監督・脚本・原作 新海誠 上映時間：114分
音楽 RADWIMPS
興行収入 142億円
キャスト
森嶋帆高 - 醍醐虎汰朗
天野陽菜 - 森七菜
須賀圭介 - 小栗旬
夏美 - 本田翼
天野凪（陽菜の弟） - 吉柳咲良
安井刑事 - 平泉成
高井刑事 - 梶裕貴
立花冨美（瀧の祖母） - 倍賞千恵子
立花瀧 - 神木隆之介
宮水三葉 - 上白石萌音
予告編
感想
「君の名は」や「雲のむこう、約束の場所」などでかなり気になった監督だったので、比較的早い時期に視聴した。
離島の息苦しさから家出した少年帆高が、東京暮らしに奮闘しているうちに「100%の晴れ」を保証出来る陽菜と知り合い、様々なサプライズ、事件を起こして行く。
新海誠氏に対する期待が高まった上での視聴だったが、いざ観てしまうと「こんなもんか」という失望も少し味わった。
少年少女の奮闘物語として良く描けている、確かに。
フェリーで知り合った須賀の事務所に転がり込み、住み込みで働き始める流れも自然。
ただ、母親に死なれた陽菜が、弟を抱えて（中学生で！）生活を支えている事は相当不自然。
それから、ドラマの中に本物の銃を持ち込んだ事は、果たしてどうだったか？
話にインパクトを与える点のみでのアイデアだったら、演ずるのが中高生という事に鑑み、別の手を考えるべきだったろう。
一番つまんないと感じたのは、雨が降り続く事、陽菜の能力、それらが単に超自然の出来事として片付けられ、何の説明もされずファンタジーとしてだけに終わっている事。
天気の巫女は人柱、にも失望。
Zeldaさんの言う様に、ちょっとイベントを晴れにしたぐらいで人柱にされるのはオカシイわな。
例えば、母親のために晴れを願う裏に、とんでもない秘密があったとか等があればまだしも・・・
気象って言ったらもう、とてつもない社会問題だろう。
それに手をつけるという覚悟もないまま、こんなファンタジー作って、ボーッと生きてんじゃないよ！（チコ５歳）
気象モノのＳＦファンタジーとしては「ペンギン・ハイウェイ」の方がまだ好ましい。
「君の名は。」では彗星落下の事故を回避するために三年の時差を利用、「雲のむこう、約束の場所」では並行宇宙の解析と、眠り続ける少女との関連を追っている。
今回も、大胆な仮説を組み立て、異常気象の裏に隠れる地球的、宇宙的な事変を暴くとか、ＳＦ的な「なにか」が欲しかった。
それからクライマックスで、片方手錠を掛けられた状態で逃げ出した帆高が、雲の上の陽菜に会えたものの、そこから先もずっと手錠がついたまま。
要するにファンタジーに、無粋なものがまとわりついている。
手錠は現実の象徴。先に言ったＳＦ的バックボーンがあったのなら現実を意識させるのはいい。
ただのファンタジーなんだから、それに徹するべき。
これが監督の意図だとしたら、ちょっとズレているか、ヒットを飛ばし続けている驕りにも感じられる。
ここに来て「新海熱」がちょっと醒めた。
ツッコミどころ
事務所で須賀が飲んでいるバーボンが「メーカーズマーク」
小栗旬がＣＭやってる関係で採用してるんなら興醒めだな・・・
悪い酒ではないが、こーゆー時はジャックダニエルが飲みたい。
「君の名は。」のメンツがサプライズ出演する必要がどこにある？（このあざとさは不快）
ざっくりあらすじ（詳細はこちら）
故郷の離島から家出してフェリーに乗った高校生・森嶋帆高。
仕事はなく所持金も乏しくなる中、偶然銃を手に入れてしまう。
バーガー店のバイトの少女に優しくされる帆高。
フェリーで知り合ったライターの須賀の事務所に転がり込み、仕事を始める帆高。
ある日、バーガー店員だった少女が絡まれているのを助ける帆高。緊急事態で銃を撃つが、そこを脱出した後、その少女陽菜に非難され落ち込む。
そんな帆高を陽菜廃ビルの屋上へ導き、祠のある場所で祈りを捧げると、雨模様だったのが、ビル周辺だけ晴れる。
ネットでの「晴れ女」ビジネスを帆高が提案し、それは陽菜の弟・凪も巻き込み次第にうまく回って行く。
だが次第に有名になるにつれ、仕事が集中しすぎて中断する事に。
須賀と、アシスタントをしている姪の夏美が、ある神社で「天気の巫女」の話を仕入れる。巫女は人柱。
ある日帆高は、陽菜が突然上空に舞い、雫に包まれる光景を見る。陽菜の身体が少し透けているのに驚く帆高。
晴れ女になったいきさつを話す陽菜。廃ビル屋上に日が射すのを見て、そこまで行き、祈ったのがきっかけ。
それは病気の母親を力付けるため。
銃を持った姿が防犯カメラに映っていた事で、警察から追われる立場になった帆高。また陽菜も、未成年で弟と暮らしている事がばれ、三人でアパートを逃げ出す。
自分のところにまで警察が来たため、須賀は訪ねて来た帆高に金を渡して「家に帰れ」
街をさまよう帆高たち三人。東京は大雨の異常気象で、雪まで降り始めた。
須賀から貰った金で何とかラブホテルに入れた帆高たち。ささやかなパーティ。
夏美から人柱の話を聞かされていた陽菜は、その話を帆高にもした。
翌朝目覚めると陽菜がいない。
そこに警察が踏み込み、帆高と凪が確保された。
外は何ヶ月振りかの晴天。陽菜が人柱にされた事に気付く帆高。
スキを見て警察から脱出する帆高。
あの廃ビルの社に行けば何とかなる。
夏美がバイクでその脱出を助ける。
廃ビルまで来た時、待っていたのは須賀。諦めろと説得する須賀に、かつてそこに捨てた銃を取って構える帆高。
だがそこに警察が乗り込む。
陽菜を救えると信じている帆高に肩入れして、警察を抑え込む須賀。屋上まで走った帆高は、神社の鳥居をくぐった。
帆高の体は遥か上空に飛ばされ、雲の上の草原に居た陽菜と再会。手を取り合って上空から次第に舞い降りる二人。
そして社の前で気を失っている二人に降り注ぐ雨。
三年が経ち、保護観察処分だった帆高は卒業。再び東京に行く。
この三年間東京には雨が降り続け、市街は水没。
陽菜を取り戻した事で変わってしまった世界。
そして陽菜に会いに行く帆高。元々は海だった。
だからこの世界がそうなのは、誰のせいでもない・・・・
だがそれを思い直す帆高。
違う、やっぱり違う。確かにあの時僕たちは世界を変えたんだ。
僕は選んだんだ、あの人を。
この世界を、ここで生きて行くことを。
陽菜さん！ 帆高！
「陽菜さん、ボクたちは、きっと 大丈夫」