NHKスペシャル〜鍼灸・漢方薬の新たな世界〜 5/19放送 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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NHKスペシャル
東洋医学を“科学”する
〜鍼灸(しんきゅう)・漢方薬の新たな世界〜 5/19放送



感想

耳や体のツボは、ある程度知っていて時々活用している。

愛用の本は昭和54年「わたしの健康」別冊

「耳のツボで健康になる」

だが、その詳細メカニズムについては勿論知らなかった。

足三里への刺激が、いったん脳に入ってから迷走神経経由で各臓器に指令されるなんて、全く驚くしかない。

内容

世界で報告されている鍼・灸レポートはこの20年で6倍以上。

 

富永愛。目標は「生涯現役」注目しているのは鍼灸。
肺炎患者に鍼を打つ(シール状)ツボへの刺激。

救急医療でも。世界でも注目されている(論文数6倍)



鍼灸師・安野富美子を訪ねる富永。首、肩コリを訴える。
肩だけでなく体全体をチェック。足が冷たい。
冷えを改善するツボ「三陰交」にお灸をすえる→温かくなった。

症状と関係ない場所に施して効果が出る。

南アフリカでお灸による治療実施(日本の鍼灸師が普及活動)
「足三里」へのお灸→体質改善、長寿、不眠・倦怠感の改善。
なぜ足三里か?解き明かした研究者がいる。
メキシコ ロサス教授。きっかけは敗血症。
敗血症は免疫細胞が暴走し血管・臓器を破壊。1/3が死に至る。
足三里は動物の足でも確認されている。

敗血症のマウス40匹を2グループに分け、片方の足三里に鍼を打ったら、その半数が生き残り、打たなかった方は全て死んだ。

足三里には炎症を抑え、組織を修復する効果が確認された。
足三里→神経から脊髄→脳に行き、更に迷走神経を通って各臓器に伝わる。最終的に副腎に行きドーパミンを放出

→免疫細胞の暴走を抑制。炎症が収まる。

足三里への灸も過剰な炎症反応を抑える効果がある。
鍼・灸は「東洋の神秘」ではなく科学的裏付けを持つ治療法。

心身一如」の考え方。体の不調は心の不調に(その逆も)
大切なのは心と体のつながり→科学的メカニズムの解明。
慢性痛の改善。痛みは脳で感じる。慢性痛は脳が過剰に反応。


イギリスにおけるうつ病治療。「合谷、内関、百会」への刺激。


750人のうつ病患者で検証→効果あり


数千年前から続いている東洋医学。今、アメリカで導入が進む。
背景はオピオイド鎮痛薬の乱用。中毒患者続出(死者数万人)


米軍でも耳ツボへの鍼治療が行われている。


災害地での医療支援にも使われる(ハイチ大地震(2010))
日本でもCOPD(慢性閉塞性肺疾患)治療に使われる。

漢方薬の最前線
詳しいメカニズムが分かっていない。
漢方専門医 今津嘉宏。
まず富永の舌を見た(舌診)ややむくみあり(水バランス悪い)
次いで腹診。軟便気味と判定。気の異常。
漢方では「気」「血」「水」で見極める。


処方されたのは「半夏白朮天麻湯
半夏ー胃腸。白朮ー水バランス、天麻ーめまい

漢方薬の効果に腸内細菌が関わっている事が判明。
横山幸浩 博士(名古屋大学医学部)
外科でも漢方薬が使われる。例えば胆管がん(胆管が詰まる)


黄疸の数値が下がらないと手術出来ない
茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)で下げてから手術。
この薬の効果が、人によって大きくバラつく。
注目したのが腸内細菌。
成分:インチンコウ、ダイオウ、サンシシ


サンシシに含まれる「ジェニポシド」が薬効の中心。
腸内細菌が酵素を出し、糖が外れて「ジェニピン」となる。


これが薬効成分。腸内細菌が少ない人は効果が出難い。


腸内細菌の関与か高い生薬:甘草、人参、柴胡など

新たな免疫システムの存在
佐藤尚子 博士(理化学研究所)
第建中湯(カンキョウ、ニンジン、サンショウ、コウイ)
便秘等に良く処方される。
免疫に対する作用が分かっていなかった。
腸炎のマウスへの投与→5日で改善した。改善の経緯を調査。
新たな免疫システムが明らかになる。
新しい免疫細胞→3型自然リンパ球


腸の粘膜バリア維持に深く関わっている。
漢方薬成分に腸内細菌が取り付いて分解する時にプロピオン酸という代謝物を出す→免疫細胞(3型自然リンパ球)に到達。
それがシグナルとなってバリア機能を高めるメッセージを出す。


→バリア機能高まり腸を炎症から守る。

それが「医食同源」食事で体を治す(食事が健康に直結)
養生の大切さ(病気になる前のセルフケア)
未病(病気になる前の状態)で留める。

養生を科学の力で実現
村上正晃 教授(北海道大学)
鍼灸治療のメカニズム→ニューロモデュレーション(電気・磁気等で神経を刺激して働きを調整する治療法)


微弱な電気刺激で微小な炎症(病気のタメ)を防ぐ。
近年心理ストレス、光刺激等で微小な炎症が発生すると判明。
→ゲートウェイ反射
血管が刺激を受けてゲートが開く様にスキマを作る→そこから病原性T細胞が漏れ出る(微小な炎症の元になる)


関節リウマチ、動脈硬化、糖尿病、認知症まで、ちいさな炎症が原因であると判明。
鍼の代わりに微弱電流を使い耳のツボを刺激。
→taVNS(経皮的耳介迷走神経刺激)

耳から繋がる迷走神経を刺激→脾臓に到達
放出された神経伝達物質が免疫細胞に作用して炎症を抑制。
病気にさせない治療法の開発。
2023/11月。北海道大学で臨床研究スタート。
間質性肺炎を耳のツボ刺激で改善する。

東洋医学に秘められた大きな可能性
 

 

 

オマケ

例年行事としてニンニクを収穫した。

昨年よりは少し大きくなった(肥料を変えた効果か?)