脚本 大石静
演出 中島由貴、佐々木善春他
音楽 冬野ユミ
レビュー一覧
1~10回
キャスト
感想
寛和の変により花山天皇を譲位させた兼家は、孫にあたる懐仁親王の摂政として君臨する。
告白する道長だが、肝心のまひろは北の方でないとイヤだと無理難題。とうとうサジを投げる道長は土御門に婿入りした。
その一方、道長の次妻となった明子は父の仇 兼家を呪詛する。
これがけっこうコワいのよ・・・・
次いで摂政となった道隆は、人事を掌握して好きに振る舞うが、結局疫病で死に、後を継いだ道兼も僅か一週間で死んだ。
全く、あれよあれよといううちに道長体制が出来上がった。
そして目の上のタンコブでもあった伊周は、弟 隆家の不始末のあおりと、詮子を呪詛したとの濡れ衣で処分される。
ここから先は、あまり政権の変動はないのかな?(不勉強なんで先が読めてない・・・)
しかしまひろも父に付いて越前に行くと、道長とは離れるからこの先どう物語を展開させるのかな?
オマケ
1.しかしロバート秋山演じる藤原実資が、なかなかイイ。
何かというと「異常である」を乱発する生真面目な男。
2.土御門(つちみかど)といえば宮部みゆきの小説「荒神」に出て来た巨大怪獣の名。名の由来は言ってなかったナー。
「美術展ナビ」による解説(詳しい)
11話 12話 13話 14話 15話
16話 17話 18話 19話 20話
放送ダイジェスト(各話2分)
11話 12話 13話 14話 15話
16話 17話 18話 19話 20話
あらすじ
第11話「まどう心」
花山天皇が譲位し、七歳の懐仁親王が即位する事になった。兼家が摂政となる。為時は式部丞と蔵人の職を失った。
公任が斉信、行成に、昨夜の事は兼家一家の企てだと話す。
倫子に窮状を訴えるまひろだが、力になれないと返される。
兼家に直談判するまひろだが、去ったのはそなたの父の方だと言い追い返す兼家。まひろの話を聞いて驚く宣孝は、早く婿を取れと勧める。博識だし話も面白い。器量も・・・そう悪くない。
兼家は道隆を権大納言、道兼を参議へと露骨に昇進させた。
詮子は国母となり、一条天皇となる懐仁親王の世話に励む。
合い間を見て妾 寧子を訪れる兼家。道綱の昇進もせがむ寧子。
そして一条天皇即位の日を迎える。元慶寺で読経をする花山院。
儀式用の高御座に子供の生首が置かれており女官が騒ぐ。それを見つけた道長はすぐに片付けさせて口止め。即位式は滞りなく行われた。機転を褒める兼家は、道長を五位蔵人に任じた。
晴明に息子 伊周を紹介する道隆。そして姫の定子も。ゆくゆくは帝に入内させるつもりだと話す道隆は「よろしく頼む・・」
そこに乱入して来た道兼。兼家は、定子の事を晴明に頼む場だと言い、道兼の三歳の娘もいずれ入内させると言って収めた。
まひろに道長から和歌が届く。つれない漢詩の返信。
姫の集いのあと倫子に、意中の人が居ると告げられるまひろ。
乙丸への伝言で逢う事が出来た道長とまひろ。
妻になってくれと言う道長。都で政の頂きを目指すと言った。
「それは、私を北の方にしてくれるっていう事?」「・・・」
「妾になれってこと?」「・・・そうだ。北の方は無理だ」
心の中では一番でも北の方が来たら・・・耐えられないまひろ。
勝手な事ばかり言うな!どうすればお前は納得するのだ・・・
去って行った道長は、兼家に申し出た。水面を見て泣くまひろ。
第12話「思いの果て」
高倉の家に父の着替えを届けたまひろ。死を前に得度したなつめが、最後に娘のさわに会いたいと言い、呼びに行ったまひろ。
さわの姿を見て静かに息を引き取るなつめ。
後日まひろを訪ねるさわ。畑仕事をさせて下さいと申し出る。
