埋められない(と思われた)溝は埋まってしまった
※本日、またもやお付き合いで二日酔いのため、短めの更新となります。
毎度更新されると「やったねっ!更新キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」と読む佐藤健志さんのブログですが、最近は北朝鮮情勢の情報が多いので助かっております。
アメリカはCVIDを本当にやる気があるのか?(+東洋経済オンライン配信!)(佐藤健志さんブログ)
上記によりますと日米韓で行われた会談でのマティス長官の発言は英語でこうだったそうです。
North Korea will receive relief
only when it demonstrates verifiable and irreversible steps to denuclearization.
これを日本語に正しく訳するとこうだそうです。
北朝鮮が援助を得られるのは、非核化への検証可能で不可逆的な段階的措置をとった時だけだ。
私は英語がからっきしですので、こーいった情報は非常に助かるわけですね。一方でメディアで報じられた訳は以下だそうです。
北朝鮮が見返りを得られるのは、検証可能で不可逆的な非核化への措置をとった時だけだ。
パット見ても「段階的措置」という部分で異なりますし、不可逆的にかかる部分も「段階的措置」なのか「非核化」なのか異なっておりまして、上記の佐藤健志さんの訳が正しいとすると、そのまんま冒頭の記事のとおりに「アメリカは不可逆的かつ検証可能な非核化」を北朝鮮に求めるふりをしているだけ、ということに。
前々から北朝鮮情勢で書いていたことなのですが、東アジア周辺には中国、インド、ロシアと核保有国が盛りだくさんで、いまさら北朝鮮の核保有をアメリカが戦争の危機を犯してまで止めるのか?という疑問があるわけです。
また北朝鮮の地政学的位置は中国にとって大変重要で、多少手を焼いてもアメリカに渡すわけにもいかない。いわばアメリカと中国の緩衝地帯が朝鮮半島というわけですから、北朝鮮への軍事行動=中国と対立をするという構図になるはずで、アメリカの動きを見ていても中国との軍事的な対立を望んでいないとしか見えないのですね。
北朝鮮は核兵器を廃棄することは、本質的には国家戦略を180度変えることになるのでほとんどありえないだろうと書いてきましたが、アメリカが北朝鮮の核保有を黙認するという線は前々からあったわけです。
2015年辺りに南沙諸島に中国が軍事基地建設を始めた時に、「海洋権益はアメリカの核心的利益であり国是だ!アメリカがこのまま黙っちゃいない!」との主張が保守の大勢を占めましたけれども、現在に至るまで何もしていないに等しいでしょう?
まあ、あのときもアメリカはポーズのみは見せましたけれども。
とするのならば、今回の北朝鮮情勢で同じことが行われないとは限らないわけです。
したがって「アメリカは北朝鮮の核保有を認めるはずがない」という前提条件の設定は、じつは南沙諸島のときの前提条件の設定に似ているのですね。1度あったら2度めもあると思ったほうが良さそうです。
右派の中には「トランプがやってくれた!やってくれるはずだ!」という期待があるみたいですけれども、私が見るにその期待はほとんど裏切られるんじゃなかろうかと。
もし私がアメリカ大統領の立場だったら、北朝鮮なんていう極東の遠い小国のために中国と軍事的対立するリスクを犯す、なんて決断は絶対しないと思うのですけどね。
もし上記で論じたこと、つまりアメリカが北朝鮮の非核化を迫る態度がポーズだけであり、実際にはなあなあで済ませようとしているのならば(そしてその可能性は高いと私は思っておりますけれども)、それは当初のアメリカの態度からの譲歩を解釈可能でしょう。
暗に「黙認する」という譲歩を、アメリカの体裁が傷つかないように進めているだけのように思えてなりません。
保守の希望的観測や楽観主義
北朝鮮のミサイル問題が去年4月頃に騒がれ始めた頃に、ブロガーの保守やらネトウヨやらどう定義していいのかわからない人たちは一斉に「これで北朝鮮は終わりだ!」「アメリカが北朝鮮に制裁を加えるはずだ!」「韓国もおしまいだ!」などと騒いでおりましたけれども・・・そして未だにそのような論調に頑なにこだわっているようですが、どうもそうはなりそうにありません。
それどころか、貧乏くじを引かされるのは日本といったことになる可能性も高い。
なんでそんなに楽観的な、そして都合の良い思考ができるのか?不思議なのですが、それが可能になるであろう方法論が1つだけあることに気が付きました。
彼らは日本人でありながら、アメリカ人でもあると錯覚してるんじゃないだろうか?と。
つまり上記の倒錯した思考回路からすると、「日本に都合の悪いことをアメリカがするはずがない。なぜなら、日本は誇るべき国家であり、そしてアメリカであるからだ!」という意味のわからない論理展開が可能になるわけです。
いやいや、こうかもしれない。「日本が誇るべきは、日本がアメリカであることだ!」。
とすると安倍総理の「日米は100%共にある(実際は日本がアメリカの姿勢に右往左往しながら、賛意を示すだけ)」というのも理解可能でしょう。
上記のような錯覚に陥ると「日本い都合の悪いことは、アメリカにとっても都合が悪いはずだ」と思い込むことになります。中国が南沙諸島に軍事基地を建設した際も、本当は日本にとって中国の勢力範囲が広がるのが都合が悪かった。しかし「アメリカにとっても都合が悪いはずだ」と思い込んだがゆえに、「アメリカがなんとかしてくれるはずだ」という結論に至るわけですね。
現実は北朝鮮の核保有についても、日本にとっては激しく都合が悪いわけですが、アメリカにとっては多少都合が良くない程度のことかもしれないでしょう?
・・・・まあ彼らの思考をなぞるのはやめにしましょう。頭が痛くなります(笑)
書いてきた論が正しいとすると、北朝鮮というのはかなりの外交巧者であると言えるかもしれません。なにせ日本が追従するしかないアメリカから、黙認という譲歩を引き出しかけているのですからね。
※というか日本は、追従するだけだからアメリカから重大な譲歩を引き出す外交ができないわけですが(笑)
P.S
今さらいわゆる保守だとか右派だとかネトウヨだとかの思考を、考えてみる価値というのはあまりないのかもしれません。なぜならば「中国崩壊」「北朝鮮終了」などというご都合主義のストーリーを未だに振りかざしているのは、どう見たって現実が見えていない夢想家としか言いようがありませんからね。
世界のストーリーの中で日本は、主人公ですらなくて、脇役にどんどん追いやられているというのが現実ではないでしょうかね?
軍事力もない、経済力も相対的に凋落の一途。技術力も衰えてきている。
他国を笑っている場合ではなくて、下手したらそろそろ日本が他国から笑われているんじゃねーのか?と思います。
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