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藤田真央とロッテルダムフィル

ラハフ・シャニ指揮のロッテルダム・フィルを

聴いた(2023年6月26日 東京芸術劇場)

 

演目は、

ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番と

チャイコフスキー・交響曲第6番「悲愴」 であった。

 

ピアノは 藤田真央。

 

今年はラフマニノフ生誕150年ということで、

数多くのコンサートが企画されているが、妻の薦めも

あり出かけて行った。

 

ラフマニノフのピアノ協奏曲は2番と3番がよく演奏

されるが、3番の方をピアニストは好むという。

テクニックの難度が高く、挑戦しがいがあるのだという。

 

いつのことだか記憶にないが、そんなこともあり、

ラフマニノフ自身の演奏が聴きたくなり、CDを購入した。

 

オーケストラはフィラデルフィア管弦楽団で

二番をストコフスキーが、三番をオーマンディが指揮をしている。

 

録音は古い。2番が1929年、3番が1939年だから。

しかし、難曲を作曲者自身がどう演奏しているかへの

興味の方が勝った。

 

結論を言うと、さすがに・・・というほどのことなかった。

というか、それをきちんと評価できるほどの「耳」を持って

いなかったのかも知れない。

 

ところで、この日の藤田真央はどうだったか。

私の評価は「臆せず」堂々としていたというものだ。

繊細な部分や難度の高いところも、よくこなしていたと思う。

 

しかし、妻の評価はもう少し辛口で、藤田のラフマニノフは

オケと堂々と渡り合う迫力には欠けていたというものだ。

 

藤田は小柄で華奢だから、見栄えでは損をしているかも

知れないが、日本の若手のピアニストとしては着実に

経験を積み増していると感じた。

 

NHK衛星放送で、藤田がルツェルン音楽祭で

ラフマニノフの二番を演奏したのを聴いた(2022年8月)が、

シャイー指揮の下で堂々としていた。

 

チャイコフスキーの「悲愴」は特に言うべきこともない。

やはりオケ映えする曲だし、私自身の好みとも合っている

ので、聴くたびに感動する。

 

 

 

ノセダと庄司紗矢香

N響の定演に行ってきた(2023年6月21日。サントリーホール)

 

曲目
バッハ(レスピーギ編)/3つのコラール
レスピーギ/グレゴリオ風協奏曲*
ラフマニノフ/交響曲 第1番 ニ短調 作品13

指揮 : ジャナンドレア・ノセダ
ヴァイオリン : 庄司紗矢香*

 

これまで聴いたことのないレスピーギの協奏曲だという

ことと、奏者が庄司紗矢香だったからだ。

 

予習をしようと義父のCDライブラリーを探したのだが、

残念ながら発見できなかった。もし、存命だったら、曲目を

いえば、「どっこいしょ」と立ち上がって持ってきてくれた

のだろうが、それは今となっては叶わぬことだ。

 

ということで、準備不足で臨んだのだが、庄司紗矢香は

ベートーヴェンのコンチェルトなどの大曲よりも、むしろ

こうした曲の方が真価を発揮するような気がした。

 

ノセダとの相性も良いのであろうか。

まずまず楽しめた。プログラムによると、N響定演への

出演は2018年6月以来となるとあった。もっと聴く機会が

あればと思う。

 

ラフマニノフの交響曲第一番は、よく知られた初演での

大失敗(1897年3月サンクトペテルブルグ)が有名になって

しまっている感がある。

 

その失意を乗り超えて、1901年のピアノ協奏曲第二番を

機に作曲家としての再生を果たすのだが、残念なことに

本人はこの第一番交響曲が再演されることを聴くことなく

この世を去ってしまう(1943年)。

 

実際にこの曲が再演されたのは、1945年10月だというから

運命は判らないものである。

当日配布のプログラム解説にも、その辺の裏事情がこと細かに

書かれている。

 

興味はいろいろ深いが、今回は虚心坦懐にこの曲に向き合ってみた。

実際のところ、特段、面白味がない訳ではない。

むしろ、ラフマニノフ特有の甘美な旋律を始めとして、印象的な

部分が多い。

 

このように、変な「偏見」をもって聴くということ自体が、

作曲者には失礼なことだとは思うが、最後まで集中力を

切らさずに聴くことができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

読響でショパンとチャイコフスキー

読響の土曜マチネコンサート(2023/6/17)へ行ってきた。

 

プログラムは以下の通り

 

指揮=ケレム・ハサン
ピアノ=エリック・ルー

チャイコフスキー:歌劇「スペードの女王」序曲
ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 作品21
チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 作品64

 

ショパンを弾いたエリック・ルーは、プログラム情報によれば

2018年リーズ国際コンクールで優勝。2015年にはショパン国際

コンクールで第4位入賞を果たしている若手のピアニストである。

 

国籍は、米国のようだが、ルーツは台湾(高雄)と上海出身の両親を

もち、米国で育っている。

 

見た目も端正で、弾きぶりも落ち着いていた。

ただ、熱狂的なファンが増えるかというと、どうもそうではない

ような印象を受けた。

この日のショパンも控えめで、外連味のないものであった。

 

指揮者のケレム・ハサンは、プログラムの表現を借りると

「欧州で目覚ましい活躍を見せて注目を浴びるイギリスの鬼才」

とある。

 

1992年ロンドン生まれ。読響のホームページから引用すると

 

ロイヤル・コンセルトヘボウ管、ロンドン響、バイエルン放送響、BBC響などを指揮し、オペラでもイングリッシュ・ナショナル・オペラやチロル州立歌劇場などで成功を収め、欧州で注目を浴びる若手指揮者です。今回、チャイコフスキーの歌劇「スペードの女王」序曲や交響曲第5番などを披露。エネルギッシュなタクトで劇的な音楽を生み、その類稀なる才能を発揮するでしょう。

とある。

 

チャイコフスキーの5番はよく演奏されるし、やはり名曲だと思う。

読響もハサンの指揮に応えて、スキのない演奏に終始した。

この曲は、オーケストラの実力をいかんなく試す部分が多く、

良い響きに酔いしれるといったところであろうか。

 

この日は、いつもチケットを頂戴している義母が遠路はるばる

池袋まできた。義父が昨年亡くなり、また、コロナの影響でほとんど

コンサートに来れていなかったのが、本当に久々に演奏を楽しんで

いた。演目が良かったのも、足を運ぼうという気にさせたようだ。

 

何歳になっても、良い音楽にふれるというのは、刺激になって

心の健康にもポジティブな影響を与えるのだと思う。