そんな時に宣孝が来て、昨年北の方を亡くした藤原実資を婿にせよと言い出した。「学識、人望があり、何より財がある」
だが実資が赤痢で寝込むと「あれはだめだ、半分死んでおる・」
もうおやめ下さいと言うまひろに「霞食うては生きてゆけぬ」
道綱が道長に妾の事を話す。妾はいつ来るか分からぬ男を待ち続ける、常に辛いのだ・・・それでまひろの事を思う道長。
兼家が源雅信を呼びつけ、道長の件を願い出る(左大臣家への婿入り)娘の気持ちを聞かないと、と言葉を濁す雅信。
姫の集いで、畑仕事をしていると話すまひろに驚く姫たち。
今後も学びの会には来て下さいね、とまひろに話す倫子。
左大臣家を訪れる道長は、出迎えた雅信に父から預かった書状を渡した。そこには「此者道長也」(舐めておる)と立腹の雅信。
道長の様子を御簾の先からうっとりと眺める倫子と母。
父に「私は・・道長様をお慕いしております」と直訴する倫子。

「不承知ではない」と言ってしまった雅信。喜ぶ母。
道長に、とっておきの美女が居るから見てみなさいと誘う詮子。
それは亡き源高明公の一の姫 明子(醍醐天皇の孫)
明子をここに呼んでいた詮子。御簾の陰で明子を見る道長。
弟を世話したいと言う詮子に「お願い致します」と返す明子。
御簾を上げて道長を紹介しようとした詮子だが、既におらず。
高松殿で兄と話す明子。兼家の髪一本でも手に入れば呪詛出来ると言う明子。「必ず父上の無念を晴らします・・・」
公任は、関白の父 頼忠から内裏を退くと伝えられる。そして摂政家の懐に入るには、道隆より道兼の方がいいと助言した。
庚申待(こうしんまち)の夜が来た。この日は皆が徹夜する。
まひろに文を書く道長。文を受け取ったまひろは会いに行く。
妾でもいいと思っていたまひろだが、左大臣家への婿入りの事を聞き「道長様とは辿る道が違います」と突き放す。
道長はその足で土御門家に足を運ぶ。「入れておしまい」と母。
無礼を承知で参りました、と言う道長が手を取ると体ごとぶつかる倫子。「お逢いしとうございました」
家に戻り、惟規の勧める酒を飲み涙するまひろ。
第13話「進むべき道」
九百九十年。四年前に即位した一条天皇の、元服の日を迎えた。
道隆の屋敷では定子が、二十日後の入内を控え兄 伊周と騒ぐ。
道兼は七歳の娘 尊子の入内に思いを馳せるが、繁子は嫌がる。
さわと乙丸を伴い東市に出掛けたまひろは、母親が人買いに子供を連れ去られる現場に遭遇。母親の認識では染物師に預ける筈が、証文には売ると書いてあった。歯向かおうとして突き倒されるまひろ。まひろは村の子らに字を教え始めた。
だが父が官職を失って四年。金にならぬ事を、と嘆くいと。
上訴の吟味をする官職者たち。
国司の横暴への直訴が多く雅信が心配するが、道隆は帝への奏上を却下。だが道長は民の声は切実だと反論。実資も同意見。
そんな時、無関係な話をする兼家。
道隆は貴子に父の様子を伝え、万一の時は私が摂政になると言うと「心づもりは出来ております」と自信ありげに答える貴子。
道兼は蔵人頭になった公任に、俺を頼りに致せと言い、その代わり父の様子を伝えてくれと念押しした。
土御門の家で倫子との間に出来た娘 彰子を見る道長。父の様子がおかしいと言う道長に、我が父もすっかり老いたと返す倫子。
一方御嶽詣帰りで派手な衣装の宣孝は、まひろの婿取りの話のついでに兼家の具合が悪い事を為時に伝える。
どこかの屋敷で働きたいと言うまひろだが、無官の父が問題。
道長はもう一人の妻 明子から懐妊を告げられる。それに乗じて義父の見舞いがしたいと言う明子。そして見舞いは実現した。
誰か分からず、道長が妻の昭子だと話す。御父上は息災か?ととんでもない質問。「大宰府から帰った後みまかりました」との返しにも理解せず。怒りで中座した道長。
