観音院・観音町創建400年祭 秘仏御開帳 | 金沢徒然日記

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日々金沢中を徘徊している暇人ぱんだが、つれづれなるままに加賀百万石の文化都市、金沢のことを書き綴ったブログ。金沢の観光スポット、神社仏閣、文化施設を深く深く掘り下げて紹介していきます。

金沢市の長谷山観音院(高野山真言宗)で創建400年祭が始まった。

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観音院は卯辰山入り口に位置し、千二百年の歴史を誇る御本尊「十一面観世音菩薩」を祀るお寺である。
加賀藩三代藩主・前田利常の正室である珠姫(江戸幕府二代将軍・徳川秀忠の娘)が篤く信仰し、社殿を寄進したとされる。また、前田利常が境内伽藍を整備し、観音院は加賀藩前田家の祈祷所となり、大和・鎌倉と並んで加賀の長谷観音と謳われて多くの信仰を集めた。
惜しくも、明治の廃仏毀釈で本堂・三重塔・愛染院・能舞台などは廃されてしまったが、医王院に観音院の御厨子を移し、現在の姿となった。

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現在の観音院。
今回の400年祭にあたり、秘仏御開帳が行われるとのことで、本日10月22日の開白に参列してきた。これは、秘仏の扉が開かれる厳粛な法要である。
ちなみに、秘仏御開帳は10月22日から11月6日までで、日程は以下の通り。
10月22日:開白(秘仏御開帳の法要)
10月29日:前夜祭(バイオリン・篠笛・語りのコンサート)
10月30日:お練り(稚児の練りと大法要)
11月6日:成満(秘仏閉扉)

公開された秘仏は以下の通りである。
御本尊   十一面観世音菩薩(木造)
観音院の御本尊。年に一度「四万六千日」の日に御開帳。頭には各々複雑な表情を乗せ、右手を垂下し、左手には蓮華を持っている。
なお、菩薩とは大乗仏教において、将来仏になることが約束されているが、現在はまだ人々やその他すべての生き物を救うために修行する人のことである。
ちなみに、御本尊は平常時は御開帳されないため、仏像の厨子の前には身代わりとして御前立十一面観世音菩薩が安置されている。当山の御前立は御本尊とほぼ同体である。

鉄造十一面観世音菩薩(八世紀作)
国内でも希少な鉄造仏。顔のみ銅で出来ているとのことであった。八世紀作で、飛鳥時代から平安時代初期くらいに作られたことになる。

難陀龍王(木造)
御本尊に向かって右脇侍。八大龍王の一つ。頭上に龍を頂き、唐冠を被った老貌で中国風の服を着ている。もっとも、秘仏の龍は欠損していたため、今回仏師による修復が行われたという。春日明神としても信仰されている。

雨宝童子(木造)
御本尊に向かって左脇侍。右手に宝棒、左手に宝珠を持つ童子形の神像で表される。天照大神としても信仰されており、難陀龍王とともに祀られているのが奈良の長谷寺と同形である。

不動明王(木造)
もとは不動堂の御本尊。不動堂は現存していない。大日如来の化身とされ、煩悩を抱えるもっとも救い難い衆生をも力ずくで救うために憤怒の姿をしている。
ちなみに、不動明王は剣を持っていることが多いが、こちらの不動明王は欠損したのか持っていなかった。

薬師如来(木造)
現在の観音院となっている医王院の御本尊。医薬の得られない人を救うことから、左手に薬壷を持っている。当山の薬師如来は座像である。

御本尊の御開帳は一年に一度は行われているが、それ以外の秘仏の御開帳は記録にないという。それほど貴重な機会というわけだ。開白に立ち会うことができたのは幸運であった。

なお、今回の記事作成にあたり、観音院のパンフレットと開白の際のご住職のお話を参考にさせて頂いた。