聞けないでしょう・・・。


感謝や謝罪も本当は伝えたい

母も何か伝えたいコトはあるはず・・・


でも、、、言えないし聞けないよ。


明日があるって思いたかったから・・・。