明子は義父にねだって、持っていた扇を手に入れた。
今度こそ殺してやります、と兄 源俊賢に言い、呪詛を始めた明子。
具合が悪くなった兼家は、晴明を呼びつけて自分の後継者は誰じゃ?と問うが摂政様の心中にある方が正しいと言って去る。
定子が一条天皇と遊んでいるところに詮子が来る。叱られると思った定子に「これからもせいぜい遊んでさしあげて・・・」
案の定、まひろはどこを訪ねても働き口はなかった。心配した倫子が土御門邸での仕事を紹介するが、仕事は決まったと嘘をつくまひろ。そして邸を辞する時、道長にばったり出会った。
第14話「星落ちてなお」
道長と目が合い、動揺するまひろは走り去る。道長も呆然。
少し具合の良くなった兼家は息子三人の前で出家すると宣言。
ついては跡を道隆にすると言った。収まらない道兼は「父上は正気を失っておられる」とけん制。
「お前のような人殺しに一族の長が務まるか」と言う兼家。道兼の暴露に驚く道隆と道長。道隆を助けて汚れ仕事が出来ぬのならどこへでも流れて行け、と重ねる兼家。
土御門邸での話も叶わぬと知り、いとは家計のために暇を願い出るが、行くあてがないのを知る為時が「ここにおれ」と言った。
兼家の枕元で寧子が、道綱の事をよろしくと訴える。
寧子がかつて詠んだ歌を口ずさみ、昔を思う兼家。
高松殿で、明子が兼家の扇を使って呪詛を行う。
晴明が「今宵、星は堕ちる」と言う。「次も長くはない」とも。
深夜屋敷の庭に出て月を眺める兼家。腹を押さえる明子。
翌朝、父の亡骸を見つけた道長は、その体を抱き締める。
宣孝が為時を訪れ、兼家の死を告げる。そして本人は筑前守になると上機嫌。こちらの家運も上向く、と言って去った。
流産した明子を見舞う道長。養生いたせ、との言葉。

喪にも服さず荒れる道兼に、妻の繁子は「好いた殿御が出来ました」と娘の尊子を連れて出て行った。
一方摂政となった道隆は、若輩の長男 伊周を蔵人頭に任命。
「全くもって異常!」と憤慨する実資は、次の妻を娶っていた。
道隆は妻 貴子の提案で和歌の会を開く(伊周の伴侶選び)
そこにまひろとききょうも呼ばれるが、ただの引き立て役。
滞りなく会は執り行われた。
後日まひろを訪ねるききょう。宮中で女房として仕えるため夫を捨てると言う。自分のために生きたい。
「あなたに志はないの?」と言われるまひろ。
子に字を教えていると言うまひろだが、教え子の「たね」の父親から「お偉方の慰み者じゃねえ!」と罵られる。
道隆から、現中宮 遵子(円融天皇の正妻)を「皇后」に上げ、現女御の定子を「中宮」にするよう公卿を説得せよと命じられる道長。公卿らは全会一致で「あり得ぬ」
だが数日後、一条天皇の宣言で定子は中宮とされた。
道隆の独裁が、始まった。
第15話「おごれる者たち」
永祚(えいそ)二(990)年。
娘 定子を中宮に立てた道隆は、詮子を別の屋敷に遠ざけた。
道長を訪れ、道兼が居付いてしまったと愚痴る公任。
道兼に意見する道長だが、妻にも娘にも去られて自暴自棄。
摂政の首を取れたら、この世とおさらば出来るとまで言う。
私がお支えします。しっかりなさいませ、と励ます道長。
正暦四(993)年。摂政 道隆の下、道隆は内大臣、伊周は権大納言、道綱、公任は参議となっていた。成長した一条天皇。
実資が道長に、摂政と昵懇の者が六十六人も位を上げたと苦言。
これでは公卿の心は離れる、と心配する実資。
一方まひろの弟惟規の大学入りが叶う。擬文章生(ぎもんじょうしょう)になれれば文章生まであと一歩だと喜ぶ為時。
貴子は女官たちの陰口「この親にしてこの子あり」を聞く。
