第二ファウンデーション (銀河帝国興亡史③)発表:1953年 アイザック・アシモフ | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

シリーズ全体(⑥、⑦は①の前日譚)

ファウンデーション
ファウンデーション対帝国
第二ファウンデーション

ファウンデーションの彼方へ

ファウンデーションと地球

ファウンデーションへの序曲

ファウンデーションの誕生

 

 

 

「ファウンデーション」「ファウンデーション対帝国」まとめ
何万年も持続した第一銀河帝国。その中にあって、帝国の衰退を予見したのがハリ・セルダン。
その根拠となる心理歴史学。帝国の滅亡後、勃興まで三万年かかるところを一千年で回復させるため、銀河系の両端に設置された二つのファウンデーション。
第一ファウンデーションの最初の三百年が先の二冊で語られた。

 

卓越した科学を利用して周囲を併合しながら拡大するも、ただ一人の突然変異体ミュールにより破れた第一ファウンデーション。
未だ見つからない第二ファウンデーション。銀河全体を征服しようとするミュールと、第一ファウンデーションとの、探索を巡る戦いが始まる。


超あらすじ
第一部 ミュールによる探索
ミュールの指示により、第二ファウンデーション探索の旅に出るハン・プリッチャ-中将とベイル・チャニス。
チャニスが拡大映像モニター<レンズ>により、自身が考える第二ファウンデーション「タゼンダ」に向かって船を進める。
船の追跡装置「ハイパートレイサー」を見つけるチャニスだが、そのまま戻す。
タゼンダの周辺星「ロッサム」で住民とコンタクトを取る二人。その星の総督と話をするが、会見は不調に終わる。
チャニスがここまで何の迷いもなく到達した事に不審を抱き、銃を向けるプリッチャー。
チャニスがハイパートレイサーの話をする。プリッチャーはミュールが仕掛けたものと考えていたが、チャニスは第二ファウンデーション員が取付けたものだと攪乱。
そこに到着したミュール。装置は彼が取り付けたもの。ミュールは最初からチャニスを疑っていた。
時間かせぎをして応援を待つチャニスだったが、ミュールは艦隊を引き連れており、タゼンダを総攻撃した。その上チャニスの深層心理を暴いて、本当の第二ファウンデーションがロッサムである事を知る。

そこに現れる第二ファウンデーションの第一発言者。チャニスの情報はニセモノであり、ロッサムは第二ファウンデーションではない。ミュールの艦隊は第二ファウンデーション員により転向を解かれていた。
感情のスキを突いてミュールの心を改変させた第一発言者。

 

第二部 ファウンデーションによる探索
第二ファウンデーションの位置を探索するために、ダレル博士を含む五人のメンバーが結集。
カルガンの、ミュールが治めていた時の宮殿に秘密を求めて、ホマー・マンが送り込まれるが、その船に密航したダレルの娘「アーカディア」
カルガン君主へのとりなしにカリア夫人、アーカディアが貢献するが、勘違いをさせて、君主はファウンデーションへの宣戦布告を準備。
君主の望む情報が出ないため危機に陥るマン。

アーカディアも危なかったが、カリア夫人が逃がす。
空港でプリーム・パルヴァー夫妻に助けられ、トランターまで逃げ延びるアーカディア。

カルガンとファウンデーションとの戦争が始まる。

勝利を信じ込む君主。
六ヶ月かかった戦争は、君主側の敗北で終わった。

ホマー・マン派遣の総括で再び集まる五人。第二ファウンデーションの位置を巡って議論が交錯。
ダレル博士が「精神空電装置」を使ってペレアス・アンソーアが第二ファウンデーション員である事を暴いた。第二ファウンデーションの位置は、このターミナスだと話すダレル。彼らは五十名程度で、この装置により根絶が可能。
ダレルが危惧したアーカディアへの脳コントロール。

だが彼女は影響されていなかった。

本当の真相
ターミナスを第二ファウンデーションとして、メンバーを全滅させる事自体が偽装。
アーカディアは生まれた時にコントロールを受けており、痕跡が残らない。

セルダン・プランでは第一ファウンデーション員には絶対に第二ファウンデーション員の存在を隠さなくてはならない。
トランターで銀河を見つめる第一発言者プリーム・パルヴァー。

