
日米金利と円安
米国FRBは先の会合で政策金利を0.25%引き下げる
ことを決定した。
7月まで継続していた4.5%から、9月に4.25%に
引き下げ、直後の10月には更に4.0%へ、そして、
12月に更に0.25%下げて。3.75%となっている。
来年は1回だけの利下げになる見通しが強まってはいるが。
米国経済が比較的堅調であることがその大きな理由だが、
インフレ懸念は今だ拭えず、委員の中では据え置きを主張
する意見もあったという。
経済を活性化したいトラジイはFRBに圧力を掛け続けて
いるが、独立性は保たれているようだ。
しかし、パウエル議長の任期が残り少なく、政権寄りの
議長が選出されそうな気配もあり、今後は分からない。
一方、日銀は今週に開かれる政策決定会合において、現在の
0.5%から0.25%上乗せして0.75%にすることが
確実視されている。
0.25%って数字は小さいように見えるが、1.5倍と
いう高い利上げなんだな。
政府はデフレ脱却のためには積極財政と低金利は不可欠との
考えだが、完全に逆行しているように見えるな。
そもそも、今、金利を上げる必要があるか?
インフレと騒ぐが、物価高はコストプッシュ型あるいは
サプライロス型インフレであって、需要拡大型(デマンド
プル型)の強い経済を反映したものではないことは確かだ。
最大の懸念事項は、ようやく息を吹き返しつつある設備投資が
一気に萎んでしまうことで、そうなれば、逆に、再びの
物価高をもたらしかねないからな。
ま、それはさておき、日米金利差は少しずつギャップを埋め
つつある。

普通なら、これが円安傾向に歯止めを掛けるキッカケになる
との期待も出ようところだが、ワシはそうは思わない。
まず、日本経済は日銀が想定する程に強いのか?
全くそうではなかろう。
円安を追い風にする一部企業の業績は上がって来ていても
トランプ関税の影響が本格的に出てくるのは来年以降だ。
物価高を背景に、消費傾向は低迷を続けている。
直近のGDP値でも内需や住宅投資はマイナスとなっている。
今回の補正で政府支出が増えるから、一時的には持ち直す
かも知れんが20兆円ってたったの0.4%にしかならん。

昔なら、輸出拡大→円高傾向という図式があった。
ドルを稼いでも日本人に払う給与は円だし、設備投資も円建て
だったから、稼いだドルを円に代える(円買いの)必要が
あった。
それが今は、海外生産が増え、給与も設備もドル建てになる
企業が増えた。
国内企業でも、完全輸出企業は少なく、国内商売は円で、
海外商売で稼いだ金カネはドル投資に回すなどのオペを行なう
企業が増えている。
要は、円が買われにくくなっている訳だ。
また、困った時の円買いもそういう機会が少なくなっている。
結局は、通貨の強さはその国の成長期待によるわけだ。
その意味でも、今回の日銀の利上げ行動はオカシイと
言わざるを得ないな。
物価目標重視で経済を判断するのでなく、デフレギャップや
設備投資の傾向など、経済の動きを重点にしないと、本質を
見誤るんじゃないかと危惧する。

ワシの予測では、金利なぞ上げなくとも、来年は物価高が
相当治まるんじゃないかと考えている。
燃料費の低下が大きいし、値上げ攻勢が一段落し材料高は
既に織り込まれたし、上手く行けばウクライナ紛争が収まる
だろうから資源エネルギー高も収まってくるだろう。
そこからが日本経済の本格的な回復が始まると思うんだが、
日銀の今回の行動はそれに水を差しかねない暴挙としか
見えないんだな。
それは結果的に更なる円安を生むことになるんだろう。
既に、長期金利は上昇傾向にあり、高額ローンを抱える人に
とっても負担増が心配される。