定子に意見する貴子。中宮の務めは御子を生む事だが、それだけでは足らないと言った。宮中で輝かなければいけない・・
まひろを訪れるききょう。この度定子様の女房として上がる事を伝えに来た。未だに前に進めていない自分を悲しむまひろ。
定子の前に呼ばれたききょうは、その美しさに目を瞠る。
今よりそなたを「清 少納言」と呼ぶと伝える定子。貴子が引き取って、父上の清原姓と夫の少納言をかけたいい名だと言うが、夫とは別れたと言うききょう。また元夫は少納言でもなかった。
だが口にしてみて「素敵な名前でございますわね」と喜ぶ。
諸費用の決裁を確認する道長。「登華殿」の改修費用を公費として認めた道隆に諫言する道長に、細かい事を申すなとの返事。
「お前も弓競べを見て行け」と言う道隆。
一人勝ちの伊周。「皆私に気を使って本気を出さない・・」
道隆から伊周と弓競べをする様言われる道長。
伊周は中心に当てるが道長は外し続け、早々に帰ろうとする。
この先は、願い事を言ってから矢を射ろうと言う伊周。

「我が家より帝が出る」伊周が射た矢は大きく外れた。
叔父上も同様にと言われ、同じ言葉を言って中心を射通す道長。
「我、関白となる」と言って伊周が射た矢は的にも当たらず。
道長が構えて「我、関白に・・」そこで「やめよ!」と道隆。
道隆に弓を返して去る道長。
妾宅の明子と過ごす道長。腹の子が蹴ったと話して笑う明子。
そこに倫子の父 雅信が危篤との知らせ。藤原の世に、十六年間左大臣を務めた源雅信は、七十四歳で他界。
再婚した父の後妻やその子供らのため、居場所がないさわ。
気晴らしに、近江の石山寺へ旅に出たまひろとさわ。
その石山寺で「蜻蛉日記」の作者 寧子に会い感激するまひろ。
「蜻蛉日記」が世に出る事を兼家は喜んだという。
寧子の言葉に道長を思い出すまひろ。正妻を勧める寧子。
そこに出くわした道綱はまひろに一目惚れ(さわは道綱に・・)
まひろに夜這いをかけた道綱だが、それはさわだった。
旅の帰り。私には才気も魅力もないと、さわが川に向かって走ると、そこに死体が浮いていた。
この頃より、都の近辺で疫病が流行り始めていた・・・
第16話「華の影」
さわはまひろを振り切って帰ってしまう。
一人で帰宅したまひろは寧子に言われた様に書きものを始める。
正暦五(994)年。
一条天皇と定子が住む登華殿は、若い者らで賑わっていた。
行成が古今和歌集の写しを帝に献上する。帝に見とれる行成。
外の雪景色を見たことがきっかけで、皆で雪遊びを始めた。
後日、登華殿で帝が笛を吹き、伊周が踊り、楽しんでいた。弟の隆家も促されて一緒に踊る。そんな時に女院となった詮子が訪れ、騒々しい舞いだと苦言する。それに対し伊周は、これこそがお上の望む姿だと言い切る。沈黙の詮子。
その時のことを道長に話す道綱。また石山寺でまひろを見初め、夜這いに失敗した話までした。
まひろは乙丸に託してさわに手紙を送るが、読まず返される。
ある夜内裏で火事が起き、帝と定子が避難した。
心配だと道隆に話す貴子。そこに隆家が女院がやったかも知れぬと悪い冗談を言う。恨みの数だけ輝いているとうそぶく道隆。
公卿たちは疫病対策を進言するが、道隆は黙殺した。
その夜、晴明は部下に門を閉めさせた。「今宵、疫神が通る。都は大変なことになる・・・」
帝が道隆に疫病の事を訊くが、下々の者にしか罹らぬと言い、比叡山に読経を命じているからお任せ下さい、と返した。
一方伊周は齢二十一で内大臣となる。
道兼が伊周に、疫病をどう思うかと訊くが、叔父上は何かなさったのでしょうかと切り返し、何もしないのも悪くないと言った。
かつて文字を教えていたたねがまひろを訪ねて来た。父と母が飛田院(お助け所)に行ったまま帰らないという。