 

文庫第一期

文庫第二期

 

アーカディアのイメージ


年表
ファウンデーション紀元による整理(番号は巻数)
①  0年 ターミナスへの移住
① 50年 ハーディンの無血クーデター。近隣四ケ国との共栄
① 80年 アナクレオン叛乱を経ての支配。他国への統治拡大
①160年 貿易商人による統治(ホバー・マロウ)コレル共和国支配
②200年 ベル・リオーズの台頭と逮捕
②310年 ミュールによるファウンデーション危機
③315年 ミュールによる探索
③376年 ファウンデーションによる探索


感想
ミュールが、ベイタにより正体を暴かれて以降行った、第二ファウンデーション探索の顛末を語るのが第一部。
チャニスが、宇宙に出る前にタゼンダにターゲットを合わせて出航するのは、いくら何でも判り易すぎた。もう少し寄り道しても良かったか。
ロッサムへの寄港についてもやや不満。本丸はタゼンダなんだから、どうしてそっちの方向へ話が行かないのか。

そんな訳で、第一部についてはあまり意外性がなかった。

第二部は、ファウンデーションにおける第二ファウンデーションの探索。
ファウンデーションは、ミュールが骨抜きにされ、その後死んでからは、支配されたと言っても各君主の世襲、選挙等で緩やかに元々のファウンデーションに戻って行った。

探索については、エブリング・ミスを射殺したベイタの息子である、ダレル博士がキーマン。
ミュールが治めていたカルガンに秘密があるという前提で、ホマー・マンを送り込んだのに、要するに君主にファウンデーション征服の野望を持たせ、戦争へ飛び込ませただけ。

ただ戦争が終わり、五人の会合でもアンソーアが、第二ファウンデーションをカルガンだと主張したのには、やや微笑。
アンソーアが第二ファウンデーション員だと暴いて、残ったメンバー殲滅の道筋を付けたダレル。
だがその下にもう一枚あったというのには驚いた。
生まれた時からコントロールされていたアーカディア。

ここまで来ると、第二ファウンデーション員の冷血さが際立つ。

 

アシモフの「ファウンデーション」シリーズは、ここで一応完結したが、それから約30年経って続編が作られた。

 

 

あらすじ
第一部 ミュールによる探索

1 二人の男とミュール
ミュールが五年かけて手に入れたファウンデーションを含むある領域。その拡張を停止し、五年かけて強化した。

そして構築された<連邦>。ミュールの堅実な支配の下の平和。
過去の指導者は去り、有能な転向者がその運営を担った。最も役に立ったのはハン・プリッチャ-中将。
ミュールに招聘されて向かうところ。

一方、ベイル・チャニスという男が居る。非転向者。まだ二十代でハンサム。第二ファウンデーションを恐れず、ミュールも恐れていなかった。
チャニスもミュールの招聘を受けていた。

首都は、征服したファウンデーションより近いカルガンに設定している。
ミュールと面会するプリッチャー。特異な体型のミュール。
この五年間、第二ファウンデーションを探し続けて来たミュール。もう三十二歳。精神はともかく、肉体は弱っている。
プリッチャーの報告に落胆した、とミュール。第二ファウンデーションなど存在しないと断ずるプリッチャーに、エブリング・ミスがあと一分長く生きていれば知る事が出来たと言うミュール。
言い合っても結論のない話。

 

戦術を変えると言うミュール。ベイル・チャニスという若い男とプリッチャーと共同での探索を指示。
非転向者である点にこだわるプリッチャー。

非転向者としての探索への利点を説くミュール。
だが完全に信用出来ないから君が必要、と言われて納得するプリッチャー。

 

プリッチャーを帰し、次いでチャニスと会談するミュール。
指令を受けて、第二ファウンデーションの存在を信じていると言うチャニス。その方が、物事が面白くなる。
プリッチャーの否定に対し、自分の精神が微妙に干渉を受けている事を話すミュール。
それは別のミュータントの仕業では?と聞くチャニスを否定するミュール。チャニスの心にある、過度の報酬の希望を覚って、軽い精神攻撃を加えるミュール。耐えがたい衝撃。

