竹久夢二とお葉 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

 sketchbook.069 お葉(佐々木カネヨ)

 

西野嘉章「新版 装釘考」で竹久夢二に多大な影響を与えた展覧会に触れていて、世紀末ヨーロッパの石版刷ポスターを展示、アール・ヌーボーに火を点けた「白馬会第6回展(明34)」、雑誌「白樺」同人が開催した「泰西版画展覧会(明44)」では、ビアズリー、ムンク、ニコルソン他が、

 

同じく白樺主催による「第6回美術展覧会(大2)」では後期印象派のロートレックやムンク他が紹介された。続いて、立体派・未来派・表現派の版画素描を集めた「DERSTURM.木版画展覧会(大3:日比谷美術館)、ロシア未来派ダヴィッド・ブルリューク他27名による「日本における最初のロシア画展覧会(大9:京橋,星製薬ビル)が知られる。

 

 長田幹彦:西鶴情話(1917)新潮社

 

 吉井勇:歌集 鸚鵡石(1917)玄文社

 

夢二の残された貼り混ぜ帳にドイツ象徴派文芸誌「ユーゲント」の挿絵図版が多く残されているところから、海外へ出かけたことがなかった夢二は国内開催の海外展覧会などから貪婪に吸収した。上掲の本はいずれも竹久夢二による装幀本で、対比するとそれなりに透けて見えるものがあって面白い。

 

 木村 毅:竹久夢二(1975)明治文献

 西野嘉章:新版 装釘考(2011)平凡社

 

久しぶりに木村毅「竹久夢二」を拾い読みしてみたが、当本は彦乃との悲恋まで前半生の評伝で、多くの傑作モデルとなったお葉は登場しない。ちょっと気になったことがあって古書店に金森敦子「お葉というモデルがいた 夢二、晴雨、武二が描いた女(1996)晶文社」の注文を出した。(新潟県の出身の)金森敦子は地味ながら興味深い本を多く刊行している。