一緒に探しに行ったまひろだが多くの死者、重体の村人がいる。
たねの両親が死んでいた。次いでたねも倒れる。
必死でたねを看病するまひろ。
道長は、道隆に疫病の対策をするよう進言するが、逆に内裏での放火を何とかするのが中宮大夫だと責められる。
実態を知ろうと飛田院に行こうとする道長に「汚れ仕事は俺の役目だ」と道兼が言った。だがそのあとを追って道長も行く。
たねも死んでしまい、他の者を看病をするまひろだが、自身の体もおかしくなってくる。そんなまひろを見つけた道長。

倒れ込むまひろを抱き抱えて家まで連れ帰った道長は、為時も遠ざけて一晩中看病を続けた。「生まれて来た意味は見つかったのか。逝くな、戻って来い!」と声をかけ続ける。
翌朝容態が落ち着き、為時の言葉もあって家を辞した道長。
土御門邸に戻った道長だが、倫子に声もかけず奥へ行った。
明子のところでもなさそう。「もう一人の誰かが居るわ・・・」
第17話「うつろい」
元気を取り戻したまひろ。道長を見た様な気がしていた。家人が話さないので躊躇っていた乙丸が、まひろを抱き抱えて来て一晩中看病してくれたのは道長だったと告げる。
一方「救い小屋」が必要だと道隆に直訴する道長だが、放っておけば収まる、作りたければ自分の財でやれと返す道隆。
道兼と共に自分を追い落とす気かと言われ、憤慨する道長。
定子に、次は女を産んで入内させよと言う道隆。
だが最近お渡りがなく身籠れないと返す定子。
倫子は「救い小屋」を作ろうとしている道長に、私の財もお使い下さいと申し出た(平安時代の夫婦は別会計)
その折りにあの晩どこへおいででした?と訊く倫子に、内裏に戻って朝まで仕事をしていたと言う道長。
まひろの具合が気になる道長は、百舌彦に命じて様子を見に行かせた。それを見つけたまひろだが、百舌彦の話に合わせた。
ききょうと関係を持った斉信だが、その後冷たくされ、なぜ返歌をくれぬのかと迫る。深い仲になったとしてもネチネチ言われるのはイヤ、とはっきり言うききょう。
道隆が倒れた。晴明が見舞った時「目がかすむ、手が痺れる、喉か乾く」との訴えに「それは呪詛ではございませぬ」と言い、
「寿命が尽きようとしております」
お前の祈祷で儂の寿命を延ばせと命じる道隆。
戻って、部下にその仕事を丸投げした晴明。
不調の中、道隆は帝に改元を進言。それは「長徳」
改元を受けた帝を未熟だと言う実資は「心配じゃあ」を連発。
その話を隣の部屋で聞く一条天皇。
道隆の事を「浮かれ過ぎたから罰があたった」と言う詮子は、次はあなたよ、と道兼に言う。「伊周はもっとイヤ・・・」
定子は兄 伊周に、空席となっている「内覧」になるよう勧める。内覧は帝に奏上する文書を事前に読める、関白に準じた職。
病床の道隆に呼ばれる道兼。にじり寄って「もし儂が倒れても皆を支えてやってくれ。酷なことをしないでくれ」と頼む道隆。
まひろを訪れるさわ。今までの非礼を詫びた。貰ってそのまま返した手紙は、全て書き写して残していたと、それを見せる。
自分の書き物が人の心を動かすと知り、思わず筆を取るまひろ。
道隆は帝に、全ての政務を伊周に委ねる事を申し出て、内覧の宣旨を願い出る。即答を渋る帝に「今ここで約束を・・・」
「さがれ」と言い放つ帝。その件について蔵人頭に訊く帝。
ご聡明な判断との見解。「伊周は嫌ってはおらぬが若すぎる」
結局一条天皇は伊周の内覧を許すが、それは関白が病の間だけ。
道隆は断末魔の叫びで帝に迫る。「伊周を関白に・・・」

長徳元年四月十日。藤原道隆は四十三歳で死ぬ。
第18話「岐路」
筑前に赴任していた宣孝が、四年ぶりに為時を訪れる。
宣孝から宋の「科挙」制度が身分を問わず政に参加出来ると聞き驚くまひろ。宣孝から唐ものの紅を貰い、唇に差すまひろ。