第一の幕間劇

第二ファウンデーションにおける行政評議会。談話の必要がないコミュニケーション。
ミュールが拡大路線を止めた理由への言及。心理学者が我々の位置を告げる直前に殺された事件。それに介在する若い女性。
第一発言者の声。
ミュールに対する脅威をオーソドックスでない方法で防いでいる事が、セルダンの歴史計画全体を損なっている。だからミュールが我々を見つけるのを放置しなくてはならない。

 

2 ミュール抜きの二人の男
プリッチャーとチャニスが宇宙船で出掛けようとする時、ミュールがトランターへ戻ると言った。プリッチャーは「出し殻だ」と言って不賛成。

宇宙船の操縦室。チャニスがプリッチャーのノートを読んで興奮していた。第二ファウンデーション探索の経緯を記したもの。

チャニスの言う「精神学の技術によって支配しているが、科学的には遅れている世界」に叶う場所として「タゼンダ」の可能性。

第二ファウンデーションが「世界の果て(Starsend)」とも言われている。Tazendaとの語感の類似。
<レンズ>での確認を提案するチャニス。銀河系内の拡大映像モニター。超空間を疾走する感覚。星雲の裂け目の小さな口を拡大した先にたった一つの星が光っていた。

突然ある事に気付いたプリッチャー。船が既に宇宙へ飛び出していた。<レンズ>の視野を拡大している時に発進したので気付かれなかった。
本来なら三日後に出発する筈だったのを早めた。チャニスは第二ファウンデーションのスパイの可能性を危惧していた。

ハクスラニ機関長が通信回路から見つけた部品を見るチャニス。ハイパートレイサー(追跡装置)。それを元の位置に戻すよう指示して「この件は忘れろ」と言うチャニス。

<レンズ>はハイパースペース航法のためには必須の設備。何度かのジャンプで、タゼンダにはあと一回で到着するところまで近づいた。
チャニスの目を盗んでハイパートレイサーの点検をするプリッチャー。

第二の幕間劇
何かの到来を伝える非公式の会合。

 

3 二人の男と一人の農夫
タゼンダの支配を受けている星ロッサム。寒冷で痩せた土地。タゼンダからの徴税を受けている。

ジェントリ村にはタゼンダ人の駐屯所がある。
そんな星に小型船で降り立ったプリッチャーとチャニス。

村人から聞くこの周辺の状況。まずは長老との顔合せ。

第三の幕間劇
ミュールの部下は、計画通りに反応しつつあった。

 

4 二人の男と長老たち
長老たちとの面会。形式的な挨拶の後、俄然打ち解けて質問責めをされる。質問で丁寧に答えるプリッチャーだが、チャニスがタゼンダの事について教えて欲しいと言ったとたん黙り込む。
どうにかプリッチャーがとりなして、今までの時代についての話を少し聞けた。
プリッチャーが長老に、あなたがたの総督に会わせて欲しいと言うと、明日ここに来るという。そして一週間も前から予期していたとも。
翌日ロッセムの総督がやって来た。精神操作を恐れて緊張するプリッチャー。
食事が終わり、総督が、あなたがたの船について、点検修理の手配をしたいが見つからないと言う。
母船は宇宙に残してある、とプリッチャー。だが納得しない総督。
貿易関係の話をタゼンダと行いたいという話に理解を示すも、総督は船の点検に固執した。
プリッチャーはそれを拒否し、総督との会見は終わった。

 

5 一人の男とミュール
総督との会見結果について話し合うプリッチャーとチャニス。

もし彼が第二ファウンデーション員だったとしたら、という仮定の話を続ける二人。
プリッチャーがチャニスに原子銃を向ける。チャニスがいかにも容易に第二ファウンデーションを見つけた事があり得ない偶然。
動じないチャニスは、通信回路に取り付けたハイパートレイサーの話を始める。
プリッチャーが干渉を受けていると指摘。ハイパートレイサーを誰が取り付けたかはプリッチャー自身見ていない。

