松岡圭祐。万能鑑定士Qの推理劇 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

万能鑑定士Q 綾瀬はるか

 

松岡圭祐といえばライトノベルの書き手で『万能鑑定士Q』など多くのヒット作を出版している。その松岡圭祐のデビュー作『催眠(1997)小学館』が、本格サスペンスに仕上がっていてびっくりしたとご報告した。そこで全12巻で完結と思われた『万能鑑定士Qの事件簿』に続編があるのとを知って読んでみた。

 

松岡圭祐:万能鑑定士Qの推理劇 全4巻

松岡圭祐:万能鑑定士Qの事件簿 0  

 

『事件簿0(2011)角川文庫』は、沖縄からお上りさん状態で上京したヒロイン凛田莉子の万能鑑定士Qとして誕生するまで。そして『推理劇(2011-13)』その後の活躍から、終巻では舞台を凛田の故郷沖縄波照間島での、詐欺師の元締・狐比類巻コピアとの対決が描かれます。

 

内容はともあれ、松岡圭祐は確信的にライトノベルの書き手になったようで、お話は明るく、軽みがあって、よどみなく流れるように展開していき、現状のテレビドラマや映画の原作として提供できるものになっている。読みどころは、やはり真贋の鑑定とトリッキーな犯罪とその解決(加えれば、いつまでも煮え切らない凛田と、記者の小笠原悠斗とのロマンス)に帰結する。

 

一般向けサスペンス&ミステリに仕上げることもできそうなプロットですが、作者はあえてライトノベルでということなのでしょう。イラストは映画『万能鑑定士Q モナ・リザの瞳(2014)』に主演した綾瀬はるかを。