悠釣亭のつぶやき -188ページ目

年金倍増案

これだけ物価上昇している中、現役世代においては、政府の
要請もあり、労働団体の旗振りもあって、各企業が賃上げを
進める雰囲気が出始めている。
ま、5~6%の上昇は無理としても3%程度の賃上げをしないと
良い人材が集まらないという事もあろうからね。


問題は年金受給者である。
「働かざるもの食うべからず」ったって、食わなきゃ死ぬし、病気
になれば医者にも行く。
CPIが3%近辺の上昇を示しているのに、年金額はマクロ経済
スライドなる訳の分からんカラクリで、上がっても1.5%程度に
なっている。

その背景には、年寄りは稼がないから世の中に寄与してないと
言う考えがあるようだが、GDP=生産額=消費額という鉄則を
忘れたか?
40%になんなんとする高齢者の消費は無視できるものではない。
特に年金受給者は消費性向が高くて、コロナ禍中においてさえ
75%以上だったし、平時には100%を上回る事が多いのだ
(貯金を切り崩して、所得以上の生活をする)。
所得が上がれば需要が爆増することは間違いない。


さて、この本は見事にその考えを昇華した書物である。
積極財政を説き続ける著者は、政府支出を絞り込み続けた
結果が、停滞の30年であり、今のままでは今後も変わらない
とおっしゃる。




読み進めると、まったく荒唐無稽のお話しではないことがよく
分かる。
原資はもちろん国債発行による。
税金で賄おうとすれば若者世代に負担がかかるからだ。
国債で賄えば、若者の負担は増えない、どころか社会保険負担は
減らせる可能性もある。
そして、購買力を増すだけでもGDPが増大するが、需要増により

企業業績も向上し、労働者の賃金も上昇する。

需要増を満たすべく生産性を向上すれば、GDPは更に拡大する。


すぐに、国の借金がぁーという声が上がろうが、国債残高は単に
通貨発行の記録なのであって、経済規模が増えれば増えるのは
当然の事。

売上1億の企業と1,000憶の企業とで借入金が違うのは当たり前
のことで、実際に、日本政府の債務残高は1885年頃と今を比較
すれば、その額は実質で 546倍になっている。

国債の返還は経常収支が黒字になった分だけ償還すればよい
のだが、日本の予算には国債金利だけでなく、借り換え費用や
償還費用までもが計上されており、財政の硬直化を招いている。

また、政府の赤字=国民の黒字なのであって、国債残高が増える
という事は国民の富が増えるという事(実感はないが、どこかに
集積されている)で、国民が困る事ではない。

自国通貨建て、変動相場制下で、ましてや、経常収支が黒字の
国で国債が暴落することはなく、期待以上のインフレになる場合
のみ、増税によって通貨を回収すればよいだけの事。


H6年度予算における年金予算額は13兆円余り。
この分を倍増すれば、国債発行額23兆円弱を36兆円にする
だけの事。
保険金負担増を防ぐためにはもう少し必要かな?

将来へのツケがぁーという声が出るが、国債残高は単なる通貨
発行の記録であるし、悪い経済を残す事や食糧・エネルギー問題
の方がよほど将来にツケを残す結果になる事は自明。


読語の感想は何の違和感もなく、積極財政こそが日本を救う道筋
であることを再認識した。
財政の原資は国債発行によってでしかなく、税金は景気の良し悪し
によって増減されるべきで、増税は付加価値に対するペナルティー
として景気を引き締めるためのもの。

誤った貨幣観に囚われていたら、やるべき事が疎かになるどころか、
逆の行動をしてしまうこと、即ち、
不景気の時代に増税したり、緊縮政策をとったりするのは全くの
逆行動であることも再確認する結果となった。
いずれにせよ、高齢者に阿た奇書でないことだけは確かである。