ミュールがやったとの推定。
あの部品は第二ファウンデーション員が取り付けたものだとの示唆。自分に自信がなくなって来るプリッチャー。

プリッチャーがチャニスに原子銃を渡しそうになった時、後ろのドアが開いた。
「その銃は持っていたまえ」ミュールだった。ハイパートレイサーはミュールが取り付けたもの。
ミュールはチャニスを第二ファウンデーション員だと断じた。

非転向者で物事の中心に近い。該当する人間は多くない。その中で君は成功しすぎた。
そしてこの指令に与えミュールが精神操作をした時、一瞬抵抗を見せた。今まで一瞬でもミュールに抵抗出来た者はいなかった。

ミュールがチャニスを撃とうとした瞬間、チャニスの感情的潜在力が盛り上がり、引き金を止めた。
そしてプリッチャーが急変し、憎悪の顔をミュールに向けた。
チャニスがプリッチャーの転向工作を解除していた。かつてミュールを殺そうとしていた五年前のプリッチャー。ミュールは諦めて銃を捨て、部屋の端に蹴った。

 

6 一人の男、ミュール--そしてもう一人の男
対峙するミュールとチャニス。互いに感情の攻撃が出来る者。

チャニスは自分が負ける事を知った。
時間かせぎをするため、チャニスは饒舌になった。
チャニスはおとり。ミュールが後を追って来た時、仲間に始末させる計画。そのための時間かせぎ。
だがミュールは大艦隊をタゼンダに向けて発進させていた。

今ごろタゼンダは廃墟になっている。
更に精神攻撃をかけるミュール。タゼンダが破壊されたと聞いても、チャニスの絶望は見せかけ。
ミュールが容赦なく相手の感情を掻きむしった。
タゼンダは看板、ロッセムこそ、その世界・・・・崩れ折れるチャニス。

タゼンダの後でロッサムを始末すればよい・・・勝利をおさめて笑うミュール。

ドアが開いて、そこに第一発言者の姿があった。

彼の精神的影響力が届き、安堵するチャニス。
五年前、ミュールの将来について計算を誤ったのが第一発言者。

そして今回、ミュールの攻撃も予測していた。
ミュールや第一発言者の持つ感情コンタクトは、人間の脳に含まれているもの。だが言語の発達と共に退化した。
第二ファウンデーションでは、それを回復させた。

教育によってそれを引き出し、鍛錬した。

ロッセムも全滅する話を第一発言者にするミュール。

チャニスが、つい十分前に精神攻撃でそれを引き出された事を話す。動じない第一発言者。三年間、第二ファウンデーションはタゼンダで見せかけを作り上げ、君を待っていた。
チャニスは、ロッサムの記憶も含め、全てを信じてこのミッションに送り込まれた。
そしてミュールの派遣した艦隊へは第二ファウンデーション員らが多数向かっており、転向を解く。再転向は不可能。
ミュールが絶望感で心を開いた瞬間、第一発言者はその心に入り、彼の心を変化させた。
平和愛好家となったミュール。だが肉体のハンデのため、あと数年の命。

最後の幕間劇
ベッドで寛ぐベイル・チャニス。失語症になっていた。
回復の期間を過ぎて言葉を取り戻したチャニス。

第一発言者が付き添う。
「今は第二ファウンデーションはどこにあるか知っているかね?」頷くチャニス。

 

 

第二部 ファウンデーションによる探索

 

7 アーカディア
アーカディア・ダレル。十四歳の少女。音声転写機を使って学校の課題である「セルダン・プランの将来」についての口述を行っている。
アーカディアは、かつてミュールの正体を暴き、第二ファウンデーションの位置が明らかになるのを阻止したベイタ・ダレルの孫。周知の事実だが、この部分の表現に苦慮するアーカディア。

そんな時に窓の外の男と目が合う。窓を開けると三十歳ぐらいの大人。ダレル博士の家だろ?と聞く男。入ってもだめ、逃げてもだめと難題を出すアーカディア。
許可を受けて窓から入った男はペレアス・アンソーアと名乗った。

ここ最近の様子から、父親が彼を待っていたと推理するアーカディア。
床をどすん、どすんと蹴ると、父親が飛んで来た。アンソーアとは初対面だが、彼からの手紙を受け取っていた。
訪問の目的について「第二ファウンデーションよ」とあてずっぽうに言うと、しばらく沈黙。不安がよぎる。