道隆が没して十日。実資らの話を陰で聞いた一条天皇は、道兼を関白にすると決めで伊周にそれを告げる。不満の伊周。
右大臣にする故、力になってくれと道長に言う道兼。
だが関白就任の日に倒れる道兼。疫病だと言って、道長を近づけない道兼。「お前が倒れれば家が終わる・・・」
だが苦しむ道兼を抱き止める道長。

七日後、道兼は三五歳で世を去った。
「七日関白とは情けない」と喜ぶ隆家。同調する伊周、貴子。
「仇とはいえ、これで良かったとは思えぬ」と言う為時。
琵琶を弾くまひろ。「あの方の罪も無念も天に消えますように」
大納言以上の公卿は道長、伊周以外は死に絶えた。
道長と倫子を呼び付けて「次はおまえよ」と言う詮子だが、関白になりたいとは思わぬと返す道長。伊周になったら終わり・・・
一方公卿たちを集め、意見を聞くと称して会食を開く伊周。実資は不在。皆さまと帝を繋ぐ架け橋になりたいと話す伊周。
帝の気持ちも伊周に傾いていた。
まひろを訪れたききょうは、菓子を食べさせながら次の関白を巡る内裏の混乱を話す。道長には人気かないと聞くまひろ。
久しぶりに帰った惟規から、唐の白居易が時の為政者を正している新楽府(しんがふ)の事を聞き、読みたいとせがむまひろ。
帝に会いに行った詮子は、帝から伊周を次の関白にすると聞き、何も見えていないと諫める。やりたい放題だった道隆の息子が伊周。帝を支える気持ちがない・・・道長になさいませ。
だが帝は「伊周に決めております」と重ねた。
翌日帝は、伊周ではなく道長に内覧宣旨を下した。
怒った伊周は定子に詰め寄る。「俺は内大臣のままだ!」
こうなったら中宮の役目は、御子を産む事だけだと言う伊周。
まひろに別れを告げに来たさわ。父が肥前守を拝命し、附いて行くという。もう会えないかもと泣くさわ。
一月後、一条天皇は道長を右大臣に任命した。公卿の首座。
道長を土御門で引き受けたのが大当たりだったと笑う穆子と、何が幸いするか分からないと返す倫子。
関白、左大臣がなく、内覧で右大臣なら政権の頂と同じ・・・
右大臣のままでいいと言った道長は只者ではないと言う、明子の兄 源俊賢。「これからは右大臣様一本で行く」
月を見ながらまひろの言葉を思い出した道長は、かつてまひろの逢引きした場所に赴いた。そこにいたまひろ。
「昔の己に会いに来たのね・・・」
「・・・今語る言葉は何もない」
道長の横を通り過ぎて行くまひろ。

第19話「放たれた矢」
一条天皇より右大臣に任命された道長は、関白になりたいかとの問いに陣の定めに出て民と共に考えたく、なりたくないと返す。
まひろは惟規が借りて来た「新楽府」の写本に余念がない。
そこへ肥前に行ったさわから、婿を取ったとの報せが来る。
帝から出た、租税の一部免除を合議にかける道長。実資始め皆が賛同する中、伊周だけが反対するが、道理で押す道長。
父上と道兼叔父を呪詛したのか、と掴みかかろうとする伊周を躱す道長。伊周は無様に倒れた。その話を聞き喜ぶ実資。
これ以降、伊周と弟 隆家は参内をやめた。
除目(人事)で忙しい道長は、行成に内裏の情報を集めさせる。
すぐに成果を出した行成だが、出した紙は読んだらすぐ焼いてくれと頼む。「日記にでも残して下さい」(後の御堂関白記)
参議となり伊周、隆家を訪れる源俊賢は、味方だと言って彼らに参内を促す。それは道長の指図だった。
任官を求める申し文を書く為時。十年も続けている。
ききょうは宋の「科挙」という、身分を越えて人材を登用する制度に興味を持つまひろに対し中宮様に会えるかも、と話す。
それが叶えられ、後宮に上がるまひろ。
中宮に紹介され話そうとした時帝が突然現れ、中宮と奥へ行く。
