山田リスティングのブログ -64ページ目

日記の用紙

日記の用紙となる紙は、ヨーロッパでは、まずイタリアスペイン に12世紀頃、アラブ商人の手を経て伝えられた。イタリアでは当初マルケ州 ファブリアーノ で製紙業が発達し、その後パドヴァジェノバ などの各地に広がっていった。これらの地域で生産された紙は、主としてロンバルディア商人によってヨーロッパ各地に広められていった。13世紀の後半から14世紀の初めにかけて、フランスや南ドイツ・スイスなどで各種の記録簿に紙が使用されるようになり、やがて各地で紙の日常化が進み需要が増大する中で、イタリア以外でも紙の生産が始まっている。

ヨーロッパの日記

ヨーロッパでは、早くから紙を使用していた中国や日本と異なり、高価で希少な羊皮紙 しかなかったため、私的な記録である日記の普及には限界があったと考えられる。つまり実用性のみで記される帳簿や裁判記録の類に、それらの形態を外見上保持しながら、その本来の記載目的を越えた内容を記せる余裕を与え、それらの日記への進化のきっかけをもたらしたのは、紙の普及であると考えられるのである。

日本以外の国々の日記

日記という記録行為は、当然日本だけに限られた存在ではない。文字とそれを記す紙(別段普通の紙でなく、羊皮紙や板、竹簡などでもよい)、そして時間の概念が存在し、その日にあった事を記録することに何らかの意義を持った社会ならば、いかなる社会でも記されていた可能性が強い。しかしそれぞれの国で日記が、今日いたるまで歩んだ道のりはかなり違ったものとなっているようであり、このことがそれぞれの国における日記の文化としての位置づけに変化を与えているものと推定される。そのため他の国の日記の文化史的な考察は、日本の日記についての理解を深めるための一手段となり得るであろう。しかし日本以外の諸国の日記、とくに古い時代の日記についてはいまだ調査不足で、どの国にどれくらい昔から日記が記されていたのか、またそれに関する研究があるのかどうかについてもよくわからない点が多い。今後の課題であるが、ここでは知り得た範囲において、諸外国の古い日記を紹介しておこう。