 

8 セルダン・プラン
セルダン・プランが完全に保管されている--ある部屋。

その部屋の中に第二ファウンデーションが存在している。
その部屋に居る第一発言者。プラン監視者としては十二代目。

彼の前任者がミュールを打ち破った。その影響は消えず二十五年間に亘って軌道修正の努力を続けている。
そこを訪れる「学生」。会話は精神的なもの。

その学生は優秀なるが故に、発言者の見習いとして選ばれた。
発言者になる事の困難さを説く第一発言者。
学生の前に出される基本輻射体。セルダン・プランの全体を壁面に投射する装置。彼が学んで来た部分が拡大して提示され、それについての説明を求められる。
だが、このプランは完成されたものではなく、点検し組み立て直されて来た。発言者となる前に、プランに対して独創的な貢献をする必要があると言う第一発言者。
第一発言者の提示する課題。約半世紀前、プランに現れた分岐。その時期に現れ、約十年に亘ってプランを捻じ曲げた「ミュール」。

その対応のために、第二ファウンデーションの存在が第一ファウンデーションに知られてしまった。
この時点でセルダン・プランの成功率は21.4.%。

課題を共有する学生。

 

9 陰謀者たち
ダレル博士とペレアス・アンソーアとの交際は世間の注目を集める事なく続いた。
一方アーカディアは、その方面に技術のある友人から盗聴器のプレゼントを受け、その事を相手が忘れる程度の期間のつきあいを経て、疎遠になって行った。

ダレル博士を含め、家に集まった五人。ダレル博士、ペレアス・アンソーアの他に放映記者のジョウル・ターバー、物理学のエルヴェット・セミック博士と図書館員のホマー・マン。
ダレル博士の言葉。秘密の集まりではない事を強調。

敵の注意を引けば一巻の終わり。その話を盗聴するアーカディア。

アンソーアが紹介される。ダレル博士の同僚で、昨年死んだ電子神経学者のクライゼに師事していた。
話を始める前に、皆の脳波データが必要だと言うアンソーア。

彼のデータは既にダレル博士が持っている。実験室で皆のデータが採取される。全員が終わった時、アーカディアのものも必要だと言う。

呼ばれて電極を付けられ、同じ測定を受け、また戻るアーカディア。

次にアンソーアが数十枚の記録を皆に見せる。前頭葉から出るタウ波の中にあるプラトー状の部分。

この被験者は下級職員、心理学者、産業資本家等、様々な業種。
ダレル博士の所見では、激烈な脳外科手術を受けた印象。脳の何かが切除された形跡(肉体的でなく)。ミュールもしくは第二ファウンデーションの者だったらこうなるだろう。
アンソーアはクライゼの下で研究を続けるうちにこれを知った。
人工的な精神状態、干渉を受けていると言うダレル博士。かつてクライゼ博士と一緒に研究していたが、途中で手を引いた。

先にアンソーアが行った検査はこれのチェック。
考えられる脅威は、第二ファウンデーションの浸透。
この浸透の度合いは不明。

第二ファウンデーションの情報がもっと必要。
ミュールは、支配の最初の五年間、その情報を求め続けたが、急に探索をやめた。その秘密を知るには、ミュールの首都だったカルガンにある、ミュールの宮殿を調べる必要がある。
アンソーアが、ホマー・マンに向き合う。図書館員であるマンは従来からミュール関係の資料集めをしており、宮殿に入る申請を出しても何の不自然もない。気の進まないマン。

 

10 迫りくる危機
第二ファウンデーションでの二週間が過ぎ、再び呼ばれた学生。
学生の分析。第二ファウンデーションの存在を知った第一ファウンデーションの者の対応は、目的を持って歩く事の放棄、退行が考えられる。
もう一つの危惧は、彼らが心理学者になろうとする事。
それは実際に起こっている・・・・と第一発言者。低い確率だが、プランの歴史上初めて一個人の行動がそれを破壊する事が可能。

解決策も進めつつある。
その危機回避の成否が判るのは一年以内。

 