重いご使命を担っている、と説明するききょう。
しばしの中座のあと、帝もまひろの前に座る。
思うたままを申してみよと言われ、宋の科挙の様な制度を我が国にも整えたいと話すまひろ。新楽府を読んでいる事に驚く帝。
ことばが過ぎると制する中宮。
帝は「そなたの夢、覚えておこう」と話す。
一条殿の、斉信の妹 光子(藤原為光の三女)の元に通う伊周。
その後道長に、身分は低いがまひろという者と話したと言う帝。
あの者がもし男だったら登用してみたいとも話す。
申し文の中から為時のものを見つけ出す道長。淡路守を希望。
だが従六位上では任官出来ない。
突然使者が来て、為時は従五位下の身分が与えられた。
「右大臣様からのご推挙」と話す使者に目を瞠るまひろ。
内裏に上がり、道長に礼を述べる為時は、あの時助けてもらった娘も息災ですと加えた。「仕事に励んでください」と道長。
長徳二(996)年。ある晩、一条殿に立派な牛車があるのを見て、他の男が来ていると落胆し戻る伊周。
それを聞いた隆家は、相手を確かめようと屋敷に出掛け、出て来た頭巾の男近くに矢を射掛けて脅す。

これが「長徳の変」
第20話「望みの先に」
逃げる伊周と隆家。院は無事だったが従者が二名死んだ。
院は実は光子ではなく亡き女御 忯子の妹である儼子(たけこ:為光の四女)の許に通っていたのだった。院を介抱する斉信。
その事を道長に報告する斉信は「伊周と隆家は終わりだな」
翌日その事実を帝に報告する実資。綱紀粛正の折りに起きたことで怒る帝は二人の謹慎と、中宮が身内に会う事も一切禁じた。

二条殿に出向き伊周、隆家への謹慎を申しつける斉信。
除目で実資が、為時の淡路守就任を奏上。認める帝。
国司に任官出来た事を喜ぶ為時。まひろもついて行く事になる。
詮子、道長を訪れ越前守就任のお礼をする源国盛。道長に断られた詮子が、除目の前に帝に頼んでおいたという。
申し文をを代筆してもらったと言う国盛にあきれる道長と詮子。
宣孝から、為時が若い頃宋に船で渡ろうとした事を聞き、父こそ越前守が適任と考えるまひろ。除目のあとでも決定を変えらsれる機会があると話す宣孝。父の名で新たな申し文を書くまひろ。
上がって来た申し文の山に取り組む道長は、その中に為時の名を見つける。もらっていた漢文の筆跡から、それを書いたのがまひろだと確信した。一方詮子が具合を悪くして臥せっていた。
帝に為時の申し文を奏上する道長。
真意を訊く帝に「為時は漢籍に詳しく宋の言葉を解する。源国盛に越前を任せるのは心もとない」と説明する道長。
使者からの、越前守就任の報せを受けた為時は、まひろに問い質す。今までの背景にあるのは全て右大臣の道長様。
何も知らずに越前には行けぬ。真のことを聞かせてくれ。
道長様は私がかつて恋焦がれていた人。遠くへ行こうと語り合ったこともあった。されど、全て遠い昔の事。
胸をはって赴かれませと言うまひろ。
詮子の病状は良くならず、悪しき気が漂っていると屋敷内を調べさせる倫子。部屋のあちこちから呪詛の札が発見された。
驚く道長に、この件は私にお任せを、と言う倫子。
内裏で帝に報告する実資。伊周が祖父 高階成忠に命じて女院と右大臣を呪詛した。帝は伊周らを厳罰に処するよう命じた。
定子もそれに伴い内裏を出て実家の二条北宮に移った。
道長に助けを乞う伊周。矢を放った弟の責めは負うが、呪詛はしていないと訴える。されど決めるのは帝だと冷静な道長。
処分が決まった。死罪は免れ「遠流」伊周は大宰府、隆家は出雲。それに伴い道綱は中納言、斉信は参議に昇格。
部下を引き連れて屋敷に入る実資。
隆家は出頭したが、伊周は逃げ回り姿を消す。
その折りに中宮が、部下から刀を奪って自分の髪を切った。







