関野凖一郎「木版画の楽しみ」 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
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関野凖一郎:木版画の楽しみ(1983)平凡社
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関野凖一郎:楽屋の文五郎(1956)

関野凖一郎は大正3年青森県生まれ「わだばゴッホになる」棟方志功(明治36年)の後継になる。山本鼎がまいた自刻自摺の種を刈り取った世代です。絵画は一品もので、いかに大量に描いても高額にならざるを得ない。版画なら安価にかつ大量に売れるから庶民でも買える。版画はいわば札束を摺るごとくと豪語した山本鼎は生涯貧窮に沈んだが、彼の努力は次世代以降の踏み石になったのでした。吉川英治本の装幀で初めて関野凖一郎を知ったのですが、手堅い歩みを続けた人です。

版画作品&自摺著作本を含め現在でも人気が高く、ネットでもなかなか手がでませぬ。「木版画の楽しみ」は最近座右の一冊で、この本を眺めながらプリンター版画の想を練っておりました。しかし、所詮人の手技にかなうものはありませんね。老後は木版画を手がけたいと思わないでもないのですが、おそらく根気が続かないだろうなぁ。さて、当本はHow to本というばかりでなく、読んで見て楽しめる一冊です。割合い入手が難しい本ですが、版画趣味のかたにはぜひ手にしたいただきたい。


Georges Moustaki - Nadjejda

 “Nadjejda” ロシア語で “希望”