11 密航者
一ケ月ほど経ち、小型宇宙クルーザー「ユニマラ」号でターミナスから出航するホマー・マン。

与えられたミッションを行うため、カルガンに向かう。
ダレル博士の家で起きている事件。アーカディアの家出。

至急アンソーアを呼び寄せるダレル博士。
取り乱すアンソーアに、置き土産の盗聴器を見せるダレル。

アーカディアは彼らの会話の一員だった。
マンは彼の二十年来の友人。姪を連れての旅行となれば、スパイを疑う者はいない。

ユニマラ号の中でのアーカディア。何度かのハイパージャンプの後、マンに見つかった。度を失うマン。
冷静に状況を説明するアーカディア。

盗聴器で彼らの話を全部知っていると聞いてがく然とする。
次いで父からのメッセージ「楽しんでいらっしゃい」。
それ以降の船内で、アーカディアのおしゃべりに救われるマン。
船は、次のハイパースペースだけを残すのみとなった。

 

12 君主
カルガンの歴史。最初は銀河系の娯楽施設として栄えた。だがミュールが来ると、その娯楽に無感覚な対応のため、カルガンは没落。
ミュールの死後、それが回復する事はなく、ファウンデーションも離脱した。
今のカルガン君主はステッティン卿。やり手で御しがたい人物。
君主と、妻のカリア夫人、第一大臣のレヴ・メイルスとの会話。
ファウンデーションへの攻撃を検討している君主に対し反対するカリア夫人。

ファウンデーションからの訪問者を話題にする君主。

宮殿への立ち入り許可を求めている。それに反対するメイルス。
同行している少女と会いたいと言うカリア夫人。子供が欲しいという裏の心を知って笑う君主。

 

13 貴婦人
カリア夫人に面会するアーカディア。夫人はさほど頭が良くは見えなかった。
宮殿内部を見るという、マンの計画が失敗すると予想しているアーカディアは、夫人に話を持ち掛ける。
君主は新帝国の中核になる可能性を持っている。だからそれをはっきりさせるためにマンが記録を調べようとしている。

君主は、荒れた気分になっていた。ファウンデーションから来た「腰抜け」との実りのない折衝。呪いに対する恐怖もある。
そこへ話しに来た夫人。セルダン・プランが変更されて、君主が帝国を作るために動いている。ミュールの宮殿にその証拠がある。
君主が出した二つの命令。一つは宮殿立ち入りの許可。もう一つは演習名目での戦艦五百隻の出航。

 

14 不安
カルガンからの攻撃を受けているファウンデーション。
今までの経緯を思い出すダレル。クライゼとの共同研究は順調だったが、彼は単なるデータ収集家。
彼と別れてダレルは一人で研究を続け、大脳に関する限り、第二ファウンデーション員が人間でない事を突き止めた。
だがそんな時にクライゼが、アンソーアという弟子を使って戻って来た。干渉された人間の脳波など今では意味がない。

陰謀の中で陰謀を続けたダレル。

寒々とした控室に留め置かれるアーカディア。

マンは君主のところに居る。
二週間、宮殿の中で調べを進めるマン。
マンに詰問する君主。帝国の勝利者になるための証拠を求めている。少女がベイタ・ダレルの親族だという事も知られていた。アーカディアの年齢を聞く君主。時が経過すれば、娘は女になる。

カリア夫人がアーカディアを逃がすために手を尽くしていた。裏の通路を通り、変装のための衣装を着せた。君主はあの人を留めておくが、あなたは留まってはいけない。
館の外に出てしばらく走り、夫人は彼女を置いて館に戻って行った。

一瞬見せた冷たい楽しみの表情。
夫人が第二ファウンデーションの女だと知ったアーカディア。

エア・タクシーを拾って乗り込むアーカディア。夫人から金も貰っていた。空港へ急ぐ。
宇宙空港で降りたアーカディア。どうしても逃げなくてはならない。

だがその場所はファウンデーションではない。
切符販売機の前でも迷うアーカディア。彼女だけが第二ファウンデーションの位置を知ったから。

 

