人工知能研究者の黒川伊保子氏の『ことばのトリセツ』をご紹介します。
大切なのは“意味”より“語感”。
おいおい、語学を学ぶ上で“意味”を学ぶことこそが大切で、“語感”が大切なのはただ気を引くための策略?
そう思いつつ購入し読みましたが、語学を学ぶ方には是非読んでいただきたいと思いました。
本の裏帯には次のようにあります。
用事があって、部下や専門家を呼んだとき、「はい」と応えてもらうと、信頼感とスピードを感じて、安心できる。
しかし、空冷効果のあるH音ハは、重ねると冷たさが募ってくる。「はい」が続くと冷たい、と言うのは、心で起こる「気持ち」だけど、そもそも口で起こっている現象なのである。
当初物理学を学んだ著者は、AIに日本語をしゃべらせる時に物理学的に対応しようとしています。
返事は「はい」。
でも、「はい」が重なると、なんだか冷たい感じがする。
そう言われた著者は、言葉を発する時の息や口、舌などの状態を分析したのです。
「ハイ」と発音すると、「ハ」というのは喉の奥から息が出る。そして、「ハ〜」とすればわかるように息がたくさん喉を通るので喉の奥が冷たくなる。
それが著者のいう語感。
体感と言ってもいいでしょう。
言葉を発する時の感覚。
それが「気持ち」にも影響する。
これまで気にしたことはなかったけれど、そういえば、中国語や英語の有気音や破裂音は強い自己主張があるように感じます。
この本では日本語について母音や子音についてその「語感」について詳しく説明されています。
女性に対する対応の仕方などはとても参考になりますし、「終わりに」あるアルデンテがわかるのは、イタリヤ人と日本人だけだよ。というのもとても興味深い内容です。
言葉はそれほどまでに「気持ち」や「感覚」に影響を与えるもの。
日本には古来より「言霊」信仰がありますが、それも言葉を発する時の「語感」に敏感になればもっともなことなのでしょう。
外国語を学ぶということはその国の人たちの気持ちを理解しようとすること。
中国語を話すということは中国人になりきる、中国人を演じること。
そうなのかもしれません。