15 格子を抜けて
後ろからの声に気がつき、切符販売機に金を入れるアーカディア。

思わず「トランター」を押す。切符を取って逃げるように立ち去る。
不意に誰かにぶつかり、腕を掴まれる。小柄で小太りの男。

続けてその妻が来て、夫の不作法を詫びる。
彼女が誰かから逃げていたと言う夫。
助けてあげるわ、という言葉に涙を流すアーカディア。落ち着いた彼女は身分証を出す。
叔父が逮捕され、ステッティン卿から逃げて来た事を話すと、その先を汲み取った妻。
その時、空港内で逃亡者の捜索に関する放送が響き、区画の格子が降ろされ始めた。
身を隠すため婦人トイレに連れて行かれるアーカディア。

その後警官に身分証を提出する夫。プリーム・パルヴァー。カルガンに一ケ月滞在してトランターに帰るところ。農協の貿易代表。

妻はトイレだと言うが、待つ警官。夫は同伴者に姪が居ると告知。
妻がアーカディアを連れて戻って来る。妻に続いてアーカディアの身分証を要求する警官。促されて身分証を出すアーカディア。

だが警官は、確認後それを返し、皆は解放された。

乗船した後、パルヴァーは種明かしをした。

身分証と同時に渡した賄賂。
だがアーカディアは、この事が、彼女を逃がすために仕組まれたものだと直感した。

 

16 戦争の始まり
アーカディアがターミナスを出てから二十三日目。この間身動きが取れなかったダレル博士。
物理学者エルヴェット・セミックに、シムズ-モルフ共振器の小型化を依頼するダレル博士。要求はベルトに吊るせるサイズ。
アンソーアがディリジ警部補を連れて来た。

カルガンでアーカディアの姿を最後に見た者。
ディリジは故意にアーカディアを逃がした。賄賂が効いたわけではない。ディリジはファウンデーション人。
アーカディアはトランターに居るという。

トランターで無事に居るがいい、とダレル。
彼女がトランターに行った理由をいろいろ推察するアンソーア。

そして帰らせたディリジの脳波がコントロールされたものだと報告。

第二ファウンデーション員だった。
アーカディアのリードに従ってトランターに移る事を提案するアンソーア。だが留まるつもりのダレル。

 

17 戦争
ファウンデーション市長と、カルガンとの戦いについて意見を交わすダレル博士。距離的な要素を考慮すると、ファウンデーションが不利。
カルガンの君主は自国の勝利を確信。根拠はホマー・マンの情報。

カリアがいるところでは面白い情報を出す。

 

18 ある世界の幻影
トランターでプリーム・パルヴァー夫妻の世話になって、もう三ヶ月経つアーカディア。疼く良心。
プリームが、カルガンとファウンデーションとの戦争の話題を出す。

気を使って制する妻。
アーカディアが、かつてのファウンデーションの戦いを話す。

食糧難のため、闇値でいい商売が出来る。
二週間後、食料を運ぶ船の手配を済ませたプリーム。ターミナスへ行くという彼に、父への伝言を頼むアーカディア。それは五語の言葉。

 

19 戦争の終わり
例の五人メンバーの一人ジョウル・ターバーは、従軍記者として最前線の兵士を取材していた。
そんなところへ小男が捕虜としてターバーの前に引き出されて来た。男はプリーム・パルヴァーと言い、ダレル博士に会いたいと話した。アーカディアは無事。
提督と交渉して、戦闘が終わったら彼をターミナスに届ける約束を取り付けるターバー。
戦闘はファウンデーションの勝利。ターミナスに着いたプリームは、ダレル博士に五語の言葉を伝え、食料供給の協定も締結した。

父親から返事を託されるプリーム。

大きな敗北を喫して挫折感を味わうステッティン卿。側近たちが最後の引導を渡す。
そして年が明け、六ヶ月以上要した戦争が終息した。

解放されるホマー・マン。

 

20 わたしは知っている・・・
ダレル博士は終戦から数週間後にターミナスの自宅へ帰り、その日が五人の集会日となった。
勝利を喜ぶターバーに対し、アンソーアが不機嫌に「けちな喧嘩に勝っただけ」と言った。
そして第二ファウンデーションの事についての話を要求する。
ホマー・マンが、カルガンで行った調査の経緯を話した。そして第二ファウンデーションは存在しないと結論付けた。マンの話す数々の裏付け。
だがアンソーアはそれを嘘だと言い、彼が以前とは違う人間だと断じた。そしてここの全員に脳波検査を要求した。次々にテストされる面々。そしてマンがテストされた。
ダレルがマンの肩を押さえて言った「君はいじられている・・・」

アンソーアが、第二ファウンデーションの場所を知っていると言う。

それはカルガン。
だがセルダンは、銀河の両端に二つのファウンデーションを設立したと言った、とセミックが聞く。
それは小さな問題だとかわすアンソーア。プランの保存を目的とすれば、第一ファウンデーションの近くにあるべき。
その案を否定しないダレル。
ダレルは、独自で続けていた脳写分析について話を始める。人間にあると仮定する「精神共鳴器官」。磁気フィールドの様なエネルギーをそこに加える事で精神の調節を行わせる。
セミックの助けで「精神空電装置」というべきものを作った。

特定のエリアで精神干渉を遮断するもの。
続けるダレル。「カルガンは第二ファウンデーションではない」そして「私は第二ファウンデーションがどこにあるか知っている」

 

21 納得のいく解答
ダレルは、アーカディアからのメッセージ「円 には 端 が ない」を伝えた。
平たいレンズ状の銀河系。その端にあるターミナス。反対側の端を探してどんどん進んでも、その端はない。出発点に戻るだけ。

そこに第二ファウンデーションがある。
懐疑的な表情のアンソーア。だが隣人にそういう者が居るのなら空電装置には意味がない。
ダレルが続ける。盲人に対しては役に立たないが、健常者に効果がある武器は? 例えば目つぶしのライト。
空電装置は強力な電磁パターンの放射が可能。
興味を示すアンソーア。これがその装置だと言って彼に渡すダレル。言われた様に操作するが何も起こらない。
それは模造品だと言って上着を脱ぐダレル。そこに本物があり、ダレルがノブを最大に回した。
絶叫を上げて床に倒れるアンソーア。

アンソーアが回復するのに数分を要し、水を飲ませて落ち着かせた。
物理学者が脳波に着目し始めた事を知って、対策が必要になった。カルガンが宣戦布告するようにマンを送り込んだ。カリアは我々の仲間。
アーカディアの事は予想外。カリアが誘導してトランターに行かせた。
ダレルをコントロールしなかったのは、そういう命令だったから。

必要以上の関与は計画をダメにする。
メンバーの人数は五十人程度。数人は宇宙に出ている。
そこまで言って気絶したアンソーア。ダレルは最初からアンソーアを疑っていた。メンバーは装置により根絶可能。
だがダレルの危惧。直面しなくてはならないもの。

アーカディアが帰宅して二週間。あの考えについての確認を迫られるダレル。
両方のファウンデーションがターミナスにある事を、どうやって判断したのか。
アーカディアは、自分で確信が持てたと言ったが、直感は疑わしいと言うダレル。コントロールされていた疑い。
アーカディアに、脳写分析をさせて欲しいと頼むダレル。

そして行われたテスト。
全てのテストが終わり、父親の笑い声を聞くアーカディア。
これで元の生活に戻れる・・・・

 

22 正解
位置不明の部屋。目論見通りに行った計画。
第一発言者と学生の会話。五十人の男女による殉教。

探知を恐れて、指導は出来なかった。
手の込んだ計画--第一ファウンデーションの人々に、第二ファウンデーションの位置を突きとめ、亡ぼしたと確信させる必要があった。
アーカディアが我々の道具だと気付かれる確率は30%だった。
もし気付かれても、脳写分析でも証拠が残らない「干渉プラトー」の技術で対応出来る。
痕跡を残さずに、ある個人をコントロールするためには、新生児からの操作が必要。アーカディア・ダレルは、自分がコントロールされている事を決して知らなかった。

第二ファウンデーションは、トランター。
エブリング・ミスが我々を発見したのが、このトランター。その公表を阻止するための工作をファウンデーションの娘に行わせた。
自分自身に対する説明を終え、銀河を見つめる第一発信者--プリーム・パルヴァー。